高齢者施設と病院の違い、説明できますか?|知らずには働けない?施設看護のリアル【1】

高齢者施設での看護について、あなたはどれだけ知っていますか?

今後看護師が在宅医療に関わる場面はどんどん増えていきます。「なんとなく」のイメージしか持っていないとしたらもったいない。
高齢者施設とはそもそも何なのかから、働く看護師の実情まで…これだけは知っておくべき基礎知識と、高齢者施設での看護のリアルをまとめます。

 

知らずには働けない?高齢者施設看護のリアル

Vol.1 高齢者施設と病院の違い、説明できますか?

 

高齢者施設での看護ってどうなの?

 

「非日常」を過ごす病院と「日常」を過ごす高齢者施設

私が病院で勤務していた時、一般企業から転職して看護師になった先輩に「病院の常識は社会の非常識だからね。これがすべてだって思っちゃだめよ」と言われました。その時はピンときませんでしたが、病院外で働いてみると「なるほどなあ」と実感します。

 

病院が特異な場所なのは「治療の場」だからです。

患者さんは「病気が治るのならどんなことも我慢します。がんばります」という誓いを立て入院し、迎え入れる病院は検査や治療のサービスを提供します。

お互いの目標は「病気を治して退院する」というシンプルなもの。しかし拘束力は強く、その目標のために患者は仕事も休み、病院が患者の生活全体をコントロールします。

 

つまり、病院は患者さんにとっても「非日常」の空間です。

さらに、最近では長期入院すると減算されるので、治っていなくても時期が来たら容赦なく退院を迫られますよね。病院は「治療という非日常のための仮の住まい」でしかありません。

 

一般的な生活では、今ここにいる目標・目的をはっきりと持ち「この目標をクリアして、できるだけ早く別の場所に行かなければならない」といった状況が生まれることは少ないでしょう。むしろ、「今日もいつもと変わらない一日だったなあ。きっとこの生活がだらだらと続くだろうな」という場面が多いのではないでしょうか? 今日一日楽しいことがあれば良かったと笑い、悲しいことがあれば悪かったと嘆く。時は流れ、命が尽きたら終わる。生活とはそんなものではないでしょうか。

 

高齢者施設ではこのような、とてもあいまいで同じことが繰り返される「日常」を過ごすことこそが意義といえます。

病院では絶対第一の目標である「病気を治療して治す」が、高齢者施設では第一の目標ではありません。穏やかな日常を妨げる「治療」は、時に「生活」を脅かすこともあります。

 

生活(ライフ)は生命体としての「命」、毎日繰り返され昨日と同じような日々が続く「日常生活」、高齢者であれば70~80年といった長い時間を経てきた「生涯」の3つの要素を持っています。

病院では「命」に焦点を当てますが高齢者施設ではこの3つの要素をバランスよくとらえていくことが求められます。

 

病院で育成され、仕事をしてきた看護師は、「日常生活」や「生涯」の要素に気がつかなかったり、戸惑ったり、柔軟に対応できなかったりして、高齢者施設での看護がうまくいかないことも多いのです。

しかしその要素に気づくことで、病院ではできない看護に面白さを見出し、はまる看護師もいます。

私はそんな看護師の一人です。

 

【春野すみれ】看護師・介護支援専門員。総合病院で6年勤務後、介護保険開始以降施設系在宅系さまざまな事業所で老年看護に特化して携わる。現在は高齢者施設に勤務するかたわら、研修講師なども務める。

 

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