最終更新日 2019/01/22

尿路管理

尿路管理とは・・・

尿路管理(にょうろかんり)とは、排尿障害などを有する患者に対して適切な排尿法を確立することである。
目的としては、まず上部尿路障害および腎機能障害、尿路感染症の予防が挙げられる。また、尿失禁をコントロールすることによる患者本人や介護者のQOL改善や、患者が社会生活へ適応するための支援なども尿路管理の目的の一つである。

尿路管理を行う際は、年齢や性別、基礎疾患などの患者背景や、排尿障害の原因およびその病態について理解し、患者の自尊心を尊重することが大切である。症状と病歴の聴取や、身体所見をとり、排尿障害の鑑別のために尿流量測定や残尿測定、膀胱内圧測定といった排尿機能検査や、超音波検査が実施される。

【管理法】
具体的な管理法としては膀胱留置カテーテル、間欠的導尿、膀胱瘻、腎瘻、尿管ステントなどが挙げられる。

カテーテルを留置する場合は、3~4週間おきに交換することが多い。長期間の留置は尿路感染症など、合併症を起こすリスクを高めるため、注意が必要である。また、カテーテルを挿入する際は無菌操作に努め、逆行性感染が起こらないように注意する。

自排尿が可能な場合は、脱衣しやすい衣類やトイレまでの通路の確立といった環境を整備し、おむつ排尿やポータブルトイレの使用、時間排尿誘導などを行う。このような方法の他、抗コリン薬やα遮断薬などの薬物治療が行われることもある。また、重度の腹圧性尿失禁や尿道狭窄が強い場合は、外科的治療が行われることもある。

患者の能力障害や社会的不利、心理的問題に対する配慮も忘れてはならない。

尿路管理には多職種連携も重要である。「平成28年度診療報酬改定(厚生労働省保健局医療課)(PDF)」では、下部尿路機能障害を有する患者に対する病棟でのケアや、多職種チームによる包括的排尿ケアが、「排尿自立指導料」として評価されるようになった1

 

引用参考文献
厚生労働省保健局医療課.“平成28年度診療報酬改定の概要”.厚生労働省.(PDF)

執筆: 上村恵理

長崎大学病院 高度救命救急センター助教

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