【2025年版】看護師の初任給は平均いくら？新卒の手取り額や年収を解説

看護師になって初めて手にした初任給、皆さんはいくらでしたか？

 

新卒看護師の初任給の平均額と手取り額、年収など、1年目の給料の最新データをまとめました。

 

 

 

1）新卒看護師の初任給は平均27万～28万円

 

日本看護協会 「2024年病院看護実態調査」によると、新卒看護師の初任給は平均27万～28万円となっています。

 

専門卒と大卒で看護師の初任給を比べると、大卒のほうがやや高く、基本給で5917円、給与総額で7936円の差があります。

 

12カ月分で単純計算すると、看護師1年目では大卒と専門卒で9.5万円ほどの年収差が生じるようです。

 

看護師以外の全職種と比べてみると、全職種の平均初任給は専門卒が約22万円、大卒が約25万円（厚労省「令和6年賃金構造基本統計調査」）のため、看護師の初任給は高めの水準と言えるでしょう。

 

2）新卒看護師の手取り額は22万～23万円

 

初任給の平均額である27万～28万円というのは、いずれも所得税や社会保険料（健康保険料・厚生年金・雇用保険料など）が引かれる前の、いわゆる「額面」の給与額です。

 

実際に給与口座に振り込まれる「手取り」の給与額は、額面のおよそ8割。このため、新卒看護師の手取り額は平均22万～23万円ほどとなります。

 

 

注意1） 4月や夜勤スタート前の給料は低い

初めての給料日に振り込まれた金額があまりに少なくて、ガッカリしてしまう方も多いかもしれませんが、1年目の4月は満額の給料が支給されない場合があります。

 

勤務先によって、給料の「締日（しめび）」があるためです。たとえば、毎月10日を締日とする職場の場合、4月1日に入職した新卒看護師は「4月10日までに勤務した日数分」の数万円しか振り込まれないことになります。

 

さらに、日本看護協会の初任給データには、夜勤手当が含まれていることにも注意です（3交代で8回分、2交代で4回分）。

 

夜勤が始まる前の「日勤のみ」で働く1年目ナースの給料は、額面で22万～24万円、手取り額で18万～19万円ほどになるでしょう。

 

 

注意2） 1年目は「住民税」が引かれない

1年目のうちは給料から「住民税」が引かれません。住民税は前年の収入に対して課税されるためです。逆に言えば、2年目からは「引かれる税金が増える」ということになります。

 

このため、「年次が上がって昇給したのに、2年目のほうが手取りが減った…」というケースもあり得ます。

 

 

3）看護師1年目のボーナスや年収は？

1年目の看護師が初めてもらう「入職直後の夏のボーナス」は5万～10万円ほどか、もらえない場合が多いでしょう。

 

ボーナスは「一定期間の実績に対する評価（査定）」として支給されるもの。そのため、まだ実績のない新人看護師の夏のボーナスは寸志程度で、残念ながらあまり期待できません。

 

一方、冬のボーナスは満額支給されるのが一般的。冬のボーナスの支給額を基本給の1.5カ月分とした場合、看護師1年目の冬のボーナスはおよそ31.5万円（手取りで約25万円前後）になると見込まれます。

 

• 看護師のボーナスはいくら？手取り額や１年目のボーナス事情などを解説

 

看護師1年目の年収がいくらになるかも試算してみました。

 

仮に入職直後の夏のボーナスを10万円として計算した場合、看護師1年目の年収は、約360万円～370万円になります。

 

• 看護師の平均年収いくら？手取り、ボーナスなど給料まるごと解説

 

 

4）看護師の初任給にも地域差がある

看護師の給料には、それぞれの地域の給料相場などが反映されるため、多少の地域差があります。これは初任給でも同様です。

 

日本看護協会の調査から都道府県ごとの初任給平均額を見てみると、次のように幅があることがわかります。

 

 

特に、首都圏や愛知などの都市部は高く、四国・九州地方は低い傾向です。

 

都道府県別初任給ランキング（専門卒・大卒）

順位	専門卒		大卒
	都道府県	平均額	都道府県	平均額
1	東京	303,621円	東京	310,531円
2	千葉	300,354円	神奈川	306,721円
3	神奈川	298,738円	千葉	305,542円
4	愛知	290,818円	愛知	298,745円
5	滋賀	290,432円	静岡	296,611円
6	大阪	289,357円	大阪	296,571円
7	静岡	288,028円	滋賀	295,990円
8	埼玉	284,933円	埼玉	292,670円
9	奈良	284,433円	奈良	292,382円
10	兵庫	283,109円	兵庫	290,922円
11	京都	280,029円	京都	289,303円
12	岐阜	278,851円	岐阜	285,443円
13	群馬	278,698円	群馬	285,183円
14	徳島	275,038円	三重	283,813円
15	石川	273,858円	石川	283,323円
16	三重	273,385円	徳島	281,763円
17	宮城	272,385円	宮城	280,377円
18	栃木	271,218円	香川	279,292円
19	茨城	270,928円	茨城	277,119円
20	青森	270,494円	岩手	276,926円
21	北海道	270,231円	岡山	276,794円
22	岡山	268,594円	北海道	276,652円
23	岩手	268,264円	栃木	275,839円
24	島根	268,011円	長野	275,706円
25	香川	267,817円	青森	275,476円
26	長野	265,920円	鳥取	274,044円
27	鳥取	265,814円	広島	274,023円
28	佐賀	265,671円	佐賀	273,698円
29	広島	265,211円	福島	273,407円
30	福岡	264,912円	島根	273,059円
31	秋田	263,109円	富山	272,961円
32	山口	263,087円	秋田	272,553円
33	富山	262,536円	福岡	272,487円
34	福島	262,421円	長崎	272,478円
35	新潟	262,413円	山口	272,408円
36	山梨	261,950円	福井	270,739円
37	沖縄	261,822円	山形	269,960円
38	長崎	260,620円	山梨	269,705円
39	山形	260,505円	新潟	269,071円
40	福井	258,649円	和歌山	268,797円
41	和歌山	257,395円	沖縄	266,925円
42	大分	256,038円	大分	266,208円
43	愛媛	255,994円	高知	263,507円
44	高知	255,730円	熊本	262,938円
45	熊本	255,413円	鹿児島	261,825円
46	鹿児島	250,909円	愛媛	261,501円
47	宮崎	246,931円	宮崎	253,479円

出典：日本看護協会「2024年病院看護実態調査」
※給与総額には通勤手当・住宅手当・夜勤手当などを含む（時間外手当は除く）

 

 

 

5）病院の規模が大きいほど初任給は高い

病院の規模別に見ると、規模が大きくなるほど、新卒看護師の平均初任給は高い傾向があります。

 

看護師の初任給（規模別）

病床数	専門卒	大卒
99床以下	268,289円	275,956円
100~199床	272,775円	279,723円
200~299床	275,636円	284,152円
300~399床	284,792円	293,551円
400~499床	287,638円	296,125円
500床以上	292,806円	301,137円

出典： 日本看護協会 「2024年病院看護実態調査」

※給与総額には通勤手当・住宅手当・夜勤手当などを含む（時間外手当は除く）

 

 

6）夜勤が始まったら、給料はいくら増える？

入職からしばらく経ち、1年目ナースも夜勤をこなすようになると、給料もぐっと増えます。

 

日本看護協会の調査によると、夜勤手当の平均額と月平均回数は次の通りです。

 

看護師の夜勤手当額と夜勤回数（平均）

	2交代	3交代
				準夜勤	深夜勤
平均手当額	11,368円	4,234円	5,199円
平均回数	4.9回	7.5回
平均手当額×回数	55,703円	35,374円

出典： 日本看護協会 「2024年病院看護実態調査」
※3交代の「平均手当額×回数」の金額は、準夜勤と深夜勤の「平均手当額」を均等に除した金額に「平均回数」を乗じたもの

 

2交代の場合は平均5.6万円ほど、3交代の場合は平均3.5万円ほどが、夜勤手当として毎月の給料に加わる計算になります。「看護師は夜勤で稼ぐ」と言われるように、夜勤手当は看護師の収入で大きなウエイトを占めています。

 

 

7）10年目で給料はどのくらいアップする？

さて、働き始めて10年したら、看護師の給料はどのくらい上がるのでしょうか？

 

日本看護協会の調査から、10年目の中堅ナース（31～32歳、非管理職）の給料を見てみましょう。

 

 

1年目の給料と比べると、勤続10年で基本給が4万円前後、給与総額が5万～6万円前後アップするイメージです。 

 

厚生労働省のデータから、年代別にさらに詳しく見てみましょう。

 

 

看護師の年収・給料は「20代の年収は他職種と比べて高いが、その後は伸び悩む」という特徴があります。看護師は女性が多く、結婚や出産・育児などでキャリアが中断しやすいことなども影響しているでしょう。そのため、男性の割合が高いほかの職種と比べると、昇給率は高くありません。

 

• 看護師の平均年収いくら？手取り、ボーナスなど給料まるごと解説

 

 

8）新卒看護師の給与は5年間で13000円超アップ

最後に、新卒看護師の給与がこの5年間でどのくらい変化したのか見てみましょう。

 

2024年度の新卒看護師の「給与総額」は、前年度を上回りました。この5年で専門卒は13850円ほど、大卒は13771円ほど給与総額がアップしています。

 

 

前年度と比較しても専門卒、大卒ともに給与総額が１万円ほどアップしており、これまでにない上昇ぶりです。

 

2024年度は多くの企業で初任給の引き上げが行われ、初任給の水準が前年度から3～4％ほど増額したことが話題となりましたが、看護師もその社会全体の動向の影響を受けたとみられます。

 

9）まとめ

看護師の初任給は、全職種の平均額に比べるとやや高めの水準です。

 

ただし、それは月3万～5万円の夜勤手当を含んでの話。実際には夜勤手当が付かない時期もあり、必ずしも高給とは言い切れません。また、昇給が緩やかなので、年次を重ねるごとに業務の負担感を感じやすいという側面もあります。

 

看護師は人手不足が続いていますが、若手ナースが看護師として生き生きと働き続けられるような環境づくりに期待したいですね。

 

 

【看護roo!編集部】

 

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（参考）

2024年病院看護実態調査（日本看護協会）

2023年病院看護実態調査（同）

2022年病院看護・助産実態調査（同）

2021年病院看護・外来看護実態調査（同）

2020年病院看護実態調査（同）

2019年病院看護実態調査（同）

賃金構造基本統計調査（厚生労働省）