看護学生のみなさんは、「まずは病棟で働こう」と考えている方が多いのではないでしょうか?
看護師が働く場所として最も一般的な「病棟」ですが、「病棟看護師ってやっぱりきつい?」「自分に向いているかな…」といった不安を抱えている看護学生さんは少なくありません。
この記事では、病棟看護師の仕事内容や病棟による違い、給料、やりがい、向いている人まで詳しく解説します。
病棟看護師とは?役割や外来・訪問との違い

病棟看護師は、入院設備のある病棟で働く看護師のことです。看護師として働いている人の6割以上は病院に勤務しており、その多くが「病棟看護師」です。
病棟看護師は複数の患者さんを受け持ち、それぞれの疾患や状態に合ったケア・対応を実施するため、実際にはさまざまな業務をこなします。
病棟看護師の主な業務
病棟看護師の主な業務は次のとおりです。
- 患者さんのアセスメント
- 清潔ケア・排泄ケア
- 採血・点滴・注射などの処置
- 与薬・服薬管理
- 配膳・食事介助
- 手術・検査出し
- 入退院の対応・退院支援
- 患者さん・ご家族の精神的ケア
- 看護記録
外来・訪問看護師との違いは?
| 病棟看護師 | 外来看護師 | 訪問看護師 | |
|---|---|---|---|
| 主な業務 | 患者さんの状態観察、点滴・与薬、清潔ケア、看護記録、多職種との連携など | 診察介助、採血・処置、検査の案内、患者さんへの説明や生活指導など | アセスメント、療養生活の相談・支援、服薬管理、医療処置、ご家族への支援など |
| 対象患者 | 治療や療養が必要な入院患者さん | 通院で診察や検査、処置を受ける患者さん | 自宅や施設で療養生活を送る利用者さん |
| 関わり方の特徴 | 入院から退院まで、継続して経過を見ながら支える | 限られた時間の中で状態を見極め、診療がスムーズに進むようサポートする | 自宅や施設に出向き、その人のペースや暮らし方に合わせたケアを提供する |
| 勤務形態 | 日勤・夜勤のある交代制が一般的 | 日勤中心の勤務が多い | 日勤中心の勤務が多いが、オンコール対応がある場合もある |
病棟看護師と外来看護師・訪問看護師の大きな違いは、入院患者さんを受け持ち、交代制で24時間支えることでしょう。
業務の幅も広く、それぞれの診療科に応じた疾患の知識やケアの技術を身につける必要があります。
このほか、患者さんの入院から退院まで継続して経過を追いながら、状態の変化に応じて判断する力や、医師・リハビリスタッフなど多職種と連携して動く力も求められます。
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病棟看護師の1日|日勤・夜勤のスケジュール例
病棟では24時間、入院患者さんに看護が提供できるように、シフト勤務が基本です。
近年の主流である「2交代制(日勤・夜勤)」を例に、1日のスケジュール例を紹介します。
日勤のタイムスケジュール(8:00〜17:00)
| 8:00 | 出勤・情報収集 患者さんの情報収集や予定の把握 | ||
| 8:30 | ミーティング 夜勤者からの申し送りを受け、受け持ち患者さんの状態を確認 | ||
| 9:00 | ラウンド 病室を回り、バイタルサイン測定や状態観察、点滴の更新などを行う | ||
| 10:30 | ケアや手術・検査出し 患者さんの清潔ケアや点滴などの処置のほか、検査・手術の予定がある患者さんを担当部門まで送り届ける | ||
| 11:30 | 昼食介助・配膳 昼食の配膳・介助を行う。昼食前後の配薬や血糖チェックも担う | ||
| 12:30 | 休憩(交代制) チーム内で交代して1時間の休憩をとります | ||
| 13:30 | カンファレンス 医師やリハビリスタッフと、患者さんの看護計画や退院支援について方針を話し合う | ||
| 14:00 | ラウンド・ケア・記録 昼食の摂取量を確認し、口腔ケアを実施。アセスメントを行い、看護記録を記入 | ||
| 16:00 | 夜勤者への申し送り 日中の変化や、注意が必要な情報を夜勤メンバーに引き継ぎ | ||
| 17:00 | 退勤 | ||
夜勤のタイムスケジュール(16:00〜翌9:00)
| 16:00 | 出勤・申し送り 日勤者から引き継ぎを受け、夜勤帯の患者さんの情報収集や点滴などを準備 | ||
| 17:00 | ラウンド 病室を回り、バイタルサイン測定や状態観察、点滴の更新などを行う | ||
| 18:00 | 夕食介助・配薬 夕食の配膳・介助を行う。夕食前後の配薬や血糖チェックも担う | ||
| 21:00 | 就寝前のケア・消灯 与薬やベットサイドの整頓など就寝の準備をサポートして消灯 | ||
| 23:00 | 定期巡視・記録・仮眠 朝まで定期的に病棟を巡回し、点滴や排液のチェック、体位交換など必要なケアを実施。交代で仮眠も | ||
| 6:00 | 起床・採血・バイタルチェック 患者さんの起床に合わせ、採血や早朝のバイタルサインを確認 | ||
| 7:30 | 朝食介助・配薬 朝食の配膳・介助を行う。朝食前後の配薬や血糖チェックも担う | ||
| 8:30 | 日勤者への申し送り 夜間の変化や、注意が必要な情報を日勤メンバーに引き継ぎ | ||
| 9:00 | 退勤 | ||
2交代制と3交代制、働きやすいのはどっち?
最近は「2交代制」を採用する病院が増えており、看護学生からの人気も高い傾向です。
- 2交代制
1回の拘束時間は長いですが、月の夜勤回数は3交代より少なめです。夜勤明けの翌日は基本的に休みとなるため、休息やプライベートの時間を確保しやすいでしょう。 - 3交代制
月の夜勤回数が多く、勤務と勤務の間が短くなることもあります。一方で、夜勤の勤務時間は2交代より短く、負担が少ないです。
| 2交代制(日勤/夜勤) | 3交代制(日勤/準夜勤/深夜勤) | |
|---|---|---|
| 勤務の種類 | 日勤/夜勤 | 日勤/準夜勤/深夜勤 |
| 夜勤1回あたりの時間 | 約16時間(休憩・仮眠含む) | 約8時間 |
| 月の夜勤回数 | 4~5回 | 7~8回 |
| メリット | ・連休が作りやすい ・生活リズムを整えやすい | ・勤務時間が短く集中しやすい ・こまめに休みが取りやすい |
| デメリット | ・勤務時間が長い ・仮眠が取れないと負担が大きい | ・勤務帯の切り替えが多い ・生活リズムが崩れやすい |
病院によって違いがあるため、説明会や見学会で月々の夜勤回数や夜勤明けの扱いについて確認するのがおすすめです。
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病棟看護師の平均年収は?
厚生労働省によると、看護師全体の平均年収は約524万円です。病棟看護師もほぼ同じ相場とみてよいでしょう。
ただ、20代前半の看護師の平均年収は440万円前後が一般的で、勤務先の規模や夜勤回数によって差が出ます。
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」
外来看護師・訪問看護師と比べると?
病棟看護師の年収は、外来・訪問看護師よりも高くなる傾向です。
厚生労働省と日本看護協会の調査を見ると、看護師の年収のうち、10〜15%程度は夜勤・残業手当分であることがうかがえます。
そのため、夜勤がない外来・訪問看護師よりも、基本的に夜勤のある病棟看護師の方が給料は高くなります。
病棟の種類と特徴は?【医療機能・診療科別】
一口に「病棟」といっても、医療機能や診療科によって、患者さんの状態や看護の役割は異なります。
それぞれの特徴を知っておくと、病院選びや志望先選びのヒントになります。
医療機能ごとの特徴
病院・病棟は急性期、回復期、慢性期など、それぞれ担う「医療機能」が異なります。
「病気を治す時期」「生活に戻る準備をする時期」など、患者さんの状態が異なるため、看護師の業務内容や看護の目指すゴールが変わってきます。
急性期病棟(看護配置:7対1、10対1)
病気の発症直後や手術前後など、症状が不安定で急変リスクが高い患者さんを対象とし、状態の早期安定化に向けた医療を提供します。入退院のサイクルが速く、急変対応や手術・検査前後の対応、医療処置なども多いので、これらの対応力が身につきます。
地域包括ケア病棟(看護配置:13対1)
急性期の治療を終えた患者さんや、在宅で症状が悪化した患者さんを支えます。リハビリの補助や退院調整が中心となります。医師や社会福祉士など多職種と連携し、患者さんの「退院後の生活」をサポートする力が磨かれます。
回復期リハビリテーション病棟(看護配置:13対1、15対1)
脳血管疾患や骨折などの治療後、集中的なリハビリが必要な時期の患者さんが対象です。看護の目的は「ADL(日常生活動作)の向上」です。理学療法士(OT)や作業療法士(PT)、言語聴覚士(ST)とも連携します。
慢性期病棟・療養病棟(看護配置:20対1)
病状は安定しているものの、継続的な医療管理や介護を必要とする患者さんが長期入院する病棟です。患者さんとじっくり向き合い、その人らしい生活を支えるための看護が重要となります。
診療科ごとの特徴
診療科や扱う疾患によっても、病棟ごとの特徴があります。
内科系病棟
主に薬物療法や生活指導で病気の改善を目指す患者さんが多く、細かな観察に基づいたアセスメント力が養われます。急変への対応能力が必要な場面もあるでしょう。長期的に患者さんと関わる場面が多く、経過を見守りながら丁寧なケアを提供する力が求められます。
<診療科の例>
・循環器内科
・呼吸器内科
・消化器内科
・血液内科
・糖尿病内科
内科看護師とは?仕事内容・外科との違い・呼吸器/循環器/消化器の特徴まで
外科系病棟
手術を受ける患者さんの術前・術後管理が主な役割です。ドレーン管理や創部処置、早期離床に向けたサポートなどのスキルが身につきます。スピード感や観察力、判断力が求められる場面が多いのが特徴です。
<診療科の例>
・消化器外科
・脳神経外科
・整形外科
・心臓血管外科
・呼吸器外科
外科看護師とは?仕事内容・向いている人・脳神経/呼吸器/消化器外科の特徴まで
小児科病棟
0歳から15歳前後の子どもが対象で、言葉で症状を伝えられない子どものサインを読み取る力に加え、不安を抱えるご家族への精神的な支えも重要な役割となります。乳幼児から思春期まで、年齢や発達段階に応じたコミュニケーションや接し方が大切です。
小児科看護師とは?仕事内容・向いてる人・やりがいをわかりやすく解説
精神科病棟
精神疾患を抱える患者さんの心のケアと社会復帰を支援します。対話を通じて患者さんを支える場面が多く、傾聴力や共感力、柔軟な対応力が重要です。身体的な急変は少なく、業務ペースが安定しやすいといった働き方の特徴もあります。
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産婦人科病棟
妊娠・出産という人生の節目から、婦人科疾患の治療まで女性の健康を幅広く支えます。心身両面からのサポートが求められ、女性特有の疾患などに関する専門知識が学べます。命の誕生に関わる喜びがある一方で、迅速な判断と確かな観察力が必要な場面も多くあります。
産婦人科看護師の仕事内容まるわかり!役割・助産師との違い・志望動機まで

特徴別に病院を探してみる
病棟看護師のやりがいと「きつい」と感じる瞬間は?
「病棟看護師って、やっぱりきつい…?」と不安な看護学生さんもいるかもしれません。
ここでは、実際に病棟で働いている先輩ナースの声をもとに、やりがいと大変なところをお伝えします。
病棟看護師の先輩がやりがいを感じた瞬間は?



病棟看護師の先輩が「きつい」と感じることは?



先輩たちはどんなふうに乗り越えた?



病棟看護師に向いている人は?新卒で「病棟以外」はあり?
「病棟でやっていけるか心配…」という看護学生さんに向けて、ここでは病棟看護師として活躍しやすいタイプを紹介します。
病棟看護師に向いている人
- 幅広く知識・技術を身につけたい
24時間体制で多くの疾患に対応する病棟は、看護の基礎を固めるのに最適な場所です。アセスメント力や看護技術をバランスよく習得したい人に向いています。 - キャリアの幅を広げたい
将来的にクリニックや訪問看護などへ進む際も、「病棟での経験」は必ず武器になります。病棟からスタートすることで、将来の選択肢の幅は広がるでしょう。 - 着実にステップアップしたい
多くの病棟では「プリセプター制度」や段階的な研修が整っています。先輩が身近にいる環境で、着実にステップアップしていきたい人にとって、病棟は心強い学びの場となります。
病棟以外が向いているかもしれない人
- 地域で生活を支える看護をしたい
病院での治療よりも、患者さんの「自宅での暮らし」を支えることに強い関心があるなら、新卒から訪問看護にチャレンジする道もあります。新卒ナースを積極的に採用している訪問看護ステーションは年々増えています。 - 規則正しい生活をしたい
大手の介護施設や、平日の日中がメインの訪問看護などは、生活リズムを一定に保ちやすいのが魅力です。どうしても夜勤は厳しいという方は、病棟以外を選んだ方が良いでしょう。
あくまで傾向であり、実際の現場で働くうちに考え方が変わるということもあるでしょう。

新卒で病棟以外を選んでもいいの?
病棟よりも少ないですが、新卒で病棟以外の働き方を選ぶ人もいます。
ただし、将来的に病棟勤務や別の領域へのキャリアチェンジを考えているなら、最初の職場選びは重要です。
たとえば美容クリニックなど自由診療メインの職場は、医療処置や看護技術、急変対応などの臨床経験を積みにくい環境です。数年後に「やっぱり病棟で働きたい」と思ったとき、「実務経験がない」と判断され、転職のハードルが上がるケースがあります。
キャリアプランを自分なりに言葉にしておくことが、後悔しない選択につながります。
【就活】志望動機・病院選びのポイントは?

就活生が知っておきたい病棟の志望動機の伝え方と、志望先を選ぶポイントをご紹介します。
【例文】病棟看護師の志望動機(新卒向け)
志望動機は、次の3つのポイントを意識すると説得力が出て、伝わりやすいです。
- 実習や日常の経験
- そこから感じた気持ち・学び
- その病棟で実現したいこと
【例文】
外科病棟での実習中、手術直後の苦痛が強かった患者さんが、日々のケアとリハビリを経て、笑顔で歩いて退院される姿に立ち会いました。
患者さんの変化を継続的に観察し、回復のプロセスを一番近くで支えられる病棟看護師という仕事に強く魅力を感じています。
教育体制が整った貴院の急性期病棟において、確かなアセスメント能力を身につけ、患者さんの早期回復に貢献できる看護師を目指したいと考え、志望いたしました。
病棟看護師の志望先の選び方
納得して働き続けるために、次のような点は応募前にしっかりと確認しておきましょう。
- 医療機能や病床数などの基本情報
- 勤務形態や看護方式
- 教育制度や研修の内容
- 配属の決まり方
- 夜勤開始の時期
このほかにも、気になることは病院見学会やインターンで質問し、自分の目で確認することが、入職後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐには大切です。
まとめ
病棟看護師は、看護の基礎を幅広く学びやすく、患者さんの回復や生活を継続的に支えられる職場です。
仕事内容や病棟ごとの違いを知ったうえで、自分が大切にしたい働き方や看護観に合う職場を考えてみましょう。
実際に病棟で働く先輩たちの声が、あなたが「働きたい」と思える職場を見つけるヒントになるかもしれません。ぜひ参考にしてみてください。

病棟で働く先輩たちのやりがいを知ろう!







