排便の介助の際、排尿の準備もしておくのはなぜ?|床上排泄

 

『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。

 

今回は排便介助の際の注意点に関するQ&Aです。

 

大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授

 

排便の介助の際、排尿の準備もしておくのはなぜ?

排便・排尿の調節機能はいずれも交感神経と副交感神経の刺激によって支配されているため、排便に伴って反射的に排尿が起こるからです。

 

肛門括約筋と外膀胱括約筋は、ともに仙髄から出る陰部神経の支配を受けており、排便時には外肛門括約筋を随意的に緊張・弛緩させることができます。

 

そこで、排便時に外肛門括約筋の随意的弛緩が起きると、同時に外膀胱括約筋の収縮が起こって排尿作用を起こさせることになるのです。

 

そのため、排便のために便器を当てる時は、排尿に備えた準備も同時に行っておく必要があります。

 

memo排泄後の便器の取り扱い

排泄後、便器を外したら、便器にすぐにカバーをかけ、臭気が漏れないようにすることが必要です。患者の着衣を整え、部屋の換気をしましょう。

 

図1排泄後の便器の取り扱い

 

腹圧をかけやすい姿勢

ベッド上では、上体を少し高くして両足を広げ、膝を曲げるように立てると排泄しやすくなります。これは、上体を高くすることで横隔膜が下降し、腹圧が高まるためです。また、両足を広げて膝を曲げることで、怒責(どせき)しやすくなるという利点もあります。

 

さらに、立位であれば恥骨(ちこつ)直腸筋の緊張で肛門管と直腸の軸との交差(肛門直腸角)が90度になっていますが、膝を立てることでこの角度が120度前後になり、直腸が伸展して便が肛門側に移動しやすくなります。

 

図2腹圧をかけやすい姿勢

 

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版

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