最終更新日 2018/02/06

廃用症候群

廃用症候群とは・・・

廃用症候群(はいようしょうこうぐん、disuse syndrome)とは、身体を動かせないことにより、筋骨格系、呼吸器・循環器系、精神神経系などに障害(機能低下)を起こし、日常生活自立度が低下した状態のことである。

【要因】
廃用症候群の要因は、内的要因と外的要因に分けられる。
■内的要因
罹患している疾患(持病)のために、体を動かすことができない状態が続く場合。たとえば、脳梗塞による麻痺喘息・肺疾患による呼吸苦や、心不全、抑うつ状態などのために、体を動かせない状態が挙げられる。
■外的要因
自分では体を動かせるが、治療などのために安静・臥床を指示されている場合で、骨折後のギプス固定中などが挙げられる。

【筋力低下】
筋力は、日常生活(立位・歩行・座位維持など)において、多くの筋肉を使用することで維持されている。
安静・臥床では初期に約1~3%/日、10~15%/週のペースで筋力低下が起こり、3~5週間では約50%の筋力低下が起こると言われている。
廃用症候群は長期臥床が原因となるが、実際に高齢者では2.3日~1週間くらいで生じることが多く、理論的な低下スピードよりも、想像以上に早い段階で出現していることを認識するべきである。

【予防】
今の日本は高齢化が進み、病院での治療対象者は超高齢者が少なくない。超高齢者の治療では、内科・外科疾患いずれの治療を行うにしても、合併症予防が大切であり、その一つとして廃用症候群の予防が大きな目標となる。
しかし、十分な配慮なく積極的に高齢患者を動かし、転倒などのトラブルを起こすこともあるので、病気の治療だけでなく、安静によって寝たきりになるリスクを、患者や患者の家族にしっかりインフォームド・コンセントすることが大切である。

執筆: 金谷裕司

自治医科大学 整形外科助教

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