新卒から訪問看護師を目指せるプログラム開始―畳の上で死ねない日本人の救世主になるか

世界一、病院で亡くなる人が多い日本

 

「畳の上で死ぬ」とは、古くから当たり前の死に方を表す慣用句として用いられてきた言葉です。

 

ですが実際には、日本人の死に場所はほとんどが「病院のベッド」です。

 

8割の人が病院で亡くなっていて、がん患者では9割以上にのぼるなど、現代の日本では自宅で亡くなる人は少数派です。

 

病院で亡くなる割合を諸外国と比較すると、アメリカではおよそ4割、フランスやオーストラリアでは6割など、50%前後の国が大半です。

 

日本はまさに世界一、病院で亡くなる人が多い国と言えそうです。

 

 

訪問看護師はわずか3%

病院におけるマンパワーなど医療資源が不足する中、看取りまで含めた在宅での療養を推し進める方針が以前から進められています。

 

在宅医療を支えるキーパーソンともいえる訪問看護ステーションの数は年々増加していて、2013年には全国でおよそ7,400の訪看ステーション、4万人の訪問看護師が活躍しています。

 

しかし割合でみると、訪問看護師は全就業看護師のうちわずか3%。高齢化が一気に進む2025年を乗り切るには、十分とはいえない状況です。

 

 

在宅での看取り率は訪看の数に比例―日本はどちらも低い

また各種調査によれば、訪問看護師が十分に活躍しているかどうかが、その国の在宅での看取り率に大きな影響を与えていることがわかります。

 

高齢化率や平均寿命が類似している諸外国の在宅死亡率を比較すると、スウェーデンでは51%超、オランダは31%、フランスは24%、日本は13%が自宅で亡くなっています(厚生労働省「諸外国の看取りデータ」より引用)。

 

これを、人口1,000人に対して訪問看護師が何人いるかで比較したところ、スウェーデンでは4.2人、オランダ2.7人、フランス1.2人、日本0.4人と、在宅での看取り率が高い国ほど、訪問看護師が活躍していることがわかりました(同上)

 

在宅死亡率 人口1,000人に対する訪問看護師数
スウェーデン 51% 4.2人
オランダ 31% 2.7人
フランス 24% 1.2人
日本 13% 0.4人

 

日本でもオランダやフランス並みに、在宅で亡くなることができる割合を30%程度まで引き上げるためには、約15万人の訪問看護師が必要と言われています。

 

 

新卒者にも訪看の道が開けるプログラム

数が少ないのはいくつかの理由が挙げられますが、そのうちの1つは、新卒者が訪問看護師になる道が閉ざされていることです。

 

医師や先輩看護師がいない中、1人で判断して行動することが求められる訪問看護師には、十分な病棟経験が必要であると言われています。

 

実際に、訪問看護師として働く人の年齢は、30代後半~40代以降が多く、結婚・出産で退職した看護師の受け皿という要素が強いことがわかります。

 

看護師自身も、「経験がないと訪問看護の道に進むのは不安」などという意識が強く、なかなか一歩を踏み出せない現状があります。

 

ところが、訪問看護師の絶対的な不足状況を受け、新卒者でも訪問看護師への道を考えられるような動きが出てきました。

 

その代表例が、日本看護協会が2月にまとめた「訪問看護入門プログラム」です。

 

訪問看護未経験者に向けて作られたこのプログラムは“新卒者”も対象です。訪問看護に興味のある人が誰でも受講でき、「はじめの一歩」となるように工夫されています。

 

プログラムの受講対象は次の通りです。

 

【新卒看護職】

看護学校を卒業直後で、実務経験のない看護職

 

【潜在看護職】

育児・介護等で実務を退いている看護職

 

【医療機関に勤務する看護職】

現在は医療機関などで働いているが、訪問看護にも興味がある看護職

 

【定年退職後の看護職】

セカンドキャリアとして訪問看護を選択する看護職

 

専門的な知識を習得することよりも、むしろ未経験者が「自分にもできそう」「やってみよう」というモチベーションを高められることを主な目的としています。

 

超高齢化の次に来るのは「多死社会」といわれています。

 

3人に1人が高齢者となる2025年問題、年間100万人近い人口が消滅する多死社会を乗り切る秘策は、訪問看護師の活躍をいかに引き出すかにかかっているのかもしれません。

 

【ライター:横井かずえ】

 

(参考)

訪問看護入門プログラム(PDF)(日本看護協会)

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