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慢性期病院ってどんなところ?看護の特徴・働き方・志望動機のヒントまで

慢性期病院ってどんなところ?看護の特徴・働き方・志望動機のヒントまで

#看護師の仕事 #病院の種類 #働き方

「慢性期病院ってどんな雰囲気なんだろう?」と思ったことはありませんか?

「急性期はバタバタしてて合わなそう…」「私はもっと患者さんとじっくり関われる職場がいいかも」

そんなふうに感じる看護学生さんにとって、慢性期病院は大切な選択肢のひとつになります。

この記事では、慢性期病院の特徴や看護師の役割新卒で慢性期に入職するメリットと不安点志望動機の書き方まで、就活中の看護学生が知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。

慢性期病院とは?

慢性期病院とは、長期的な医療や生活支援が必要な患者さんを支える医療機関です。まずは慢性期病院の基本的な特徴、急性期と慢性期の違いについて見ていきましょう。

慢性期病院の特徴

慢性期病院は療養型病院とも呼ばれます。

主な患者さんは、長期の療養が必要な高齢者や慢性疾患・難病を持つ方です。医療と生活支援の両面から関わります。患者さんの多くは状態が安定していますが、寝たきりや認知症の方も多く、会話が難しいケースも珍しくありません。

慢性期病院は入院期間が長く、日々のケアが比較的、ルーティン化されている点も特徴です。

急性期病院のようにスピード感を求められる場面は少なく、穏やかな環境で、患者さん一人ひとりとじっくり向き合いながらケアに取り組めます。

急性期と慢性期の違い

急性期病院は、病気やけがの「発症直後」に集中的に治療・看護を提供する病院です。一方、慢性期病院は、治療後の回復期や長期療養が必要な患者さんを受け入れる病院です。

急性期慢性期
定義病気やけがの症状が急激に現れる時期、手術直後の時期状態は安定しているが治療が長期にわたる時期
入院期間約11~14日約120日
主な対象・手術後の患者
・重症の患者
・緊急入院が必要な患者
・高齢者
・慢性疾患の患者
・難病患者
看護配置7対1または10対113対1または15対1
看護の特徴スピード感のある対応、観察・医療的な処置が中心日常生活の援助、ルーティンケアが中心

参考:令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況|厚生労働省

どちらの看護にも大切な役割がありますが、自分がどんな関わり方をしたいのかを考えることで、より納得のいく就職先選びにつながります。

慢性期で働く看護師の役割は?

慢性期で働く看護師には、急性期とは異なる視点や関わり方が求められます。ここでは、実際の働き方や一日の流れがイメージできるよう、看護師の役割を紹介します。

慢性期病院の看護師の仕事内容

主な業務は、日常生活のサポートや医療的ケアが中心です。

  • 食事・排泄・入浴などのADL(日常生活動作)支援
  • 褥瘡予防や口腔ケアなどの清潔ケア
  • 点滴・投薬管理などの医療処置(医師の指示のもと)
  • ご家族への介護指導や情報提供

加えて、バイタルサインの確認記録業務夜間の見守りも大切な仕事です。1人あたりの患者数が多いため、効率的なチームケアも求められます。

慢性期病院で働く看護師の1日

ここでは、慢性期病院で働く看護師の1日のスケジュール例を紹介します。

慢性期病院で働く看護師のスケジュール例(日勤)
8:30出勤・情報収集・申し送り
夜勤スタッフからの申し送りを受け、担当患者さんの状態を確認。バイタルサインや気になる点をチームで共有します。
9:00清潔ケア・体位変換・排泄ケア
褥瘡予防のための体位変換や、オムツ交換、陰部洗浄などを行います。口腔ケアや整容も重要な日課です。
11:00食前薬の配薬・服薬確認・経管栄養
食前の薬の投与・配布、経管栄養の投与などを行います。
12:00昼食・食事介助
昼食の配膳をし、必要な方には摂取の援助をします。飲み込みに不安がある患者さんには、リハビリスタッフと連携しながら支援します。
13:00記録・カンファレンス
午前中のケア内容を電子カルテに記録。必要に応じて医師や他職種とのカンファレンスも行います。
14:00レクリエーション支援・家族対応
リハビリやレクのサポート、面会に来たご家族への情報提供・相談対応も大切な業務です。
15:00清潔ケア・体位変換・排泄ケア
午後も清潔ケアやポジショニングの調整、尿器・便器の交換などを行います。その間にも患者さんの表情や変化を細かく観察します。
16:30記録・申し送り
夜勤への引き継ぎのため、記録と申し送りを丁寧にまとめます。
17:30退勤
残業は比較的少なめ。急変が少ない分、予定通り業務が進むことが多いのも特徴です。

慢性期看護の魅力は「じっくり関わる看護」

慢性期看護の大きな魅力は、患者さんと長期間じっくり関われることです。

「今日は少し笑ってくれた」「皮膚の状態が改善した」など、小さな変化の積み重ねにやりがいを感じられます。

認知症や意思の疎通が難しい患者さんも多く、ささいな表情や皮膚の変化、呼吸のわずかな違和感など、非言語的なサインに気づく力が大切です。

「一人ひとりと丁寧に向き合う看護がしたい」「観察力を活かしてささいな変化に気づける看護師になりたい」といった想いを持つ看護学生さんにとって、慢性期は多くの学びを得られる現場です。

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慢性期に向いている人・向いていない人

就職先を選ぶうえで、「自分に向いているかどうか」はとても大事な視点です。ここでは、慢性期病院で働く看護師の向き・不向きの傾向をわかりやすくご紹介します。

慢性期に向いている人の特徴

慢性期看護に向いている人には、以下のような特徴があります。

  • 穏やかな雰囲気で働きたい
  • ケア業務が好き
  • 相手のペースに合わせて行動できる
  • 小さな変化に気づける観察力がある

「テキパキ動くよりも、一人ひとりと丁寧に関わることにやりがいを感じる」という看護学生さんには、慢性期の看護が向いているでしょう。

慢性期に向いていないかも?と感じる人の傾向

反対に、以下のような志向を持つ看護学生さんは、慢性期の看護に物足りなさを感じるかもしれません。

  • 日々の変化が多いスピード感のある現場で働きたい
  • 医療的な処置や急変対応の経験を多く積みたい
  • ルーティンワークはあまり得意ではない
  • 最新の医療に関わっていたい

ただし「絶対に向いていない」というわけではありません。実習や見学を通して感じ方が変わったり、経験を重ねてから向き・不向きに気づく人もいるので、あまり決めつけすぎずに考えるのも大切ですね。

慢性期病院の志望動機はどう書く?【新卒向け例文つき】

「慢性期に興味はあるけど、志望動機はどう書いたらいいの…?」

そんな悩みを持つ看護学生さんに向けて、志望動機の書き方のポイントと例文をご紹介します。

志望動機の書き方ポイント

次の3つのポイントを意識すると、自分の想いや経験が伝わる志望動機を考えやすくなります。

  1. きっかけ:なぜ慢性期に興味を持ったのか(実習や体験談)
  2. 学び:どんな学びや気づきがあったか
  3. マッチ:病院の特徴と自分の看護観がどう重なるか

【例文】慢性期病院の志望動機(新卒向け)

実習で慢性期病棟を経験した際、患者さんと少しずつ関係を深めていく過程にやりがいを感じました。
清拭中に患者さんの表情がやわらぎ、穏やかな時間を一緒に過ごせたことが印象に残っています。言葉では表せない気持ちを表情や呼吸の変化から感じ取り、寄り添う姿勢の大切さを学びました。
貴院で大切にされている「生活に寄り添う看護」の姿勢に共感し、自分の目指す看護とも重なると感じて志望いたしました。

新卒で慢性期病院に進むメリットと不安

「新卒から慢性期って大丈夫かな?」と不安を感じる看護学生さんも少なくありません。ここでは、そうした疑問に向き合いながら、新卒から慢性期を選ぶメリットについて解説します。

新卒から慢性期を選ぶメリット

看護師1年目から慢性期病院・病棟で働くことで、次のようなメリットを感じられるでしょう。

観察力が鍛えられる

ルーティンケアの中で、患者さんの小さな変化(表情・皮膚の状態・バイタルサインなど)に気づく力が自然に身につきます。特に意思疎通が難しい患者さんとの関わりは、看護師としての土台になるでしょう。

信頼関係を築く力が育つ

長期入院の患者さん・ご家族とじっくり関わるからこそ、信頼関係を築く経験ができます。「今日は目を合わせてくれた」といった関係が深まっていく実感がやりがいにつながります。

多職種連携を深く学べる

慢性期では、医師、リハビリスタッフ、栄養士、介護職などと密に関わります。患者さんの状態やアセスメントの共有など、チーム医療の実践を通して連携力が身につきます。

時間管理と優先順位のスキルがつく

慢性期は1人で多くの患者さんを受け持つ分、限られた時間で効率的にケアを行う力が求められます。そのため、優先順位の判断力やタイムマネジメント力が鍛えられます。

残業が少なめで生活リズムが整う

急性期に比べ、慢性期は急変対応が少なめです。突発的な残業が発生しにくく、仕事とプライベートのバランスを保ちやすい環境です。

急性期のような派手さはないかもしれませんが「患者さんとじっくり信頼関係を築きたい」「丁寧な看護を学びたい」という看護学生さんにとって、慢性期は良いスタート地点となるでしょう。

新卒で慢性期は不利?よくある不安Q&A

ここでは、新卒から慢性期の看護に携わりたい看護学生さんが抱きやすい不安にお答えします!

慢性期は手技を経験する機会が少ない?
急性期に比べて採血や吸引などの処置が少ないことに不安を感じる場合、病院の教育体制やサポート内容を確認しましょう。中には院内研修や関連施設でのローテーション研修、外部セミナーへの参加支援など、処置スキルを補う仕組みを整えている病院もあります。病院見学や説明会でチェックしておきましょう。
新卒で慢性期だと転職に不利?
「将来的に転職するとき、慢性期だと不利になるのでは?」という声もありますが、決してそんなことはありません。慢性期で身につく「観察力」「信頼関係を築く力」は、在宅医療や老人保健施設(老健)、地域包括ケア病棟など、さまざまな現場で高く評価されます。看護の土台を丁寧に築けることは、むしろ将来的な強みになるでしょう。
新卒でも慢性期でスキルアップできる?
慢性期で働きながらも、スキルアップすることは十分可能です。たとえば、認知症ケア専門士認知症看護認定看護師慢性疾患看護専門看護師などの資格取得や、在宅医療、看取りケアのスペシャリストとしてのキャリアも築けます。

「新卒で慢性期に行ったら成長できない?」といった声に惑わされず、自分がどんな看護師になりたいかを基準に考えることが大切です。

まとめ:あなたに合った看護を大切に選ぼう

慢性期での看護は、落ち着いた環境の中でじっくりと患者さんに関わることができ、やりがいを感じられる仕事です。一方で、急性期との違いに迷いや焦りを感じることもあるかもしれません。

大切なのは「どんな看護師になりたいか」というあなた自身の思いです。その思いに沿った職場を選ぶことで、自分らしく前向きに働ける道が見えてきます。焦らず、じっくり、自分のペースで選んでいきましょう。

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榎本なつみ
看護師ライター
榎本なつみ
看護大学を卒業後、総合病院のICU・CCUで7年勤務。家族看護の大切さを学んだ経験から訪問看護師へ。地域に根ざしたケアで利用者様・ご家族をサポートしながらライターとしても活動。

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