最終更新日 2018/03/29

肺気腫

肺気腫とは・・・

肺気腫(はいきしゅ、emphysema)とは、終末細気管支より末梢の含気区域が異常に拡大し、肺胞壁の破壊を認める状態のことをいう。喫煙との関連が強く、中年以降の男性に多い。

【病態】

喫煙などの刺激により肺胞壁の破壊が引き起こされると肺胞の気腫化が進行するとともに、肺胞自体の弾性力が低下する。その結果、息を吐き出す際に肺胞が縮みにくくなり、過膨張の状態になる。また、過膨張となった肺胞は隣接する他の肺胞へとつながる気道壁を圧排し気道閉塞をきたす。これらにより、肺気腫が進行すると息を吐くことが難しくなってくる。

【慢性閉塞性肺疾患と肺気腫】

慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)という疾患概念があり、COPDは慢性気管支炎や肺気腫とは同義ではないが、臨床現場では同列に扱われることがある。COPDの基本的な病態は気流制限であり、肺気腫や慢性気管支炎であっても気流制限を認めるほどでなければCOPDには含まれない。

【症状と診察所見】

咳嗽(がいそう)、喀痰(かくたん)、労作時呼吸苦、喘鳴(ぜんめい)などがみられる。診察所見としては、息の呼出ができず肺が過膨張となるため、呼気は延長し呼吸音は減弱する。また、肺の過膨張により胸郭の前後径が増大し、ビア樽状胸郭となる。他には、胸鎖乳突筋の肥大、口すぼめ呼吸、気管短縮なども特徴的な診察所見としてみられる。

【呼吸機能検査】

肺気腫を診断する呼吸機能検査にはスパイログラムとフローボリューム曲線がある。

スパイログラムでは気流制限のために1秒量(FEV1)と1秒率(FEV1%)の低下をみとめる。気流制限の重症度は気管支拡張薬吸入後の%1秒量(%FEV1)により分類される。また、フローボリューム曲線では、気流制限のため最大呼気速度(Vmax)や呼気後半におけるVmax(V50、V25)が低下する。

【治療】

喫煙者であれば禁煙が最も重要である。薬物療法としては長時間作用型抗コリン薬やβ2刺激薬などの気管支拡張薬の吸入がある。これらに加えて、呼吸リハビリテーションが行われる。

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