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2016年02月28日

受容体と細胞内情報伝達系(1)|細胞の基本機能

看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より。

〈前回の内容〉

シナプス伝達|生体機能の統御(2)

今回は、受容体と細胞内情報伝達系についての解説の1回目です。

片野由美
山形大学医学部名誉教授
内田勝雄
山形県立保健医療大学名誉教授

 

Summary

  • 情報伝達物質を結合する受容体には①Gタンパク質共役型、②イオンチャネル内蔵型、③チロシンキナーゼ連鎖型、④細胞内型の4つのタイプ(表1)が知られている。
  • Gタンパク質共役型の代表的受容体にアドレナリン作動性β受容体がある。
  • Gタンパク質共役型受容体に情報伝達物質が結合すると、Gタンパク質は、効果器タンパクへその情報を伝える転換器の役割を果たす(Gタンパク質を転換器ともいう)。

 

〈目次〉

 

受容体と細胞内情報伝達系

化学伝達物質(情報伝達物質)を結合する受容体には、実にさまざまなものがある。近年の分子生物学的技術の進歩により、今やほとんどの受容体構造は明らかになっている。現在、次の4つのタイプの受容体が知られている。

  1. Gタンパク質共役型受容体
  2. イオンチャネル内蔵型受容体
  3. チロシンキナーゼ連鎖型受容体
  4. 細胞内型受容体(ステロイドホルモン甲状腺ホルモンほか)

細胞膜上、または細胞内にある受容体に情報伝達物質が結合すると、受容体タンパク質の構造が変化し、その変化が細胞内に伝えられ、それぞれ特有の反応を引き起こす。この受容体から細胞内反応(応答)にいたる過程を細胞内情報伝達系とよぶ(図1)。

図1細胞外情報の受容から細胞応答(機能変化)に至るまでの流れ概略図

細胞外情報の受容から細胞応答(機能変化)に至るまでの流れ概略図

 

特定の受容体に結合する特定の伝達物質をリガンドという。リガンドが親水性の場合は上記①~③のように細胞膜上の受容体に結合する。リガンドが脂溶性の場合は④のように細胞膜を通過して細胞内の受容体と結合する。

代表的な受容体とその細胞内情報伝達系を表1に示す。

表1細胞内情報伝達系と代表的な受容体

細胞内情報伝達系と代表的な受容体

 

Gタンパク質共役型受容体とその細胞内情報伝達系

Gタンパク質共役型受容体の構造は、共通して一本鎖ペプチド(アミノ酸が結合したもの)が細胞膜を7回貫通している。Gタンパク質(GTP結合タンパク質:G protein、GTPはグアノシン三リン酸)が共役している受容体に情報伝達物質が結合すると、Gタンパク質は、効果器へその情報を伝える転換器(トランスジューサ)として働く。

Gタンパク質は、α、β、γの3つのサブユニットから構成されている。この3つのサブユニットのうちβとγは解離することはないが、αは解離する(GαとGβγとよぶ)。GαにはGDPやGTPを結合する部位がある。α、β、γサブユニットが会合しているとき、GαにはGDPが結合している。このとき、受容体は情報伝達物質を結合する準備状態にある。

すなわち、情報伝達物質は受容体に結合できる状態にある(親和性が高い状態にあるという)(図2)。

図2GTP結合タンパク質(Gタンパク質)を介する受容体から効果器への情報伝達

GTP結合タンパク質(Gタンパク質)を介する受容体から効果器への情報伝達

(田中千賀子、加藤隆一編:NEW薬理学.改訂第2版、p.61、南江堂、1993より改変)

 

情報伝達物質が受容体に結合すると受容体の構造が変化し、Gタンパク質が受容体から離れるとともにGDPが遊離し、代わって細胞内に高濃度で存在するGTPがGαに結合する。これをGTPGDP交換反応という。

するとGTPと結合したGαは(Gα-GTP)、Gβγと離れ、両者は別々に効果器に情報を伝える(図2)。GαはGTP分解活性(GTPase)をもっているので、GTP結合GαはGTPaseによって、再びGDP結合Gαになる。するとGαはGβγと再び会合して(Gαβγとなる)情報伝達物質結合準備状態に戻る。このようにして効果器が情報を受け取るが、この後の応答については後述する。

 

Gタンパク質の種類

Gβγの種類は実質的には1種とみなすことができるが、Gαにはたくさんの種類がみつかっている。そのため、Gタンパク質の種類はGαの相違による。そのうち代表的なGタンパク質を表2 に示す。

表2主なGタンパク質と共役する効果器

主なGタンパク質と共役する効果器

Gs : 効果器、アデニル酸シクラーゼの活性を促進するもの(s は stimulatory の s)
Gi : 効果器、アデニル酸シクラーゼの活性を抑制するもの(i は inhibitory の i)
Gq : 効果器、ホスホリパーゼCを活性化するもの

 

アデニル酸シクラーゼ活性を促進するものをGs(sはstimulatoryのs)、逆に抑制するものをGi(iはinhibitoryのi)、ホスホリパーゼCを活性化するものをGqと名付けた。

 

〈次回〉

受容体と細胞内情報伝達系(2)|細胞の基本機能

 

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典] 『新訂版 図解ワンポイント 生理学』 (著者)片野由美、内田勝雄/2015年5月刊行/ サイオ出版

参考文献

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