患者さんの涙|看護師絵日記
看護師絵日記
患者さんの涙
よく泣く患者さんがいた。

はじめは「どうしてこんなことになったんだろう」と布団に包まって泣いていた。
「急なことで、驚いていて分からないことだらけですよね」
と声をかけながらしゃがむと、布団から手が出てきて
そっと手を添えると、もう片方の手が出てきて
両の手でわたしの手を握りながら泣いていた。
病気に対する受け入れや初めての入院や治療に対する不安がどっと押し寄せていたんだな。
彼女の頭の中がパンクしないように必要な話をしていく毎日。
彼女の涙は少しずつ減っていった。
ある日、彼女の状態が悪化した。
彼女は遠のく意識の中で泣いていた。
「辛いね!頑張っているね!」と何回も声をかけた。
あとでそのときのことを彼女は「ひとりになるかと思った」
と泣きそうな顔で言っていた。
「泣き虫でごめんね…」が口癖だ。
また幾日か経って彼女が駆け寄ってきた。
「こんな日がくるとは夢にも思っていませんでした。ありがとう」
いつもの病院のパジャマではなく、私服を着ていた。
退院の日だった。

その人が笑顔で流す涙が好きだ。
患者さんが色々な涙を流すことができるくらい、思いを表出できる環境を作るには
一人ではないことを伝えること、寄り添うことが必要なのかもしれない。
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