看護学生の言葉遣い|実習で失礼にならない敬語・注意されやすい表現は?【例文付き】

看護学生の言葉遣い|実習で失礼にならない敬語・注意されやすい表現は?【例文付き】

実習中の言葉遣いで「正しい敬語は使えているかな…」「注意されたらどうしよう」と不安になっている看護学生さんは少なくないでしょう。


言葉遣いは、患者さんや指導者への印象に直結する大切なマナーのひとつです。


この記事では、敬語の基本から注意されやすい表現、場面別の例文まで、実習で役立つ言葉遣いをまとめて紹介します。    

 

 

執筆協力:平田友希(看護師・ライター)

 

看護学生が知っておきたい敬語の基本

敬語には「丁寧語」「尊敬語」「謙譲語」の3種類があります。それぞれの役割を理解しておきましょう。

 

知っておきたい敬語の使い分け。謙譲語、丁寧語、尊敬語。

 

丁寧語は敬語の土台

丁寧語は、語尾に「です」「ます」をつける言葉遣いです。相手が誰であっても使え、尊敬語と謙譲語の土台となる敬語の基本です。

 

尊敬語や謙譲語が使えなくても、丁寧語がしっかりしていれば失礼な印象を与えることはほとんどありません。

 

尊敬語と謙譲語は「誰の動作か」で使い分ける

尊敬語と謙譲語は混同しやすいですが、「誰の動作か」を意識すると整理しやすくなります。

 

  • 尊敬語相手の動作を高めて表現する
  • 謙譲語自分の動作をへりくだって表現する

 

よく使う尊敬語と謙譲語は以下のとおりです。

 

基本形 丁寧語 尊敬語 謙譲語
言う 言います おっしゃる 申し上げる・申す
行く 行きます いらっしゃる
おいでになる
行かれる
伺う
参る
いる います いらっしゃる おる
見る 見ます ご覧になる 拝見する
食べる 食べます 召し上がる いただく
知っている 知っています ご存知 存じる

 

【例】患者さんに対して

「こちらの書類を(あなたは)ご覧になりましたか?」

→相手の動作のため尊敬語

 

「すぐに(私が)伺いますね」

→自分の動作のため謙譲語

尊敬語を自分に使ったり、謙譲語を相手に使ったりするのは誤りです。迷った場合は、無理に尊敬語や謙譲語を使おうとせず、丁寧語で話すようにしましょう

 

看護学生が実習でよく使う言葉遣い

実習中は、「どのように伝えたら失礼がないか」と迷う場面が出てきます。

 

ここでは、看護師・指導者への報告や相談、患者さんへのケアの声かけなど、よく使う場面の表現をまとめました。

 

看護師・指導者への言葉遣い

指導者や看護師への報告・相談では、結論から話し、要点を簡潔に伝えることが大切です。

 

  • 報告するとき
    「〇〇さんのバイタルについて報告させていただきたいのですが、今お時間いただいてもよろしいでしょうか。血圧が〇〇で、いつもより高めでした」
  • 質問するとき
    「差しつかえなければ教えていただきたいのですが、〇〇についてご確認させていただいてもよいでしょうか」
  • 相談するとき
    「〇〇について判断に迷っているのですが、ご意見をいただいてもよいでしょうか」
  • わからないことを聞かれたとき
    「確認してからご報告します。少々お時間をいただいてもよいでしょうか」
  • 注意を受けたとき
    「ご指摘いただきありがとうございます。以後気をつけます」
  • 指導を受けた後
    「ありがとうございました。参考にさせていただきます」

 

注意を受けたときは、まず「ありがとうございます」と受け止めることが大切です。疑問があれば、落ち着いて考えを整理してから、後で確認しましょう。

 

患者さんへの言葉遣い

患者さんへの言葉遣いでは、丁寧さに加えて「わかりやすさ」「適切な距離感」が大切です。

 

  • 訪室するとき
    「失礼します。看護学生の〇〇です」
  • 体調を確認するとき
    「お体の具合はいかがですか」「昨日と比べていかがでしょうか」
  • ケアの前
    「〇〇をさせていただいてもよろしいでしょうか」
  • ケアの後
    「ありがとうございました。気になることがあれば、遠慮なくおっしゃってください」
  • わからないことを聞かれたとき
    「確認します。少々お待ちいただいてもよろしいでしょうか」

 

患者さんから「おやつを食べてもいいですか」など、判断に迷う質問をされたときは、自己判断で回答するのではなく、必ず担当の看護師に相談しましょう。

 

看護学生が注意されやすい表現と改善例

「注意されたけど何がダメだったのかわからない」という経験をする看護学生も少なくありません。注意されやすい表現を確認しておきましょう。

 

失礼に聞こえやすい表現

日常的に使っている言葉でも、医療の現場では失礼に聞こえてしまうものがあります。普段使っている言葉はないか、以下の表で確認しておきましょう。

 

避けたい表現 改善例
「なるほどです」 「理解できました」「おっしゃる通りですね」
「了解しました」 「わかりました」(本来は「承知しました」)
「ご苦労さまでした」 「お疲れさまでした」(指導者には「ありがとうございました」)
「すいません」 「すみません」(本来は「申し訳ございません」)
「ですよね」「〜っすよ」 「〜ですね」

 

また、自分のことは「私(わたし)」と呼ぶのが基本です。「あたし」「うち」「僕」「おれ」は避けましょう。

 

あいまいで伝わりにくい表現

報告・返答・相談の場面では、あいまいな表現が「何が大丈夫なのか」「できたのかできていないのか」が伝わらず、指導者を困らせてしまうことがあります。

 

避けたい表現 改善例
「多分そうだと思います」 「確認してきます」
「一応できました」 「〇〇を実施しました。確認していただいてよろしいでしょうか」
「ちょっとよくわからないです」 「〇〇について理解できていないのですが、教えていただけますか」

 

報告の場面では特に「何が」「どうなったのか」を具体的に伝えることを意識しましょう。

 

正しくない敬語表現

相手の動作に対して謙譲語を使ったり、自分や身内の人に対して尊敬語を使ったりするのは間違いです。

【例】患者さんに対して

誤った表現:「先生がいらっしゃいます」(尊敬語)

正しい表現:「医師が参ります」(謙譲語)

自分にとっては目上の立場である看護師や医師の動作も、患者さんの前では謙譲語で表します

 

また、敬語を重ねてしまう「二重敬語」にも注意しましょう。

 

誤った表現 正しい表現
「看護師さんが採血をしてくださいます」(患者さんに対して) 「看護師が採血を行います」
「お召し上がりになられますか」 「召し上がりますか」
「おっしゃられていました」 「おっしゃっていました」
「よろしかったでしょうか」 「よろしいでしょうか」
「〜させていただきます」の多用 「〜します」「〜いたします」

 

敬語を使い慣れておらず、難しいと感じる場合は、丁寧語でも問題ありません。最初は丁寧語を土台にしながら、実習を通じて少しずつ正しい敬語を身につけていきましょう。

 

 

言葉遣いがより良くなる!5つのポイント

言葉遣いが良くなる5つのポイント

 

ここでは、相手によい印象を与えるためのポイントを紹介します。

 

結論から話そう

正しい言葉遣いでも、長すぎたり、回りくどかったりすると伝わりにくくなります。特に、報告の場面では、結論から話すことを意識しましょう。

 

用件を最初に伝えると、看護師も「今すぐ対応すべきか」「少し待ってもらえるか」を判断しやすくなります

打ち解けても「敬語」

実習が進んで患者さんと打ち解けてくると、言葉遣いが崩れてしまうことがあります。

 

しかし、フランクな話し方を「馴れ馴れしい」「失礼」と感じる患者さんやご家族もいます。

 

距離が縮まっても、言葉遣いは丁寧に保ちましょう

表情や声のトーンにも気を配る

同じ言葉でも、無表情・小声・早口では冷たく見えたり、自信がなさそうに見えたりします。

 

患者さんへの声かけはやわらかいトーンで、指導者への報告はハキハキとした声で伝えることを意識しましょう。

 

高齢の患者さんにはマスク越しでも聞こえやすいよう、少し大きめの声でゆっくり話しかけるのがポイントです。

患者さんには専門用語を使わない

看護学生や看護師が日常的に使っていても、患者さんには伝わりにくい専門用語は、少なくありません。

 

わかりやすい言葉に言い換えることも、必要な配慮です。

 

医療従事者がよく使う言葉 言い換え例
バイタル、バイタルサイン 血圧、体温
排泄 トイレ(の回数など)
バルンカテーテル 尿の管
オペ 手術
創部 傷口
疼痛 痛み

クッション言葉を使う

いきなり本題に入るより、クッション言葉を一言添えてから話しかけると、より丁寧な印象になります。

 

シチュエーション クッション言葉
声をかけたいとき 「お忙しいところ失礼します」
「今お時間よろしいでしょうか」
依頼したいとき 「申し訳ありませんが」
「お手数をおかけしますが」
質問したいとき 「失礼ですが」
「差し支えなければ教えていただきたいのですが」
了承を得たい・手伝いたいとき 「もしよろしければ」
断りたいとき 「せっかくですが」
「申し訳ありませんが」

 

実際にどのように使うのかは、以下の例文を参考にしてみてください。

 

  • 看護師に報告するとき
    「お忙しいところ失礼します。〇〇さんのバイタルについて報告させていただきたいのですが、今お時間よろしいでしょうか」
  • ケアをお願いするとき
    「お手数をおかけしますが、〇〇さんのケアの見守りをお願いできますでしょうか」
  • 患者さんにケアの同意を得るとき
    「もしよろしければ、今から血圧を測らせていただいてもよいでしょうか」
  • 患者さんからお菓子などをすすめられたとき
    「せっかくですが、いただくことができないので、お気持ちだけ受け取らせてください」

 

よくある質問

看護学生の言葉遣いについて、よくある質問にお答えします。

 

年下の患者さんにも敬語を使ったほうがいい?

基本的には、年齢に関わらず敬語を使うのがマナーです。ただし、未就学児などの子どもに対しては「お熱測らせてね」「腕ぎゅってするよ」のように、伝わりやすい言葉に置き換えて問題ありません。

 

注意されたけれど、何がダメだったのかわからないときは?

注意してくれた方に確認するのが一番です。
その場で確認しにくい場合は、時間を置いてから聞いても問題ありません。
「先ほどの言葉遣いについて、どのように改善すればよかったでしょうか」と落ち着いて聞いてみましょう。

 

緊張してうまく話せないときはどうすればいい?

「うまく話さないと」と思い詰めなくて大丈夫です。緊張していることは相手もわかっています。
どう話すかよりも、何を伝えるかに意識をおきましょう。丁寧語を土台にして、伝えたい内容を短く、はっきり届けることができれば十分です。

 

まとめ

看護実習での言葉遣いは、完璧である必要はありません。大切なのは、失礼なく、わかりやすく、誠実に伝えることです。


言葉が多少ぎこちなくても、誠実に向き合おうとする姿勢は相手に伝わります。この記事で紹介したポイントを参考に、実習前にひとつずつ確認してみてください。

 

編集:北井寛人(看護roo! 編集部)

デザイン:原田 誠一朗

SNSシェア

コメント

0/100

掲示板でいま話題

他の話題を見る

今日の看護クイズ

本日の問題

◆消化器の問題◆嘔吐について正しいものはどれでしょうか?

  1. 英語では、stomach painという
  2. 嘔吐反射の中枢は大脳にある
  3. 逆蠕動の一種である
  4. 生体防御反応ではない

7787人が挑戦!

解答してポイントをGET