国際協力ってやっぱりハードル高い?国際看護に携わるナースにぶっちゃけ聞いてみた

たとえば紛争中の国での医療支援や、災害時の緊急支援など、看護師が関わる「国際協力」のイメージって、自分の日常とはかけ離れているような気がします。

なんとなく興味はあっても、「休み取れないし」「子供いるし」「生活できなさそうだし」・・・と、何かしらの理由をつけて諦めていませんか。

でも実は、日本国内でできる活動や、子連れで海外へ行く人もいる等、思ったよりも柔軟に参加できるのだそう。そこで、現在日本国内で国際協力に関わっている看護師さんお二人に、ぶっちゃけ話を聞いてきました。

 

【目次】

 

答えてくれた人

 

【山本裕子さん】熊本県出身。1976年生まれ。病院勤務や訪問看護ステーション、保健センター等での経験を経て、青年海外協力隊保健師隊員としてホンジュラスで活動。現在、在日外国人支援事業を担当。

 

【虎頭恭子さん】鹿児島県出身。総合病院でNICUに勤務したのち、ホンジュラス・グアテマラ・ケニアで母子保健活動に携わる。その後カンボジアの地域保健専門家として5年間駐在し、農村地域で子どもの健康改善に取り組む。現在は大学院博士課程に進学。一児の母。

 

 

Q.現在の働き方を教えてください。

山本さん シェアという団体で在日外国人支援事業に携わっています。日本にいる外国人の中には、経済的に厳しくて医療が受けられなかったり、言葉が通じないために医師の説明を正しく理解できなかったり、保健所から届く書類が読めず必要な手続きができなかったりする人がたくさんいます。そのような方々をサポートする仕事です。

 

虎頭さん 私は海外事業に関わっているのですが、現在は大学院に通いながら非常勤で働いています。週2日は仕事、週2日は大学院に通っています。子どもが1歳半なので、週1日は子どもとの時間をとるようにしています。

 

 

Q.国際協力活動とプライベートの両立ってできるのでしょうか。

山本さん 確かに、看護師さんが海外に行こうかどうかと考える時期って、プライベートでも結婚や子どもを考える時期とタイミングが合ってしまいますよね。ある程度現場での経験を積んで、このあとのキャリアをどうしようかなと考える時期だから。

私はそこで海外に行く活動を優先したのでアドバイスになるかわからないですが・・・。

 

プライベートのことで足止めされるなら、「海外に行かなきゃ国際協力はできない」と重く捉えず、まずは周辺に住む外国人や、職場で対応する外国人に目を向けてみるなどから始めればいいと思うんです。

そこからやっぱり海外に行きたいと思うか、その場所でプライベートと両立できる方法を探したいと思うかはそれぞれあっていいのではないでしょうか。

 

 

虎頭さん 私は看護師という仕事は、一生できると思ってるんです。働き方を工夫すれば、細く長く働けるという意味で。

 

それと同じで、海外に出るとか国内で働くとかいうことに線を引かずに、今やっていることの延長線上に海外があるなら行ってみればいい。海外に出るとなにかを失う、結婚するチャンスを失う、とかじゃなくて、できるときにできることをやればいい。逆に、若いときにできなかったからもうチャンスはないんじゃないかとか言う人もいるけど、そんなことないですし。

いろんな関わり方があるから、自分の経験はどんな活かし方があるのか、調べてみることから始めてもいいんじゃないですかね。

 

 

Q.子どもがいたらさすがに活動できないですよね・・・

山本さん まず海外に行くだけじゃなく、日本国内で働くことも考えれば、いろんな選択肢がありますよね。

今国内で働いているスタッフの中にはいろんな方がいますよ。子育てが一段落するまではお休みして、落ち着いてから戻ってくる人もいるし、働きながらボランティアでやってる方もいます。逆に海外での経験を数年して帰国して、適齢期になって活動をお休みするという方もいたし。

 

虎頭さん 今子どもが1歳半なのですが、私の場合は妊娠8ヶ月までカンボジアにいて、帰国して産んで、8ヶ月たった後に1ヶ月間、子どもを連れてカンボジアに戻りました。環境を整えなきゃいけないという点では大変さもありますけど、子どもがいることによって現地のお母さんと共通の話題ができるし、いいことも沢山ありましたよ。

 

カンボジアでは、私と同じようにお母さんが単身赴任で子どもを連れてきている人が結構いたんです。その人たちは、海外の方が仕事しながら子育てしやすいと言いますね。お手伝いさんの存在も含めて、サポートが受けやすいんです。

仕事に復帰するときも、日本ほどちゃんと準備しないと復帰できないということがない。ふつうに仕事に子どもを連れていくこともできるし、社会全体が優しい気がします。そういう発見があるのも楽しいですよ。

 

 

Q.お給料はどれくらい?生活できるの?

山本さん フルタイムスタッフなので、手取りで23万くらいです。パートタイマーの方はもっとシビアな金額だと思います。私は仕事として国際協力活動をしているようなものですので、この額が全収入。日々節約が必要ですね。

正直、この職場に来たときに感じたのは「好きなことをするにはお金が入らないこともある」ということでした。6~7年やってきて、今将来のことを考えると確かに少ないと思いますよ。フルタイムで働いてしまうと他のことをする時間はなかなかないですし・・・。バランスを取ってやっていければと思っています。

この分野にはまだまだ課題があるから、それでも関わりたいという気持ちが強いんです。

 

働き方としては、他と掛け持ちできるパートタイムの方も多いですね。

あとは、看護師であれば、その力を活かして起業してもいいかもしれない。課題に思っていることがあるなら、能力を活かしてフィールドを作っていけばいいと思います。

 

虎頭さん 関わる組織や形態によってかなり異なります。生活に十分な程度の青年海外協力隊やNGOと、日本に戻ってきてからもしばらく安心して生活できるJICA専門家。様々です。

 

条件の話としては、帰ってきてからの仕事の問題もありますよね。

日本の臨床現場では、国際協力などの海外経験は看護師のキャリアとして加算されないのも問題だと思います。たとえばアメリカだと、青年海外協力隊に参加したら推薦状をもらえるんです。それを持っていれば大学院に入りやすい・就職しやすいとかメリットがある。だからステップアップのために行く人も多いし、行きやすい。

日本だと、海外経験のある人が臨床に戻っても、その経験を活かす土台がなくて安定しないというのも、行きにくい理由なんじゃないかなと思います。

 

国際支援活動の経験者は、教育や管理の経験、地域をどう巻き込むかという経験もしています。いわゆる臨床のいちスタッフとしてだけじゃなくて、管理者として活かせるんです。そういうことを、経験者から発信していってもいいのかなと思います。

 

 

 

Q.ふつうの病棟での経験しかないのですが大丈夫?どんな経験があればいいの?

山本さん 私は4年間は病院で働いて、その後山谷地区の訪問看護ステーションでアルバイトしたり、保健センターに行ったりしていましたが、どれも絶対役に立つと思っていました。

実際、今の団体で行っている、日本に住む外国人の健康支援活動には、山谷での訪問看護活動もとても役に立ってます。

 

今私が所属する団体の海外での活動は、緊急の医療を提供するのではなくて、現地の方とともに学び合い現地の方主体で問題解決を目指す活動をしています。だからER的な経験よりも、教育や指導の経験がある人が求められていたりします。

 

 

虎頭さん 私は国際協力に関わるために看護師になりました。途上国は母子保健の問題が多いので助産師になるか迷ったけど、さらに時間がかかっちゃうので、限りなく母子保健に近いところとして、NICUを就職先に選んだんです。

でもいざ海外に出てみたら、持っているスキルが全然足りなかった。臨床現場で3年間働く中では、教育の仕事や、「ふつうの子どもがかかる病気」の経験はできないじゃないですか。それで帰国後、普通の風邪とか、途上国の子どもが病院にかかる基本的な疾患をあらためて勉強したいと思って、地元の病院に協力してもらったりもしました。

 

看護師さんってまじめなので、ちゃんと準備して、ちゃんとできるようにならないと、と思ってる方が多いのではと思うんです。でもわりと適当というか、まずはぽんと出ちゃったらわかることもあると思いますよ。

 

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「国際支援」「医療協力」という大仰な言葉のイメージよりも、柔軟で自由な働き方・生き方をしているお二人が印象的でした。興味があるなら思い切って一歩を踏み出してみると、意外と身近なところから、新しいキャリアが開けるかもしれません。

 

 

【イベント告知】

看護師として国際協力に興味がある方に向けた「国際看護・保険を目指す人のためのキャリアナビ講座」が、お二人の所属するNGOシェアの主催で開催されます。詳細はシェアのHPでご確認ください。

 

【開催日】

2016年10月22日(土)10:00~17:30

【会場】

JICA地球ひろば 国際会議場

東京都新宿区市谷本村町10-5(JICA市ヶ谷ビル内)

【参加費】

10,000円

【お問い合わせ先】

特定非営利活動法人シェア=国際保健協力市民の会

Tel:03-5807-7581

E-mail: info@share.or.jp (担当:西山)

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