高齢者による自動車事故を防げ―免許センターに看護師を配置

高齢者による自動車事故が相次いでいます。これを受け、運転免許センターに看護師を配置し、認知症などを早期に発見して事故防止につなげる試みがスタートしています。

 

熊本県が全国で初めて看護師を配置したのを皮切りに、宮崎県でも今年4月から同様の取り組みをスタートすると発表しました。

 

 

看護師による認知症疑いの早期発見で事故防止を

こうした中、熊本県では全国で初めて免許センターに非常勤の看護師2人を配置。更新時の運転適性相談への立ち会いや医療機関への受診勧奨、専門家の視点からのアドバイスなどに取り組んでいます。

 

宮崎県でも県内3か所のセンターに、計4人の看護師を配置する方針を発表しました。

 

熊本県によれば看護師を配置したことで、認知症疑いの発見や受診勧奨で高い効果を発揮しているということです。また、後述する免許証の自主返納も大幅にアップしました。

 

このような取り組みの背景にあるのは、高齢ドライバーによる逆走やアクセルとブレーキの踏み間違えなどによる、深刻な事故の増加です。

 

高齢者による自動車事故は10年前の2倍!

全体でみると交通事故の数は減少傾向にあります。都内では交通事故の総数は3万7000件(2014年)で、10年前の半数以下となりました。

 

これに対して高齢ドライバーが引き起こす交通事故の割合は年々増えていて、2014年には総件数の20%を占めました。件数も10年前と比べてほぼ倍増しています。

 

高齢者による事故が増えるのは、単純に人口比に占める高齢者の割合が増えていることが要因の一つです。

 

一方で高齢者ならではの身体面での衰え、認知症などの疾病が大きな問題となっていることは間違いありません。

 

高齢者による自動車事故の増加を背景に、2015年には道路交通法が改正。75歳以上のドライバーが免許更新時に受ける認知機能検査で「認知症の恐れ」と判定されると、医療機関を受診することが義務付けられました。

 

高齢者は「自分の運転は安全」と思ってる?アンケート結果に“温度差”

高齢ドライバーの運転に対するアンケート調査からは、高齢者自身は自分の運転が「安全だ」だと感じている反面、高齢者以外は「高齢者の運転は危ない」と考えているなど、意識に大きなギャップがあることもわかりました。

 

「高齢者の運転」に対するアンケート調査(2005年警察白書:第1章:図1-36)では、65歳未満の7割が「高齢者は周囲の状況に注意を払わない」「ブレーキなどの反応が遅い」と感じているのに対して、65歳以上でそう感じる人は4割程度にとどまっています。

 

反対に、65歳以上の3割近くが「高齢者は周囲の状況によく気を配っている」「安全意識が高く、マナーを守っている」と思っているのに対して、65歳未満でそう感じる人は1割未満など、温度差が浮き彫りになりました。

 

「免許の自主返納」が20万人突破

一方で、高齢者による事故を防止するための施策の一つである、「免許証の自主返納」はここ数年で劇的に増加しています。

 

高齢の家族による運転を心配する声を受けて1998年にスタートした自主返納制度ですが、2012年には10万人を、14年には20万人を突破しました。

 

激増した理由に、免許を返納した人に対して交付される「運転経歴証明書」で多くのメリットが受けられることがあります。自治体によってさまざまな優待制度が設定されています。

 

例えば東京都では、タクシーやバスなどの交通機関の割引、電子マネープレゼント、デパートなどで購入商品の配送サービス、動物園や美術館などの入場料割引、ホテルや飲食店の割引、信用金庫での金利サービスなど数えきれません。

 

2025年には高齢者の5人に1人が認知症ともいわれています。そうした中、高齢者自身が被害者にも加害者にもならない仕組み作りを早急に進めることが求められています。


【ライター:横井 かずえ】

(参考)

防ごう!高齢者の交通事故!(警視庁)

先進政策バンク 先進政策創造会議(全国知事会)

 

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