最終更新日 2019/02/13

破傷風

破傷風とは・・・

破傷風(はしょうふう、tetanus)とは、偏性嫌気性菌である破傷風菌(Clostridium tetani)によって強直性痙攣を引き起こす感染症である。

【原因】
破傷風菌は、好気的な環境下では生育できず、通常は熱や乾燥に高い抵抗性を示す芽胞を形成し土壌に広く分布している。そのため、日常生活で、芽胞との接触を完全に遮断することは不可能であり、誰でも感染する可能性がある。破傷風菌の産生する毒素には、神経毒であるテタノスパスミン(tetanospasmin)と溶毒素(tetanolysin)があり、一般的にはテタノスパスミンが破傷風の発症に起因する。

【症状】
潜伏期が4日~3週間(平均1週間)あり、微熱が1~2日継続したあと、下記の症状が生じる。

■第1期
・創部付近の知覚異常

■第2期
・咬筋痙攣による開口障害(咬痙)、痙笑

■第3期(生命に最も危険な時期)
・頸部硬直
・発作的な強直性痙攣(後弓反張)
・腱反射亢進
・バビンスキーなどの病的反射
・クローヌス

■第4期:寛解期
破傷風では、初期症状(一般に開口障害)から、全身性痙攣(第3期)が始まるまでの 時間をonset timeといい、これが48時間以内の場合、予後不良となる。

なお、破傷風の予後は悪く、死亡率は50%である。無治療の成人は15~60%、新生児は治療を受けても80~90%となり、潜伏期が短く症状の進行が早い場合や治療が遅れたケースは予後不良である。

【診断・検査】
破傷風の診断は、基本的には臨床診断で行われるが、細菌検査で感染部位から破傷風菌が分離された場合、より確実な診断が可能となる。破傷風菌の分離培養に用いられる検体には、 患者の感染局所のデブリードマンによる組織片や膿汁などがある。なお、破傷風菌は偏性嫌気性菌であり、分離培養するときに好気環境へ暴露されると死滅しやすいので、 材料の採取から分離培養まで嫌気的条件になるように配慮して行う必要がある。検体の塗抹標本をグラム染色した場合、破傷風菌は培養初期では通常、グラム陽性であるが、 長期間培養すると陰性化する傾向がある。

【治療】
破傷風を発症した場合、対原因療法として、抗破傷風人免疫グロブリン(抗毒素)とペニシリンG(抗菌薬)、挫創の浄化を行う。

対症療法としては、安静や鎮静薬(痙攣や不穏に対して)を行う。また全身管理も大切であり、呼吸循環管理を行い、必要に応じて気管内挿管を行う必要ある。

【予防】
破傷風は予防が大切であり、平成6年の予防接種法改正から、予防接種は任意から定期接種に変更となった。

けがをした場合、破傷風の危険性の高い傷(受傷から6時間以上、深く大きい傷、唾液や土壌の汚染ありなど)とそうでない傷に分類して、破傷風トキソイドと抗破傷風人免疫グロブリンを使い分ける。基本的には、破傷風トキソイドは、ほぼ全例で接種し、破傷風の危険性の高い傷には抗破傷風人免疫グロブリンと破傷風トキソイドを併用する。

執筆: 神谷侑画

神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター副医長 救命救急センター

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