HSP気質で常に消耗…毎日が生きづらい|バク先生のナースお悩み相談室【13】

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バク@精神科医

精神科専門医

 

今回のお悩み

お悩みナースのアイコンイラスト(大学病院・3年目)

HSP気質のせいか、人の気持ちに敏感に反応してしまい、職場でもつらいことが多いです。

 

相手の些細なサインから感情を感じ取っては「今イラッとされたかも」「できないやつと思われてしまった」などと気に病み、毎日消耗しています

 

誰かが厳しく怒られているのも苦手で、自分のことではないのに強いストレスを感じて落ち込みます。患者さんの感情にも引っ張られやすく、いつも疲弊しています

 

どうしたらもう少し生きやすくなれるのでしょうか?

バク先生アイコンイラスト

こうした生きづらさの悩みを抱えている方、看護師さんにも多いと思います。

 

でも、ちょっと立ち止まって「なぜ他者の感情に自分の感情が振り回されてしまうのか」考えてみませんか?

 

「他人の感情」は本当かどうか確認できない

こんにちは、バクです。

 

実はこういう悩みを抱えて受診に来られる方は非常に多く、看護学生さんから看護師さんまで多くの人に私が言ってきた言葉をここでも言いたいと思います。ショックを受けると思うので覚悟して読んでください。

 

人の感情を読み取れる人はこの世にいません

 

精神科医なのになんてひどいことを!?と思われたかもしれません。でも私は読者の皆さんの気持ちが読み取れないのでわかりません。それでも精神科医として仕事はできています。

 

ちなみにHSPという言葉が流行り出してから、この状態を訴える人が急激に増えました。

 

しかし「相手はイラっとしている」「できないやつと思っている」など、実際は本当かどうか確認ができないこと(=自分の思い込みかもしれないこと)に、なぜ振り回されてしまうのかという根本的なところを考えてみましょう。

 

極論を言えば、本当に相手がイラっとしたとしても、直接あなたにそのイライラをぶつけてこなければそのままで良いし、できないやつと思われていても仕事ができるように研鑽して、そう思われないように修正して過ごす方が建設的だと思います。

周囲の態度や会話に敏感に反応して疲弊している看護師のイラスト

 

他人の感情と自分の感情は混ぜないで

そもそも、HSP気質という言葉は病名でも医学用語でもありません

 

しかしこの症状を訴える人はその言葉に接触し、「私はこうなんだ!」と、まるで自分で自分を洗脳するようにHSP関連の内容を検索し、「こんな症状があるのか……よく考えたら私もある!」とより影響範囲が拡大させていく人が多いです。そんなことはありませんか?

 

でもそれは私がよくSNSで言っているのですが、「病名でググるな」という話になります。医学生も看護学生も、病気の勉強をしたら自分もそういうところがある!となるのは前からよくある反応で、そこで飲まれてしまうと医療従事者にはなれない人が多いです。

 

でも、質問者さんはちゃんと3年目まで大学病院で勤務できておられますすごいと思います

 

病院で接する相手のほとんどが病気で「苦しい」という負の感情を持っている人です。そういう人は元気な人よりイライラしやすいし、怒ったり怒鳴ったりもしますし、悲しい気持ちを抱えています。ご家族さんも「どうしたらいいのかわからない」と悲観的です。

 

もしも「本当に」相手の感情に敏感に反応する体質なのであれば、看護師はかなり向いていないと言うしかないでしょう。

 

で、最初のきつい言葉に戻ります。

 

人の感情を読み取れる人はこの世にいません

 

なんとなく感じるんです!わかるんです!という人もいるかもしれませんが、もしそうだとしても、それは他人の感情です。なのに、それを自分の感情と混ぜて考えるのはなぜ?と質問すると「あれ?」となる人もいます。相手がイラついたとして、イラつかないでください!と要求することもできないし、自分の感情もコントロールできないのですから、いわんや他人をや、なのです。。

 

他者と自分の「境界線」を引き直そう

だからこそ、「他人の気分によって自分の感情がアンコントロールになってしまう」と感じるのであれば、可能であればカウンセリングを受けた方が良いと思います。

 

他者と自分の境界線が曖昧になった状態で、病院にいることはとても危険です。

 

まずは心理療法で他人と自分の境界の認識がどうなっているかを知って、適切な距離を取れるようになることが今後、看護師さんとして業務を行う上では絶対必要なことだと思います。

 

私が今回の原稿を書いていて感じている感情は怒りではなく心配です。もし「先生はHSPが病気じゃないのに、こんな相談をされて怒ってる!」と思う方がいたならば、やはり相手の感情に影響されているというよりは「自分が考えた相手の感情」という偽の情報に騙されてしまっている(しかも自分で自分を)ということだと思いますし、そのままではしんどいよなぁって本当に心配しております。

 

どうぞ良い結果につながりますように。

 

執筆

バク@精神科医

ADHDをはじめとした発達障害持ちの元文系。理転した後、無事に医学部に合格。国家試験も何とかクリアしたものの、専攻した内科で適応障害になり休職し、精神科医として無事?復活。精神科でジェンダー外来を通じ自分の性自認が完全に無いことに気付く鈍感さ。そんなアセクシャルながらもご縁があって結婚できた、いろいろぼんやりしている精神科医。
雑誌連載や書籍を出したり、依頼があれば講演会をしたりしながら「生きてみるもんだなぁ」と日々感謝しながら今日も日本のどこかで働いている、はずです。

 

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編集:烏 美紀子(看護roo!編集部)

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