「ブラック企業大賞2017」医療機関が初ノミネート

長時間労働やパワハラ・セクハラなど、劣悪な労働環境が指摘されているブラック企業を選ぶ「ブラック企業大賞2017」に、医療機関が初めてノミネートされました。

 

 

ブラック企業大賞は、不当な労働を生み出す背景を広く伝え、誰もが安心して働ける環境をつくることを目指して、ジャーナリストや弁護士、労働組合関係者らによる実行委員会が主催。2012年から始まり、今年で6回目を数えます。

 

2017年の選考対象は9法人。

その中で医療機関として初めてノミネートされたのが、新潟市民病院(676床)です。

実行委員会によるノミネート理由は次の通り。

 

新潟市民病院は、1973年に設立され「人間性豊かな医療人の育成をめざします。」「患者さんに信頼される、ぬくもりのある医療をめざします」とうたう公立総合病院である。

 

2016年1月、37歳女性研修医が、長時間勤務が続いたことで睡眠薬を服用して自殺した。

女性の月平均残業時間は187時間、もっとも長い月で251時間だった。

 

報道によると、女性が時間外労働を48時間として申告していたことから、病院側は電子カルテの操作記録をもとに算出した残業時間を「…多くは医師としての学習が目的で、労働時間に当たらない」と弁明したという。

 

亡くなる直前、女性は、「気力がない」「病院に行きたくないし、人とも会いたくない」と

もらし始めたという。女性の夫は、「病院による殺人に等しい」と語っている。

 

今年5月、女性の自殺は長時間労働による過労が原因として労災認定された。

ブラック企業大賞ホームページより引用)

 

新潟市民病院の研修医自殺問題とは

亡くなった女性は、看護助手をしながら医師を目指して2007年、新潟大医学部に合格。2015年春から、新潟市民病院に後期研修医として勤務していました。

 

報道などによると、救急対応のための呼び出し勤務などで、「過労死ライン」とされる月80時間を上回る100時間以上の時間外労働が毎月続いていたといいます。

 

2016年1月、夜間に家を出たまま行方不明になり、翌朝、自宅近くの公園で倒れているのを家族が発見。そばには、睡眠薬と飲み終えたアルコールがありました。「長時間労働による過労と精神疾患が自殺の原因」として8月、家族が新潟労働基準監督署に労災を申請。2017年5月に労災認定されました。

 

新潟市民病院は2017年6月、新潟労基署による是正勧告を受けて「緊急対応宣言」を公表。軽症の救急患者や紹介状のない新規外来患者の受け入れを制限するなど、「職員、特に医師の勤務時間の縮減や適正化」を図るとしています。

 

一方、女性研修医の遺族は2017年10月26日、医師延べ90人に長時間労働をさせたとして、病院を運営する新潟市と篠田昭市長、市民病院の片柳憲雄院長を労働基準法違反で新潟労基署に刑事告発しています。
 

各賞の決定は12月23日

これまで“聖域化”されていた医師や看護師の勤務環境ですが、働き方改革の波を受けて、改善に向けた議論が始まっています。そんな中で発表された医療機関初のブラック企業大賞ノミネート。12月23日に決定される選考結果が注目されます。

 

【烏美紀子(看護roo!編集部)】

(参考)

ブラック企業大賞ホームページ

新潟市民病院「過労が原因」女性研修医自殺、労災認定へ(毎日新聞、2017年6月1日)

新潟市民病院、過労自殺の労災認定で改善策(産経新聞、2017年6月7日)

「責任を問われるべき」新潟市民病院の自殺研修医遺族 市長や病院長を労基署に告発(産経新聞、2017年10月27日)

 

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