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急性期病院とは?看護の特徴・働き方、就活の志望動機のヒントまで

急性期病院とは?看護の特徴・働き方、就活の志望動機のヒントまでまるわかり

#看護師の仕事 #病院の種類 #働き方

「まずは急性期で経験を積みたい」と考える看護学生は多い一方で、「本当に自分に合っているのかな…」「急性期の働き方ってどんな感じだろう?」という不安や疑問を抱く人も少なくありません。

この記事では、急性期病院の役割や看護師の働き方、やりがい、向き不向き、就活に役立つ志望動機のヒントまで、わかりやすくお伝えします。

急性期病院とは|わかりやすく解説

「急性期って何だろう?」という疑問を持つ方に向けて、まずは基本からわかりやすく解説します。

そもそも急性期とは?

「急性期」とは、病気やけがの発症直後や手術後など、容体が急に変化した患者さんに対して短期間で集中した治療やケアを行う時期のことを指します。

この期間に入院するのが「急性期病院」です。患者さんの命を守ることが最優先となるため、迅速な判断と対応が求められます。

急性期病院の役割と特徴|どんな患者さんが多い?

急性期病院に入院する患者さんは症状が不安定で、急変のリスクも高い状態です。そのため、高度な医療技術や集中的な看護が必要とされ、緊張感のある医療現場でもあります。

また、医師・看護師・リハビリ職・薬剤師など多職種が密に連携し、短期間で患者さんの状態を安定させることが目標となります。

高度急性期・急性期・回復期・慢性期の違いを比較

項目高度急性期急性期回復期慢性期
対象となる患者さん生命に危険がある緊急度の高い最重症の患者さん(ICUなど)発症直後・手術直後などで症状が安定していない患者さん症状安定後、リハビリや経過観察などが必要な患者さん症状が安定しているものの、長期にわたる療養が必要な患者さん
主な目的高度な集中治療と生命の維持治療と症状の早期安定化ADLの向上と在宅復帰ADLの維持・向上や再発予防
入院期間(※)9日14日51日234日
看護の特徴生命維持装置(人工呼吸器など)の管理、緻密な観察とケア、迅速な判断力、高度なチーム医療継続的な観察と自立に向けた支援、退院調整迅速なアセスメント、医療的な処置やケア、急変対応、チーム連携日常生活の援助、家族も含めた精神的・社会的なケア
看護配置2対1(ICU)
4対1(HCU)
など
7対1
または
10対1
13対1
または
15対1
20対1

2018年度平均在棟日数の中央値
出典:厚生労働省「病床機能報告」「平成30年度(2018年度)病床機能報告の結果について」「令和6年度診療報酬改定説明資料等について」

高度急性期と急性期はどう違う?

急性期病院の中には、特に緊急度・診療密度の高い医療を提供する「高度急性期」に位置付けられる病院もあります。

高度急性期は三次救急を担い、ICUやHCUなどを備えるなど、すぐに治療しないと生命維持に関わるほど重症度が高い患者さんを受け入れます。一方、一般的な急性期病院は二次救急が中心で、重症から中等症までの患者さんが対象です。

看護師に求められるスキルや業務の密度も異なるため、就職先を考えるときは「どちらの急性期か?」といった視点を持つことも大切です。

急性期看護の特徴と働き方

ここでは、急性期看護の具体的な仕事内容や求められる力、働く現場の1日を紹介します。

急性期看護の5つのポイントとは?

急性期看護では、

  1. 患者さんのわずかな変化を見逃さない「観察力」
  2. 医師の指示を正確に行う「処置スキル」
  3. 急変時にすばやく冷静に対応する「判断力と行動力」
  4. 辛い経験があっても乗り越えて次に活かす「切り替え力」
  5. 多職種と協力する「チーム医療の実践」

が大きなポイントです。これらはすべて、看護師としての基礎力・応用力を高める絶好の環境でもあります。

急性期病院で働く看護師の1日

ここでは、急性期病院で働く看護師の1日のスケジュール例を紹介します。

急性期病院で働く看護師のスケジュール例(日勤)
8:30情報収集・夜勤看護師から申し送り
9:00バイタル測定・体位変換・ 清潔ケア・処置など
10:00点滴準備・オペ出し・検査出し・入院対応など
12:00配膳・食事介助・記録
12:30情報共有・引き継ぎをしてお昼の休憩へ
13:30医療ソーシャルワーカーなどとのチームカンファレンス
14:30手術後の受け入れ・観察強化・術後の痛み止め準備など
15:00医師やリハビリスタッフなどとの多職種カンファレンス
16:00記録・夜勤看護師へ申し送り
17:00退勤

急性期で働くメリットとデメリット

急性期での働き方を具体的にイメージできるよう、メリットとデメリット、そして先輩看護師からのアドバイスを紹介します。

急性期で働くメリット

  • 最新の医療技術や医療機器に日常的に触れられる
  • 状況判断力やスピード感のあるアセスメント力が鍛えられる
  • 患者さんが目に見えて回復していく姿にやりがいを感じられる
  • 医療処置が多いため、手技スキルが身につく

急性期で働くデメリット

  • 業務量が多く、効率良くこなせないと心身の負担が大きい
  • 患者さんとじっくり関わる時間が少ない
  • 緊張感のある環境が続くため、疲労が蓄積しやすい
  • 急変対応に常に備える必要があり、プレッシャーを感じやすい

先輩ナースが成長・やりがいを感じる場面は?

(急性期病棟・3年目)
「重症で寝たきりだった患者さんが、自分のケアとチームのリハビリで『ありがとう、歩けるようになったよ』と笑顔を見せてくれた時」
(救急外来・4年目)
「忙しくて人手が足りない時、先輩や同期とアイコンタクトだけで役割分担ができたり、お互いに助け合ったりして無事に業務を回せると、チームワークの力を実感してまた頑張ろうと思える」
(ICU・7年目)
「夜勤中に患者さんが急変したことがありました。培った知識と経験を総動員して夜勤者みんなで対応し、一命を取り留められた時は、震えるほどの達成感がありました」

先輩ナースは大変なとき、どう乗り越えた?

(内科急性期病棟・2年目)
「最初はミスが怖かったけど、先輩が『一人で抱え込まなくていいよ、私たちも通ってきた道だから一緒に解決しよう』と言ってくれて心が軽くなり、チームで働くことの心強さを感じた」
(内科急性期病棟・2年目)
「患者さんが回復して笑顔を見せてくれたり、『あなたがいてくれてよかった』と感謝の言葉をかけてくれたりすると、本当に救われます」(内科急性期病棟・2年目)
(ICU・7年目)
「深夜勤務明けの疲労は正直つらいけど、同僚とちょっとした愚痴を言い合ったり、プライベートでリフレッシュする時間を作ったりすることで、気持ちを切り替えるようにしています」

困ったときに相談しやすい雰囲気や教育体制がある病院を選ぶことも、就活では大切なポイントです。

高度急性期・急性期の病院を探す

急性期看護に向いている人・向いていない人

「急性期は大変そう」というイメージはあっても、「本当に自分に合うのかな?」と悩むのは当然です。後悔しない選択をするために、あなたが急性期看護に向いているかどうか、セルフチェックしてみましょう。

急性期に向いている人の特徴6つ

当てはまると思える数が多いほど、急性期看護でやりがいを感じられる可能性が高いです。

  • とっさの判断が求められる場面でも冷静に動ける
  • 変化やスピード感のある現場でテキパキ働くのが性に合う
  • チームで課題を乗り越えるのが好き
  • 医療的な処置や急変対応を経験してスキルを磨きたい
  • 自分の成長のためにチャレンジするのが好き
  • 多少のプレッシャーがあっても前向きに取り組める

急性期に向いていないかもしれない人は?

もちろん、誰もが急性期に合うわけではありません。以下の特徴に当てはまる場合は、急性期以外の病棟があなたの看護観や働き方にフィットする可能性もあります。

  • 高い緊張感が続くと心身が疲弊しやすい
  • 患者さんとじっくり深く関わりたい気持ちが強い
  • 医療的な処置より「ケア」に重きを置きたい

これらの項目に「はい」と思う部分が多いなら、回復期や慢性期など、患者さんと長期的に関わり、生活全体を支える看護が合うかもしれません

大切なのは、あなたがどんな看護師になりたいかどんな働き方をしたいかです。 

看護師ライター・佐々木
正直、私も「急性期は向いてない」と思っていましたが、実際に急性期で働いてみると、患者さんが日に日に良くなっていく姿や仕事のスピード感が楽しくなってきて、「あ、私この仕事好きかも」って思えるようになりました。

やってみないと本当のところは分からないもの。大切なのは「挑戦してみたい」という気持ちだと思います!

向き不向きは自分では気づかない部分もあったりするので、周囲のアドバイスももらいながら考えてみてくださいね。

就活で差がつく!志望動機と自己PRの伝え方

急性期病院の数は多いので「なぜ急性期を志望するか」に加えて、「急性期の中でもこの病院を選んだ理由」を伝えるのがポイントです。

ここでは、志望動機で自分らしさを伝えるコツを紹介します。

急性期病院の志望動機 書き方のポイント

志望動機を書くときは、以下のように構成すると伝わりやすくなります。

  1. きっかけ:なぜ急性期で働きたいと思ったか(実習や体験談)
  2. 学び:その体験から得た気づき
  3. マッチ:志望する病院の特徴と、自分との共通点

【例文】急性期病院の志望動機(新卒向け)

上の構成に沿った志望動機の例文です。「自分の強み」を「急性期の特徴」と結び付けるとよいでしょう。

実習中、担当患者さんのバイタルサイン測定時、「数値的には正常範囲だけど、何かいつもと違う」と感じ、すぐに指導者に相談したところ、心電図で不整脈が出現していることが判明し、状態が悪化する前に対応できた経験がありました。この経験から、患者さんの小さな変化に気づくことの大切さと、迅速な報告・連携の重要性を実感しました。
急性期ではこうした判断や観察が日々求められると感じ、看護師として成長できる環境だと考えています。
貴院の教育体制における「気づきを大切にする指導方針」と、多職種カンファレンスでの情報共有体制に魅力を感じ、安心して学びながら患者さんに寄り添える看護師を目指したいです。

急性期病院の面接でよく聞かれる質問と答え方のコツ

面接で質問に答えるときは「具体的なエピソード+学び+意欲」で構成すると説得力が増します。

急性期で働きたい理由は?
「急性期の実習で、手術後24時間で歩行を開始した患者さんを受け持たせていただき、早期回復を支える看護の力を実感しました。この経験から、患者さんの『できる』を最大限引き出す急性期看護を実践したいと思いました」
急性期の大変さにどう対応する?
「実習では優先順位をつけてチームと連携することが重要だと学びました。日々学び続けながら、わからないことは素直に聞き、患者さんの安全を最優先に行動します」

急性期病院の選び方|後悔しないためには?

急性期病院は数が多いからこそ、自分に合った職場を見つけることが大切です。

急性期の病院選びで重視したい5つのポイント

充実した看護師生活をスタートするための病院選びのポイントを紹介します。

  1. 教育・研修制度が充実しているか
    フォロー体制や相談しやすい環境かどうかなど
  2. 新人看護師の定着率
    病院説明会や採用ページなどで確認
  3. 病院の規模と特色
    大学病院は高度医療と教育が充実、民間病院はアットホームな雰囲気など
  4. 働き方と職場環境
    2交代か3交代か、有給取得率、残業時間など
  5. 病院の理念・看護部の方針
    自分の目指す看護師像や共感できる理念があるか

先輩看護師は急性期病院をどう選んだ?

(内科病棟・3年目)
「最初は有名な大学病院ばかり見ていましたが、見学で訪れた中規模病院の温かい雰囲気に魅力を感じて入職を決めました。教育も手厚く、先輩方も優しくて、自分に合った選択ができたと思います」
(ICU・2年目)
「新人研修のスケジュールを詳しく説明してもらったとき、3カ月、6カ月、1年と段階的に成長できるプログラムがしっかりしていて安心できました。実際に今、その通りに少しずつできることが増えていて、無理なく成長できています」
(救急外来・2年目)
「見学のとき、看護師さんたちがイキイキと働いていて、お互いに声をかけ合っている姿を見て、『こんなチームで働きたい』と思いました。実際に働いてみて、あの時の印象は間違っていなかったと感じます」


大切なのは、あなたが「ここで頑張りたい」と思える職場を見つけることです。5つのポイントや先輩の体験談を参考に、どんなことを大切にしたいか検討してみましょう。

急性期病院で目指せるキャリアと将来像

急性期から看護師としてのキャリアをスタートさせたら、その先はどんな進路を描けるのでしょうか? 

ここからは、新卒で急性期病院に入職した場合に目指せる、多様なキャリアパスを紹介します。

専門性を極めてスペシャリストを目指す

クリティカルケアケア認定看護師、救急看護認定看護師、急性・重症患者看護専門看護師など、急性期のスペシャリストとして資格取得を目指す道があります。

また、資格取得はしなくとも、ICU・HCU・救急外来などの専門性の高い部署でスキルアップしていくのもよいでしょう。

幅広い視点を持つジェネラリストを目指す 

急性期で培った基礎力は、幅広い患者さんに対応する力になります。特定の領域に絞らず、内科・外科・整形外科など複数の診療科を経験しながら、ジェネラリストとして活躍するのも一つの道です。

もちろん、急性期だけでなく回復期や慢性期へと経験の幅を広げることもできます。

地域や在宅で活躍する

急性期で学んだ経験を地域や在宅の場で生かす選択もあります。クリニックで初期診療に携わったり、訪問看護師として在宅患者さんを支えたりといった場面でも、急性期で得たアセスメント力や判断力、医師との連携力は強みになります。

まとめ|「やってみたい」と思った気持ちを大切に

急性期は忙しさもありますが、その分、看護師としてのスキルアップや成長を実感できる貴重な環境でもあります。向き不向きに悩むのは誰もが通る道です。それでも、心の奥底に「やってみたい」という気持ちがあるなら、それは十分な理由になります。

気になる病院があったら病院見学会やインターンシップに参加して、実際の雰囲気を確かめてみましょう。

高度急性期・急性期の病院を探す

佐々木 雅子
看護師ライター
佐々木 雅子
新卒で大学病院に入職後、看護師として放射線科・整形外科・デイサービス・幼稚園などさまざまな職場を経験。現在は看護師資格を活かしてライター・編集者として活動中。
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