あなたのその行為、じつは法律違反かも!?看護師の「特定行為」がスタートへ

看護師による「特定行為」を認める法案が国会で成立し、早ければ来年の秋から、特定行為を行うための研修制度がスタートすることになりました。

 

それでは「特定行為」とは、いったいなんのことなのでしょう?看護師が行う行為は、おもに“療養上の世話”と“診療の補助”の2つです。このうち療養上の世話は、看護師が自分の判断で行ってよいものですが、診療の補助については“医師の指示”がなければやってはいけないとされています。

 

もちろん、日々の業務の中で療養上の世話と診療の補助を、はっきりとわけることなどできません。ですが、法律上は、一応そういうお約束となっているわけです。

 

この診療の補助のうち、特に高度な知識や技術を必要とするものが、今回「特定行為」として他の行為から区別する形で位置づけられました。

看護師の「特定行為」がスタートへ|看護師専用Webマガジン【ステキナース研究所】

 

医師の“包括的指示”の内容は 施設によってバラバラ

診療の補助を行うための医師の指示ですが、患者の容態変化をあらかじめ予測した上で、ある程度まとめて指示出ししておくこと(包括的指示)が可能です。これは考えてみれば当然で、忙しい医療現場で、細かい指示をそのつど待っていては、看護師の仕事はまったくできません。

 

問題は、その“まとめた指示”というものが、どの範囲までを差すのかが、これまで明確にされてこなかったことです。そのため、病院ごとにどの行為までを看護師が行うかもバラバラ。

「え、中心静脈カテーテルってナースが抜去するの?前の病院ではドクターの仕事だったのに……」

「患者の状態が変わったからインスリン投与量をコントロールしたら怒られた。これってナースの仕事じゃないの?」

といったことが起きてしまっていたのです。

 

看護業務にひそむ“グレーゾーン”

つまり、看護師の業務のなかには、看護師が行ってよいのか悪いのか、法律上、はっきりと決まりのないまま、必要にせまられて現場レベルの判断で行われていた“グレーゾーン”がかなりの割合で存在した、ということです。

 

特定行為のことを盛り込んだ法律は、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(医療介護総合確保推進法)という長ったらしい名前の法律です。

 

キャリアアップの強力な武器にも

実際にどのような行為が特定行為とされるのか、どのような研修が行われるのかなど、すべてこれから議論されるところで、まだ決まっていません。ですが、研修の対象は、新人看護師というよりある程度経験年数をもつ、中堅どころの看護師が対象とされているようです。

 

新しく始まる特定行為。みなさんはどのように感じたでしょうか?「え、これ以上研修?もう勘弁してよ」という本音もあると思います。一方で、専門看護師認定看護師とくらべればハードルが低いでしょうし、キャリアプランの1つとして考えれば強力な武器となります。

 

特定行為は看護師への国民の期待のあらわれ

なにより法律にまで盛り込まれたということは、背景には、看護師の専門性に対する国民の高い期待があることはまちがいありません。今後、どんな行為が特定行為とされるかなど、国の議論が注目されます。

 

 

(参考資料)

「医療介護総合確保推進法」について

厚生労働省チーム医療推進会議資料

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