直木賞作家・渡辺淳一さんを悼む「ベテラン婦長」|ナース知っ得ニュース
【週刊】ナース知っ得ニュース 2014/5/28号
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直木賞作家・渡辺淳一さんを悼む「ベテラン婦長」
小説『失楽園』『愛の流刑地』や、『鈍感力』などのベストセラーで知られる作家で医師の渡辺淳一さん。2014年4月30日に前立腺がんのため亡くなりました。
渡辺さんは、医師としての経験を活かした医療小説やエッセイも多数遺しています。
「べテラン婦長」などとして渡辺さんのエッセイ3作品に登場している元看護師・武石清子さんは、ずっと応援していたかったと渡辺さんを悼んでいます。
故渡辺淳一さんのエッセーで「ベテラン婦長」 悼む元同僚「早すぎる」 釧路・武石さん(北海道新聞)
(c)MIKI Yoshihito
医師・渡辺淳一にとって重要な存在であった看護師・武石さん
渡辺さんにとって武石さんの存在は非常に重要だったことが、その遺された数々の著書からもわかります。
「わたしがなんとか一人前の医師になれたのは彼女のおかげである」と2000年の著書「マイセンチメンタルジャーニイ」に記されているほか、武石さんをモデルとした看護婦長は、「母胎流転」「白夜」にも登場しているそうです。
「ベテラン婦長」の助言で行った手術が奇跡的に成功
看護師・武石さんのことは、渡辺さんのエッセイにつづられている釧路市阿寒町の雄別炭鉱病院に勤務した体験の中に記されています。
当時26歳だった渡辺さんが出張医として赴任してきたとき、武石さんは看護婦長でした。
産婦人科医が出張で不在の際、妊娠中の女性が子宮破裂で運ばれてきたとき、渡辺さんは武石さんの助言で専門外の手術に当たったことで、患者は奇跡的に一命を取り留めたそうです。この手術は、渡辺さんが後に講演会や新聞で言及するほど印象深いものだったようです。
医師をしながら作家活動に励んでいた渡辺さん
武石さんいわく、雄別炭鉱病院に3回、計半年ほど派遣された渡辺さんは、病院の医局員室の布団に寝そべって原稿用紙に向かっていたこともあったそうです。
その執筆する姿は「熱心で楽しそうだった」と、武石さんは語ります。
武石さんが最後に渡辺さんと会ったのは、今から10年ほど前のこと。釧路市内の講演会で約40年ぶりに再会したのだそうでした。
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