「外科でスキルを磨きたいけど、体力的に不安…」
「内科とどっちが自分に合っているのかな?」
「もし外科に行くなら、どの診療科を選ぶべき?」
そんな迷いや疑問を抱えている就活中の看護学生さんに向けて、この記事では外科看護師の仕事内容、適性、診療科ごとの違いややりがい、就活対策まで、わかりやすくまとめました。
外科看護師とは?特徴や内科との違い

外科は、胃がん・大腸がん・虫垂炎・胆石症・外傷・骨折・ヘルニア・腸閉塞・膿瘍など、幅広い疾患に対して、手術や処置を中心に治療を行う診療科です。
患者さんは術前から術後にかけて体調が大きく変化することも多く、治療の経過をしっかり観察し、タイミングよくケアしていかなければなりません。
そうした中で活躍するのが外科看護師です。病棟や外来、手術室などの場で、術前・術後の準備や観察、創部のケア、ドレーン管理、退院支援などを担います。患者さんやご家族との関わりも多く、幅広い対応力が求められます。
外科と内科の違いは?
| 外科 | 内科 | |
|---|---|---|
| 主な治療内容 | 手術・処置 | 投薬・生活指導 |
| 患者さんの状態 | 急性期・術後が多く、 状態変化が早い | 入院直後の不安定な方から長期入院で生活管理が必要な方 まで幅広い |
| 看護師の役割 | 術前準備、術後ケア、創部管理など | 慢性疾患の観察、服薬管理、生活支援など |
| 業務のスピード感 | 回転が早く、処置も多いため、スピード感と臨機応変さが必要 | 観察が中心で、比較的ゆるやか |
外科はスピード感や観察力、判断力が求められる場面が多いのが特徴です。
「処置中心で身体ケアが多い外科」と、「観察と支援に重きを置いた内科」。それぞれの特性を知ることで、自分の性格や価値観に合った選択がしやすくなります。
外科看護師の仕事内容と1日の流れ
「実際にどんな仕事をしているの?」と気になる看護学生のみなさんへ向けて、ここでは外科看護師の主な業務内容と、1日のスケジュールをご紹介します。
外科看護師の主な業務
外科では手術を受ける患者さんが多く、術前・術後の身体的ケアだけでなく、術前オリエンテーションや精神的なサポートも含めた幅広い対応が求められます。
- バイタルサインの測定と観察
術前・術後の体調変化をこまめにチェックし、異常を早期発見。 - 手術前のケア・オリエンテーション
不安を抱える患者さんやご家族への説明、麻酔や処置への備え。 - 術後管理・創部ケア
ドレーン・創部の観察や処置、疼痛管理、感染予防。 - 点滴・投薬管理
輸液の管理や医師指示の投薬、必要時の調整 - 検査の介助
内視鏡やCTなど、術前後に必要な検査のサポート。 - 入院生活援助
清潔ケア、食事・排泄のサポート、離床の促し。 - 入退院の対応
書類準備、患者さん・ご家族への説明、ベッドコントロール。 - 精神的ケア
術前後の不安や痛みに寄り添う声かけや傾聴。
点滴や創部の処置など、見落としが許されない仕事が多くなりがちです。先輩や医師と連携しつつ、スピードと正確さを意識して動きます。
外科看護師 日勤の流れ(例)
| 8:30 | 情報収集・夜勤者からの申し送り、電子カルテの確認 | ||
| 9:00 | 術前の準備、オペ出し、検温、輸液・服薬管理、清潔ケア、オリエンテーションなど | ||
| 11:00 | オペ迎え、ドレーン・創部観察、昼食介助 | ||
| 13:00 | 昼休憩(交代制) | ||
| 14:00 | カンファレンス、回診対応、処置・記録、検査出し・介助など | ||
| 16:00 | 退院指導・ご家族対応、術後ケアの継続 | ||
| 17:00 | 夜勤者への申し送り、記録整理、物品補充 | ||
| 17:30 | 退勤 | ||
外科看護師 夜勤の流れ(例:2交代制 17:00〜翌9:00)
| 17:00 | 情報収集、日勤者からの申し送り・手術後の患者さんの引き継ぎ | ||
| 17:30 | 検温、点滴・服薬管理、夕食介助、処置対応 | ||
| 21:00 | 消灯、記録、ナースコール対応、緊急対応 | ||
| 00:00 | 巡視、記録入力、体位変換、オムツ交換、交代で仮眠 | ||
| 6:00 | 検温、採血、処置の介助、朝食介助、内服確認 | ||
| 8:00 | 日勤者への申し送り・記録まとめ | ||
| 9:00 | 退勤 | ||
一般外科と専門外科の特徴・やりがい

一般外科と、脳神経外科・呼吸器外科・消化器外科・心臓血管外科の4つの専門外科、それぞれの特徴とやりがいを紹介します。
一般外科:幅広い症例に対応する総合力
【主な疾患】虫垂炎、ヘルニア、胆石症、外傷など日常的に多い疾患全般
- 急性期の入院患者が多く、入退院のスピードが早い
- 術前から術後、退院支援まで一連の流れに携われる
- 処置が多く、新人看護師が幅広い経験を積める

脳神経外科:急変対応とリハビリ支援がカギ
【主な疾患】脳出血、くも膜下出血、脳腫瘍、外傷など
- 意識レベルの変化に敏感に気づく観察力が必要
- ICP(脳圧)管理、術後合併症(てんかん、再出血)の防止が中心
- リハビリスタッフとの連携でADL(日常生活動作)回復をサポートする

呼吸器外科:呼吸ケアのプロを目指せる領域
【主な疾患】肺がん、気胸、胸膜炎など
- 術後は呼吸器合併症のリスクがあり、胸腔ドレーンや酸素療法の管理が重要
- 呼吸状態の細かな変化に気づく観察力が必要
- 適切な声掛けなどで患者さんの「息苦しい」に寄り添う

消化器外科:退院後の生活まで見据えたケアが身につく領域
【主な疾患】胃がん、大腸がん、胆石、虫垂炎など
- ドレーンやストーマの管理、栄養管理など幅広いスキルが求められる
- 術後の早期離床や排便コントロールにも関わる
- 術後の生活指導や退院後のセルフケア指導といった回復に寄り添う看護が求められる

心臓血管外科:緊張感の中で命を支えるスペシャリストチーム
【主な疾患】心臓弁膜症、心筋梗塞、大動脈解離など
- 術後の集中治療管理が必要な患者が多い
- モニター・人工呼吸器・ドレーンなど医療機器の扱いが多い
- 心電図や循環動態の変化に即座に対応する判断力が問われる


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外科看護師に向いている人・向かない人の特徴
ここでは、外科看護師として活躍しやすいタイプと、もしかしたら他の診療科のほうが合うかもしれないタイプの特徴をそれぞれ紹介します。
外科に向いている5つのタイプ
テキパキ動ける人
外科では処置や手術の前後対応が多いため、優先順位を判断し、迅速な行動に移せる力は大きな武器です。
状況判断が早い人
術後の急変や急な指示変更など、対応力が必要な場面が多いため、瞬時に判断できる力は重要です。
チームで動くのが得意な人
医師・検査技師・リハビリスタッフなど多職種と連携する場面が多く、チームの中で役割を理解して動ける人が活躍しやすいです。
小さな変化に気づける人
術後の出血や創部の状態など、わずかな異変に気づく観察力が患者さんの回復を支えます。
自分の手で患者さんの回復を支えたい人
術後すぐのケアや離床のサポートなど、回復に直接関わる場面が多く、手応えを感じやすいです。
外科に向かないかもしれないタイプ
長期的な関わりを重視したい人
急性期や短期入院の患者さんが多いため、長期的にじっくり関わるケアをしたい方には、少し物足りなく感じるかもしれません。
処置や医療機器に苦手意識が強い人
毎日のようにドレーンや創部、カテーテルなどの管理や処置があり、機器管理にも携わるため、これらに苦手意識が強いと業務が負担になることがあります。
落ち着いた環境を好む人
手術前後のバイタルチェックや創部・ドレーン管理に加え、術後の急変対応が日常的にあるため、ゆったりした環境で働きたい方にはハードに感じる可能性があります。
「ちょっと自分には合わないかも」と感じる場合でも、実際の現場で学びながら少しずつ成長できます。教育プログラムが充実している、先輩がしっかりサポートしてくれるなど、自分に合った教育体制の環境を探してみましょう。

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外科看護師の年収・キャリアパスとスキルアップ
外科看護師として働くとき、「年収はどれくらい?」「どんなキャリアが広がるの?」というのも気になるポイント。
ここでは、外科看護師の給与の目安や将来に向けたスキルアップの選択肢について紹介します。
外科看護師の平均年収は?
厚生労働省によると、看護師全体の平均年収は約519万円です。ただし、20代前半の看護師の平均年収は400万円前後が一般的で、勤務先の規模や夜勤回数によって差が出ます。
夜勤手当は、2交代制で1回10,000〜12,000円、3交代制で1回4,000~6,000円ほどとなっています。
以上は看護師全般の平均額ですが、外科看護師もほぼ同じ相場とみてよいでしょう。
出典:令和6年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)、2023年病院看護実態調査(日本看護協会)
外科看護師としてのキャリアパスとスキルアップ
外科での経験は、全身状態の観察・判断・対応など、どんな現場でも通用する基礎力が身につきます。さらに次のようなキャリアも目指せるでしょう。
スペシャリストを目指す
外科の中でも「消化器」「呼吸器」など特定の分野で経験を積み、実践スキルを磨きながら専門性を高めるキャリアです。
- 認定看護師(手術看護、脳卒中看護、クリティカルケア など)
- 専門看護師(がん看護、急性・重症患者看護 など)
- 特定行為研修修了者(医師の包括的指示のもとで、一部の医療行為を実施できる)
「もっと専門的に外科を学びたい」「この分野を極めたい」と思ったときにステップアップできる選択肢です。
領域を広げてスキルアップする
消化器外科 → 呼吸器外科 → 心臓血管外科のように、領域をまたいで経験することで幅広い術式・看護技術を身につけられます。外科から内科、ICU、救急に異動して視野を広げる看護師もいます。
「いろんな現場で通用する力をつけたい」人におすすめです。
幅広く対応できるジェネラリストとして活躍する
術前・術後だけでなく、外来看護や退院支援、在宅連携まで幅広く対応できる力は、今後の医療現場でますます重要となります。
特定の分野に偏らず柔軟に動ける看護師は、多職種からの信頼も厚くなりやすいです。
外科看護師のメリット・デメリット
外科に興味はあるけれど、「大変そう」「自分にできるかな」と不安になることもありますよね。ここでは、実際に外科で働いている先輩ナースの声をもとに、外科看護のリアルな魅力と大変なところをお伝えします。
外科看護師のメリット



外科看護師のデメリットとその対策


大変だけど、やりがいもある外科は、仲間と支え合える環境選びが長く活躍できるポイントです。
【就活】外科で伝えたい志望動機と面接対応

就活生が知っておきたい外科の志望動機の伝え方と、面接でよくある質問・回答例をご紹介します。
外科の志望動機で伝えたいポイントと例文
外科を志望する際は、以下のようなポイントを盛り込むと、あなたらしさが伝わる志望動機になります。
- 術前・術後の患者さんの回復を支えたいという想い
外科では、患者さんの回復過程に深く関われることが大きな特徴。「回復の手助けをしたい」という気持ちを具体的なエピソードとともに伝えると印象的です。 - チーム医療への関心や連携の経験
外科では医師やリハビリスタッフなどとの連携が不可欠です。実習などでチームの一員として関わった経験を交えると、説得力が増します。 - 急性期への興味や判断力を高めたいという意欲
スピード感のある環境で成長したい気持ちを素直に伝えましょう。どんな場面で学びたいか、目標とセットで伝えると具体性が出ます。
【例文】
手術前から術後の回復過程にかけて、患者さんと関われる外科看護に魅力を感じています。学生時代の実習では、術後の痛みや不安を抱える患者さんに、声をかけていくことで少しずつ笑顔が見られた経験が印象に残っています。
人の変化に気づくのが得意であるため、スピード感ある現場の中でも落ち着いて対応する力を身につけたいと考えています。
将来的には、手術看護の認定看護師を目指して、より専門的なケアを提供できるよう努力していきたいです。
面接で聞かれやすい質問と回答例
術後の回復を支える看護に関心があり、患者さんの変化を見守る過程にやりがいを感じた実習経験があるためです。
まず落ち着いて患者さんの状態を確認し、すぐに先輩や医師に報告・連携を取ります。普段から情報収集を丁寧にしておくことも意識しています。
自分の役割を理解しつつ、周囲の状況にも目を向け、困っている人がいれば声をかけるようにしています。報告・連絡・相談を大切にしています。
外科の病院見学でチェックしたい7つ
病院見学は、働くイメージを具体的につかめるチャンス。ただ設備を見るだけでなく、「自分がここで働くとしたら?」という視点で観察することが大切です。
ここでは、外科を希望する就活生が特に見ておきたいポイントを7つ紹介します。
- 患者さんの特徴
関わる疾患(がん、外傷、良性疾患など)、年齢層、自立度や重症度など、病棟の患者層を見ておくと、雰囲気や看護のスタイルが見えてきます。 - 外科病棟の雰囲気・看護師同士の声かけ
常にピリピリしていないか、忙しい中でもチームで支え合えているかなど、現場の空気感を見ておきましょう。 - 病床稼働率や在院日数(回転の速さ)
ベッドの回転率は、病棟の忙しさの目安にもなります。1人あたりの受け持ち数も確認できると、なおイメージしやすいでしょう。 - 新人教育体制(プリセプター制度など)
はじめてでも安心して学べる環境が整っているかどうかを確認しましょう。 - 夜勤体制(2交代か3交代か)
生活リズムに直結するので、シフトや仮眠環境などの説明も聞けると安心です。 - 手術室との連携体制
病棟とオペ室のやりとりがスムーズかどうかは、仕事のしやすさにも影響します。実際に確認できない場合は、どのように連携しているか聞いてみると良いでしょう。 - 配属希望の通りやすさ
配属希望は外科全体なのか、呼吸器外科・消化器外科など細かく記載できるのかによって、希望の伝え方や実現可能性が変わります。診療科の構成や配属希望の通りやすさは、あらかじめ確認しておくと安心です。
気になったことは、遠慮せずその場で質問して大丈夫です!自分の目と耳で確かめて納得できる職場を見つけましょう。

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外科看護師のよくある質問
はい。大規模病院を中心に、新卒で外科に配属される場合も多いです。
忙しさは確かにありますが、術後の回復を支える実感が得られたり、スキルアップのスピードが早いことから「やっててよかった」と感じる先輩が多いです。プレッシャーもありますが、それ以上に達成感のある職場です。
もちろん役立ちます!判断力・技術・チーム力はどこでも求められるスキルです。
まとめ
外科は大変なこともあるけれど、学びが多く、確実に成長できるフィールドです。あなたのやさしさや行動力が、患者さんの回復を支える力になります。
「向いているかも」と思ったら、まずは病院見学や先輩に話を聞くことから始めてみましょう。病院の見学会・インターンシップに行ってみよう

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