悪くなるのは当たり前だから我慢する|看護師絵日記

看護師絵日記

悪くなるのは当たり前だから我慢する

 

「もう抗がん剤の治療はしたくない」

と化学療法の治療を中止して外来で経過観察していた患者さん

 

再びこの病棟に入院した。

肺炎になっていた。

 

悪くなるのは当たり前だから我慢していたという患者さん

 

酸素と点滴を投与しながら浅い呼吸で告げられた。

 

「自分は独り身だから長生きしてもしょうがない。

悪くなるのはあたりまえだから我慢していたらね、

家にきたヘルパーさんがこれは大変だって病院にね。」

 

「一人で家で苦しいのを我慢して頑張ったんですね。」

とベッドサイドにしゃがんで声をかけると

 

「今はもう全然苦しくないのよ。治療しないって決めたのにね。

でもここに来れてよかったわ」

と泣きながら言っていた。

 

家で高熱と息苦しさで何日も一人で過ごして

とても心細くて寂しかったんだろうな。

 

 

病気に対する治療には、さまざまな方法がある。

抗がん剤や手術など、

病気そのものの治療の他に

病気による「苦しさ」を取り除く治療もある。

 

それを知らない患者さんは意外と多いのかもしれない。

 

治療しないということは、ある一つの方法を中止することであって

病院にいかないことではない。

 

 

【かげ】Twitter

総合病院で働き、絵を描く看護師です。医療の勉強に役立つ(てほしい)絵や仕事でのほっこり話などをTwitterでつぶやいています。

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