【ゴードンの看護過程】11の機能的健康パターンとは?知っておきたい要点と収集項目

看護実習のアセスメントで、「ゴードンの11の機能的健康パターン」を使うよう指示を受けた学生さんは少なくないでしょう。
この記事では、ゴードンの11の機能的健康パターンのポイントと項目についてわかりやすく解説します。アセスメントに直結する要点を押さえて、実習記録に生かしてみてください。
ゴードンを用いたアセスメントについて、具体的な書き方や例文は次の記事で紹介しています。
※ゴードンの11の機能的パターンは、看護診断を導くためのアセスメントツールとして開発されたものであり、一般的には看護理論に分類はされません。
監修:長島俊輔(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部看護学科 講師)
執筆協力:平田友希(看護師・ライター)
ゴードンの機能的健康パターンとは
ゴードンの11の機能的健康パターンとは、アメリカの看護理論家マージョリー・ゴードンが提唱した、患者さんを体系的にアセスメントするための枠組みです。
患者さんの年齢や疾患、重症度を問わず、あらゆる場面で活用できるアセスメントツールとして開発されました。
ほかの看護理論とも併用が可能な点と看護診断を導く上での相性の良さが大きな特徴で、多くの病院で実用的なアセスメントツールとして使われています。
ゴードンの機能的健康パターンが使えるようになると、患者さんの情報をスムーズに収集・整理することができ、患者さんのどこに問題があるのかが見えやすくなります。
【一覧表】11の機能的健康パターンと項目例
ゴードンは人が生活をする上で必要な機能を、11パターンに分類しました。
11のパターンそれぞれで、どのような情報を集めればよいか確認してみましょう。
| パターン | 収集項目 |
|---|---|
| 健康知覚─健康管理 | ・疾患・治療への理解度 ・服薬状況・自己管理の実施状況 ・受診行動(定期受診しているか) ・喫煙・飲酒・食習慣 |
| 栄養─代謝 | ・食習慣 ・食事摂取量・食欲の変化 ・水分摂取量 ・体重の変化(入院前との比較) ・血液データ(栄養:アルブミン・総タンパク・ヘモグロビンなど、免疫:WBC・CRPなど) ・皮膚の状態(乾燥・浮腫・褥瘡リスク) ・摂食・嚥下機能 |
| 排泄 | ・排便回数・性状(ブリストルスケール) ・排尿回数・尿量・性状 ・下剤・排尿補助薬の使用状況 ・排泄の自立度(介助の有無) ・失禁・尿閉の有無 |
| 活動─運動 | ・ADLの自立度(食事・移動・更衣・入浴・排泄) ・活動制限の有無と理由 ・バイタルサイン(呼吸機能・循環機能、動作時の変動) ・血液データ(RBC, Hb, Htなど) ・転倒リスク(歩行状態・筋力・バランス) ・入院前の運動習慣との比較 |
| 睡眠─休息 | ・睡眠時間・就寝・起床時刻 ・中途覚醒の有無と原因 ・睡眠薬の使用状況 ・日中の眠気・倦怠感 ・入院前の睡眠状況との比較 |
| 認知─知覚 | ・意識レベル(JCS・GCS) ・見当識(時間・場所・人物) ・疼痛の有無・程度・性状(NRS・VAS) ・視力・聴力・コミュニケーション能力 ・認知機能の変化 |
| 自己知覚─自己概念 | ・疾患や入院に対する思い・受け止め方 ・ボディイメージの変化(手術後・外見の変化など) ・自尊感情・自己効力感の変化 ・不安・抑うつの有無 |
| 役割─関係 | ・家族構成・キーパーソン ・家庭内・職場での役割 ・入院による役割変化と本人の受け止め方 ・家族の協力体制・面会状況 ・社会的サポートの有無 |
| セクシュアリティ─生殖 | ・疾患や治療(手術・化学療法・放射線など)がセクシュアリティ・生殖機能に与える影響の有無 ・本人が感じている不安・関心の有無 ・月経状況・妊娠・出産歴 |
| コーピング─ストレス耐性 | ・現在感じているストレス・不安の内容 ・これまでのストレス対処法(趣味・相談相手など) ・ソーシャルサポートの有無と活用状況 ・コーピングの有効性 |
| 価値─信念 | ・人生で大切にしていること・生きがい ・治療に影響する価値観(手術拒否・輸血拒否など) ・宗教的信念・文化的背景 ・今後の生活に対する希望・目標 |
ゴードンの11の機能的健康パターンを用いた看護過程はここがポイント
ゴードンの11の機能的健康パターンを用いた看護過程は、次の3つのポイントを押さえておきましょう。
- 1人の「機能」は11パターン
- 211パターン同士は相互に関連している
- 3看護師がする「判断」は3つ
1人の「機能」は11パターンに分類できる
ゴードンの11パターンは、身体面だけでなく、心理面・社会面・スピリチュアル面と幅広いです。
患者さんと向き合うときは、身体面の情報だけにとどまらず、患者さんの気持ちや生活・価値観にも目を向け、多角的な視野で情報収集することが大切です。
211パターン同士は相互に関連している
11のパターンは、それぞれ独立しているわけではなく、互いに影響し合っています。
特に「健康知覚─健康管理パターン」は、ほかの10パターンすべてに関連するため、アセスメントの際は情報の中心となります。
たとえば、患者さんが「数ヶ月前から体重が減っていることに気づいた」ことは、「健康知覚ー健康管理パターン」の情報です。
体重減少が起こる背景には、食事摂取量の低下(栄養ー代謝パターン)、倦怠感や筋力低下(活動ー運動パターン)、睡眠障害(睡眠ー休息パターン)が考えられます。
食事摂取量が低下すれば栄養不足から倦怠感や筋力低下が起こりやすくなり、日中の活動量が低下すれば夜間の睡眠にも影響が及ぶこともあります。
このように、それぞれのパターンは独立して問題を抱えているわけではなく、関わりあっていることが分かります。

3看護師がする「判断」は3つある
ゴードンは、看護師が行う判断は以下の3つだとしています。
- 診断的判断:何が問題かを見極める
- 治療的判断:どんなケアをするか決める
- 倫理的判断:患者さんの価値観や意思を優先できているか考える
この3つの判断を正しく行うためには、「本当にこれでいいのかな?」「見落としていることはないかな?」と常に一歩引いて考える「批判的思考(クリティカル・シンキング)」が欠かせません。
ゴードンの看護過程におけるアセスメントの流れ
ゴードンのアセスメントは、次の3ステップで進めます。全体の流れを確認しておきましょう。
ステップ1. 11パターンの情報収集と分類を行う
まずは、ゴードンの11パターンに沿って情報を集め、分類します。
【例】
- 「夜中に目が何度も覚めてしまう」
→「睡眠・休息パターン」 - 「食欲がなく、直近1週間で体重が2kg減った」
→「栄養・代謝パターン」 - 夜間、尿意で2〜3回目がさめる」「排尿時に痛みがある」
→「排尿パターン」
情報が整理されると、「何がわかっていて、何が足りないか」が見えてきます。
ただ、ゴードンの11パターンは、収集項目を想像しづらいパターン名もあります。そのため、実習中はノートに11パターンの表を貼るなど、すぐ確認できるようにしておくと便利でしょう。
「妻がほぼ毎日面会に来るが、足が悪いので心配だ」という情報があったとき、「役割・関係パターン(妻のこと)」か「コーピング─ストレス耐性(心配なこと)」のどちらに分類すべきか迷うかもしれません。このような場合には、どちらのパターンにも記載しましょう。患者さんの1つの発言が、複数のパターンに当てはまるケースも少なくありません。
ステップ2. 分類した情報を解釈・分析する
各パターンへの分類ができたら、情報を分析していきます。意識したいのは次の3点です。
- 正常な状態か、正常から逸脱した状態か
- なぜそうなっているのか(原因・背景)
- ほかのパターンに影響していないか
「正常」か「逸脱」かを判断するには、基準値や入院前の状態と比較してみましょう。「逸脱」が確認できたら、次は「なぜそうなっているのか?」と原因を考えます。最後に、その情報がほかのパターンにも影響していないか確認しましょう。
たとえば、食事摂取量の低下という「逸脱」は、それだけで終わらず、日中の活動量低下や睡眠不足など、ほかのパターンの問題にもつながることがあります。
【例】
- 食事摂取量が1〜2割程度(栄養ー代謝パターン)
→必要摂取カロリーを大きく下回っており、正常から逸脱した状態 - 「体がだるく、動く気になれない」という発言(活動ー運動パターン)
→日中の運動量の低下が原因と考えられる - 「夜に何回も目が覚めてしまう」という発言(睡眠ー休息パターン)
→夜間の睡眠不足が日中の活動量低下を招き、食欲不振につながっている可能性がある
ステップ3. 看護問題を整理する
分析した内容をもとに、最後に「患者さんがこのまま過ごすとどうなるか」を考えながら、次の3点を整理していきます。
- 1現在どのような問題があるか
- 2今後どのようなリスクがあるか
- 3どのようなケアが必要か
【例】
- ①食欲の低下により摂取エネルギーが不足し、栄養摂取バランスが「逸脱」
- ②低栄養状態が続き、貧血の悪化や活動耐性の低下を招くリスクがある
- ③病院食の変更や栄養摂取の必要性を説明する必要がある
複数の看護問題が挙がったら、重点的に解決したい問題や介入すべきケアを考慮して、優先順位をつけていきます。特に優先すべきは、生命に関わる問題です。
そのほか、「放置すると新たな問題を引き起こすもの」「解決するとほかの問題の解決につながるもの」も重要度が高い問題です。患者さんの状態は日々変化するため、必要に応じて優先順位を見直しましょう。
ゴードンを用いたアセスメントの書き方ついては、次の記事で11パターンすべての例文を載せてわかりやすく解説しています。
神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部看護学科 講師長島俊輔
2010年 京都大学 卒、2010~2013年 京都大学医学部附属病院(看護師)、2018年 京都大学大学院医学研究科博士課程 修了、2018年 京都大学大学医学研究科 助教、2019~2022年 神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部助教、2022年 神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部 講師(現職)。著書に『系統看護学講座 専門分野 基礎看護学[4] 臨床看護総論 』『よくわかる 看護研究の進め方・まとめ方 第3版』。
編集:北井寛人(看護roo! 編集部)
デザイン:原田 誠一朗
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