「人員増」だけではない。EPA外国人看護師がもたらす恩恵

EPA外国人看護師が職場にもたらしてくれる恩恵は「人員増」だけではありません。

2017年10月現在、8人のEPA外国人看護師と協働している病院から、彼らがもたらしてくれる恩恵をお伝えします。

【文:小林ゆう(看護師)】

 

外国人看護師と共に働く現場から

Vol.6 「人員増」だけではない。EPA外国人看護師が職場にいる恩恵

 

EPA看護師が「I will explain the examination of tomorrow.」と説明。患者さんに対し英語で明日の検査について説明を始めるマリア。

 

 

 

英語で検査説明をしてくれたホセとマリア

EPA外国人看護師に「Do you have any allergies?」と、アーシャさんにアレルギーの有無を確認しているホセ。

 

私の勤務する急性期病棟に、インド在住のアーシャさん(仮名・女性)が入院してきました。

日本への出張中、体調を崩し入院してきたということです。

 

アーシャさんは日本語が話せませんでした。

 

仕事中は通訳者がついていたようなのですが、入院中常に通訳の方に付き添ってもらうというわけにはいきません。

 

いくつか検査が必要だったのですが、私たち看護師は、アレルギー確認や、検査の注意事項などについて、すべてを英語で伝えることは困難です。

 

「英語ならわかる」というアーシャさんに通訳をしてくれたのは、フィリピン出身のホセとマリアでした。

 

初めは不安そうな顔をしていたアーシャさんでしたが、言葉が通じる看護師がいることがわかり、笑顔が見られました。

 

幸い、検査で異常は見つからず、2泊3日で退院されました。

 

 

主体的に説明を担当してくれたマリア

また別の日、中国国籍の張さん(仮名・男性)が腹痛と下血を理由に入院してきました。

 

CF(大腸内視鏡検査)の予定が入ったため、下剤の飲み方を説明をしなければいけません。

一応、図解入りの説明用紙はありますが、すべて日本語のため、これは手ごわい…。

 

「どのような目的で」「どのような検査を行うのか」「その前にどのような処置を行うのか」「下剤の飲み方やそのあとの対処法」まで、英語ですべて説明するなど、私には無理です。

 

その日はマリアが出勤していたので、助けを求めました。

 

私「ねぇマリア。明日、張さん、CFあるから下剤の説明をしたいんだけど、英語でなんて言うの?」

 

マリア「あーじゃ、説明してくるねー英語、ムズカシイでしょ?」

 

私「…あ、ありがとう」

 

私としては、一応自分でやる気があるところを見せたのですが、私が英語を話せないことを知っているマリアは、自分で説明したほうが早い、と判断したのでしょう。

 

さっさと患者さんのところに行ってしまいました。

 

説明をしているときの、張さんの表情や理解度などまで観察できるようになったマリアは、ずいぶん成長したものです。

 

病棟内の看護師で英会話がまともにできる日本人スタッフはほとんどいません。

外国人の患者さんが入院してきたときには、「あーもっとまじめに英語の勉強をしておけばよかったと」と皆が口々に話します。


 

職場が異文化理解を促す場にも

日本人看護師3人が、ナースセンターでEPA外国人看護師のホセとマリアに英語を教えてもらっている様子。

 

マリアとホセは、母国語のタガログ語だけではなく、英語も堪能です。

時々、ナースセンターが英会話教室になることもあります。

 

外国人の患者さんと話すために必要な会話を教えてもらったり、発音を教えてもらったりします。

ネイティブな発音はなかなか難しいものです。

 

そのうちに、朝の挨拶が「グッモーニン!」になり、あちこちから「サンキュー!」の声が聞こえ、仕事が終わると「お疲れ様~!See you!」の挨拶が聞こえはじめました。

 

休憩時間は食堂で、病棟の皆で食事をします。

食事の前のお祈りをするマリアとホセを横目に、私は隣でうどんをすするという、傍から見たら何とも不思議な光景さえも日常となっています。

 

職場で異国の文化に触れることができることにも、うれしく思う毎日です。

 

 

外国人の患者にとっての「英語が通じる」安心感

2020年の東京オリンピックを控え、今後、外国人の来日数はどんどん増加するものと思われます。

それに伴い、病院でも外国人患者さんは増えるでしょう。

 

最近はその場で翻訳してくれる便利なアプリもありますが、体調が悪いときにはできるだけ煩わしいことは避けたいものですよね。

 

そういったときに「言葉が通じる」というだけで、患者さんにはどれほどの安心感を与えられることでしょう。

 

マリアやホセが、通訳として仕事をしているときには、皆に頼られることで頼もしく見えます。

 

「誰かのためになる」こと、「誰かに頼られること」は、彼らのモチベーション向上にもつながっています。

 

 

(参考)

インドネシア、フィリピン及びベトナムからの外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて(厚生労働省)

公益社団法人 国際厚生事業団


【文】小林 ゆう

関東在住。総合病院で勤務する傍ら、看護師ライターとして執筆活動をしている。子育てに奮闘しながらも趣味のライブやダイビングに熱を注ぐ40代。

 

【イラスト】明(みん)

看護師・漫画家。沖縄県出身。大学卒業後、看護師の仕事の傍らマンガを描き始める。異世界の医療をファンタジックに描いたマンガ『LICHT-リヒト』1~3巻(小学館クリエイティブ)が好評発売中。趣味は合気道。

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