続く看護師不足で「理想のケアできない!」|看護roo!ニュース

人手不足に悩む看護師のイメージ画像

看護の質の低下につながる課題として、以前から指摘され続けている看護師の人手不足。

 

日々の現場でも「人が足りない…!」と感じる場面も少なくないでしょう。

 

では、実際にどのくらい看護師が不足し、それによりどのような影響が出ているのでしょうか

 

日本医療労働組合連合会の「2025年看護職員の入退職に関する実態調査」から見ていきます。

 

※日本医労連組合の145医療機関(36都道府県)が調査対象。平均稼働病床数は312.3床、平均看護職員数は357.4人。調査期間は2025年4月1日〜5月7日。

 

人手不足が悪化…6割の施設が「退職者の方が多い」

人材不足のイメージ画像

2024年度は「年間の採用者数より退職者数の方が多かった」という医療機関が58.1%に上りました。

 

つまり、6割の施設が前年より少ない看護師数で、看護サービスを提供しなければいけないことになります。

 

2023年度は、退職者数が採用者数を上回った施設は49.6%だったため、この1年間で人手不足が悪化したと言えます。

 

また、2025年4月の新規採用では、4割の施設が募集定員を満たすことができませんでした

 

必要な看護師数を確保すること自体、難しい現状がうかがえます。

 

医療現場にはどんな影響が?

人材不足が悪化すれば当然、医療・ケアの提供体制に影響が出てきます。

 

調査では、影響として最も多かったのが「患者サービスの低下」でした。

看護師不足で医療機関にどんな影響が【グラフ】患者サービスの低下44.8%、稼働病床の削減20.7%、入院受け入れの制限17.9%、病棟の閉鎖12.4%、その他15.9%、回答施設数145施設、複数回答可、出典:日本医療労働組合連合会、2025年看護職員の入退職に関する実態調査

具体的な事例として、

 

  • ベッドサイドに行く時間が限られ、ケアの時間が十分に確保できない
  • 清潔ケアが特に低下していて、週に2回だった入浴が1回になった
  • 患者さんとの会話が必要最低限になった

 

といった声が挙げられています。

 

このほか、「稼働病床の削減」「入院受け入れの制限」「病棟の閉鎖」といった影響も出ているようです。

 

人手が足りない医療機関はこれまで通りのサービスを維持できず、ケアにかける時間やそもそも患者の受け入れ数を減らさざるを得ない状態にあるとみられます。

 

看護師の働き方にも変化が

人手不足による影響は、看護師の働き方にも出ています。

 

「夜勤回数の増加」が最も多く、「時間外労働の増加」「休暇が取れない」などが続きます。

人手不足で看護師の働き方はどう変わった【グラフ】夜勤回数の増72.4%、時間外労働の増加58.6%、休暇が取れない50.3%、休憩が取れない47.6%、母性保護に関する時間外や深夜業免除ができない24.8%、その他9.7%、回答施設数145施設、複数回答可、出典:日本医療労働組合連合会、2025年看護職員の入退職に関する実態調査

このような状況に現場からは、

 

  • 一般企業で賃金のベースアップが進む中で看護師の賃金は変わらず、ますます目指す人が減っている
  • 今の診療報酬では人手不足は解消できない。根本的な仕組みを変える必要がある
  • 夜勤の回数が増え、職場がギスギスしてくる。結果として退職者も増えてしまう

 

などの声が挙がっています。

 

今後も多くの病院で、必要な看護師数を確保するのに苦労する状況が続くと予想されます。

 

現場の力だけでは解決は難しく、給料や労働環境を改善するために制度自体を見直す必要性が高まっています。

 

看護roo!編集部 北井寛人

 

 

(参考)

日本医療労働組合連合会「2025年看護職員の入退職に関する実態調査

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