脈拍は、一般に橈骨動脈で測定するのはなぜ?

 

『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は脈拍測定に関するQ&Aです。

 

江口正信
公立福生病院診療部部長

 

脈拍は、一般に橈骨動脈で測定するのはなぜ?

 

皮膚に近い部位にあり、走行部位の個人差が比較的少なく、衣服におおわれることが少ないためです。

 

〈目次〉

 

橈骨動脈の位置は

脈拍は、一般に橈骨動脈の拍動を触れることによって測定します。これは第一に橈骨動脈が皮膚に近い部分を走行し、脈拍が弱い場合でも、体表からその拍動に触れやすいからです。

 

橈骨動脈は手関節の橈側(母指に近い部分)を走行しています。通常この部位は、皮下脂肪も薄く、血管も皮下脂肪の浅い部位にあります。心臓の拍動に応じて心臓から全身の動脈に送り出される血液の波動、つまり脈拍を容易に触れることができます。

 

動脈のなかで橈骨動脈を選ぶのは

また通常脈拍を触れることができる動脈は、図1のようにいくつかありますが、それぞれ触れる部位や触れ方に個人差があります。とくに足背動脈では10%程度の人は脈拍が触れないといわれています。

 

その点、橈骨動脈は、比較的個人差が少なく、正常な状態で橈骨動脈の脈拍が触れないことはほとんどないと考えられます。

 

図1全身の脈拍触知部位

全身の脈拍触知部位

 

さらに橈骨動脈は総頚動脈、上腕動脈に次いで心臓の位置から近い部位にあり、心臓より遠いほかの部位の動脈よりも脈拍が触れやすくなっています。そのほか、総頚動脈とともに、衣服におおわれることは少なく、緊急時にも即座に脈拍の測定が可能です。

 

NursingPoint脈拍測定

脈拍測定する場合は、示指・中指・薬指の3指を平行にそろえて血管の走行に沿って置き、ほんの少し圧をかけてみるとより明確に触れます。
また、毎日ほぼ決まった時刻の安静時に脈拍(数、リズム、脈圧)を観察して、その人のいつもの脈拍を把握しておくと、異常の早期発見につながります。
原則として、不整脈の有無を観察するために1分間測定しましょう。

 

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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版

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