エンバーミングは故人と遺族をケアする技術|マンガ・もっともっとやれるナースの力

エンバーミングは「遺体衛生保全」という意味。

知っておきたい専門技術をマンガでわかりやすくレポートします。

もっともっとやれるナースの力。看護の視点が活きるエンバーミング

医療の道に携わるものが避けては通れない、患者さん最後の瞬間。心を尽くして最期のケアをしても院内でできることは限られます。

後悔や悩み、葛藤を感じたことのあるナースもいるでしょう。

今回は、そんな思いを抱いた一人のナースが『エンバーマー』として活躍しているお話です。

お話してくれるのは、元ナースの赤澤美里(あかざわみさと)さん。現在は葬儀社にお努めのエンバーマーであり、一級葬儀ディレクターです。

そもそも『エンバーマー』とは、亡くなられた方が元気なころに近いお姿でご遺族とお別れ出来るようにケアをするお仕事。エンバーミング=遺体衛生保全であり、その技術を持つのがエンバーマーです。

エンバーマーは、長い闘病生活や、様々な理由で変貌してしまったご遺体の姿を、元気なころに近い状態へ戻します。

病棟でナースが行うエンゼルケアと違うのは、専門のお薬や道具を用いるところ。メイクだけでなく損傷部分を修復したり、髪型を整えたり、マッサージをしたりと、さまざまなケアを行います。

エンバーマーになって八年の赤澤さんは「毎日勉強することばかりです!」と言います。「故人は一人ひとり事情もお体の状態も異なるので、毎日違った課題があります」と語る赤澤さん。

「一度も辞めたいと思ったことがないのは、ご遺族の声が嬉しいからです。」と語る赤澤さん。背景には、女子学生のご遺体と、「娘を返してくれてありがとう」と泣き崩れるご両親の姿。

事故でなくなった方をケアした時には、ご遺体を「とても母には見せられない」と途方にくれていた男性が、「実家につれて帰れます…!」と泣きながら喜んでいました。

エンバーミングの希望があった場合、赤澤さんの会社ではまず「葬儀ディレクター」と呼ばれる担当者がご遺族と打ち合わせをし、故人のご生前についてヒアリングをします。

ヒアリングの情報を元にエンバーマーが施すケアは、お姿を整えるメイクだけではありません。ご遺体を清潔に保つケアを行うので、ご遺族とより長時間お別れの時を過ごしてもらうことができます。

「その人がその人らしい姿」で、ご遺族とゆったりと最期の時を過ごせるよう心がけています。とにっこり笑う赤澤さん。

元々は、アメリカの南北戦争時代に、戦死した若い兵士の遺体を家族のもとへ帰すため発展した近代へのエンバーミング技術。日本でも徐々に求めるご遺族が増えているようです。

「最近は、葬儀のどこに重きを置くかの価値観が変貌してきているように感じます。」と語る赤澤さん。(儀式よりも故人との対話)

赤澤さんに、「実は…病棟での看取りがつらい時期があって…」と悩みを相談する明。時間も場所も限られる中で、亡くなった患者さんやご家族のケアが十分にできないことが、すごくつらくて哀しかったと語る明に、「私もそうでしたよ」という赤澤さん。

赤澤さんは、「そのころの気持ちがあったから、今、故人とご家族を支える仕事に就いています。」と語ります。看護現場での経験や視点も役に立っているそうです。中でも…

病棟でのお看取りの際、患者さんやご家族に関わった経験は大きかった、という赤澤さん。「故人のお姿にいろんな想いを抱くご遺族がいることを学びました」と語る赤澤さんの背景には、「変わっちゃったねえ…仕方ないよねえ…」と、涙ぐんで亡くなった旦那さんに話しかける老婦人の姿。

「だから私は亡くなったあとの、故人とご遺族を癒やす道を選んだんです」と言う赤澤さん。次回は、赤澤さんの選択とナースへの想いのお話です。

【次回のお話はこちら(9/22公開)】

「看取りの悩みを少しでも軽く」マンガでわかるエンバーマーの仕事

※取材協力:株式会社 公益社 エンバーミングセンター


 

【取材・マンガ】明(みん)

看護師・漫画家。沖縄県出身。大学卒業後、看護師の仕事の傍らマンガを描き始める。異世界の医療をファンタジックに描いたマンガ『LICHT-リヒト』1~3巻(小学館クリエイティブ)が好評発売中。趣味は合気道。

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