内科と外科、どっちが自分に合っているんだろう?
希望する病院には循環器内科も消化器内科もあるけど、どれを希望すればいい?
こんなふうに診療科選びで悩む看護学生さんは多いのではないでしょうか。
この記事では、内科看護師の仕事内容や外科との違いに加え、呼吸器・循環器・消化器といった診療科ごとの特徴、キャリアの考え方を解説します。
実習や病院見学の前に知っておきたい情報もお伝えするので、ぜひ最後まで読んで、自分らしい選択のヒントにしてください。
「内科看護師」とは?主な役割を解説

「内科」は、手術をせずに薬や注射、生活指導などで病気の治癒を目指す診療科です。高血圧、糖尿病などの生活習慣病や、心臓病、肺の病気など慢性的な疾患を抱える患者さんが多いのが特徴です。
内科看護師としての役割は、以下のように多岐にわたります。
- バイタルサインの測定(血圧・体温・脈拍など)
- 点滴や内服の管理
- 生活援助(食事や排泄のケア)
- 医師の診察や検査のサポート
- 入退院の支援や患者さん・ご家族への生活指導
内科では、長期的に患者さんと関わる場面が多く、経過を見守りながら丁寧なケアを提供する力が求められます。
内科と外科の違いを比較|どっちが大変?
「外科と内科、どっちが大変なんだろう?」と考える看護学生さんも多いでしょう。ここでは仕事内容の違いと、それぞれの大変さ・向き不向きのポイントを整理してみましょう。
【表】内科と外科の比較
| 内科 | 外科 | |
|---|---|---|
| 主な治療内容 | 投薬・生活指導 | 手術・処置 |
| 患者さんの状態 | 入院直後の不安定な方から長期入院で生活管理が必要な方まで幅広い | 急性期・術後が多く、状態変化が早い |
| 看護師の役割 | 慢性疾患の観察、服薬管理、生活支援など | 術前準備、術後ケア、創部管理など |
| スピード感 | 観察が中心で、比較的ゆるやか | 回転が早く、処置も多いため、スピード感と臨機応変さが必要 |
| 魅力 | じっくり関われる分、信頼関係を築きやすい | 回復の喜びをすぐに感じられる |
| 大変なところ | 経過がゆっくりで、成果が見えにくい | 急変対応や処置が多く、身体的・精神的負担が大きい |
どちらが大変と感じるかは人それぞれです。ただしそれぞれの特徴から「じっくり関わりたい人」には内科が、「変化のある現場が好きな人」には外科が向いているかもしれません。
また、看護師としての関わり方にも違いがあります。
外科では手術という身体的な負担が大きい患者さんが多く、術後の観察・創部管理・ドレーン処置などが日常的に求められます。
一方、内科では処置は少なめですが、バイタルサインや症状の変化を丁寧に観察し、患者さんの生活を支える看護が中心です。
つまり、「処置中心で身体ケアが多い外科」と、「観察と支援に重きを置いた内科」といえます。
内科看護師の1日スケジュール例
内科の特徴をもっとリアルに知るには、実際の業務の流れを見るのが一番です。ここでは、ある内科病棟の「日勤帯」のスケジュール例を紹介します。
| 内科看護師のスケジュール例 | |||
| 8:30 | 出勤・夜勤者から申し送りを受ける | ||
| 9:00 | バイタルサイン測定、内服薬の確認・配薬 | ||
| 10:00 | 検査や処置の付き添い、清潔ケア、検温、記録の入力 | ||
| 11:00 | 排泄介助・体位交換などの生活援助 | ||
| 12:00 | 昼食介助・経管栄養、与薬 | ||
| 13:00 | 交代で休憩 | ||
| 14:00 | 医師の回診サポート、点滴準備・投与 | ||
| 15:00 | 退院・入院対応、ご家族対応、カンファレンス | ||
| 16:00 | 検温、カルテ記録、看護計画の見直し | ||
| 17:00 | ナースコール対応、申し送り準備 | ||
| 17:30 | 夜勤者へ申し送り・退勤 | ||
外科と比べて処置の数は少ないかもしれませんが、観察・記録・援助といった「看護の基本」を丁寧に積み重ねていくのが内科の特徴です。患者さんの小さな変化に気づく力が求められる一方で、長く関われる分、回復していく姿に寄り添えるやりがいもあります。
診療科によって違う!呼吸器・循環器・消化器それぞれの特徴
内科にはさまざまな診療科があり、それぞれ仕事内容や患者さんの特徴も異なります。ここでは、看護学生に馴染みのある3つの診療科(呼吸器・循環器・消化器)について紹介します。
| 呼吸器内科 | 循環器内科 | 消化器内科 | |
|---|---|---|---|
| 主な疾患 | COPD、肺炎、喘息など | 弁膜症、不整脈、狭心症など | 胃潰瘍、肝炎、大腸がんなど |
| 急変頻度 | 高め(呼吸困難や窒息リスク) | 高め(不整脈・ショックなど) | 中程度(消化器出血) |
| 使用機器 | 酸素療法、人工呼吸器 | 心電図モニター、輸液ポンプ | 内視鏡、ドレーン、IVHなど |
| 観察ポイント | 呼吸音、SpO2、咳・痰の量 | 心拍・血圧の変動、胸痛の訴えなどの自覚症状の有無 | 腹部膨満、便の性状、出血徴候など |
| 看護のやりがい | 苦しさを軽減し不安に寄り添える看護が実践できる | 緊張感のある中で高度な技術を学べる | 手技が多く、がん患者さんの心のケアにも関われる |
| 向いている人の特徴 | 冷静な判断力と観察力がある人 | 機械やモニター操作が好き、集中力がある人 | 手先が器用で、落ち着いて対応できる人 |
「呼吸器内科」の特徴と仕事内容
呼吸器内科は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺炎など、呼吸に関する病気を扱う診療科です。人工呼吸器や酸素投与の管理、喀痰(かくたん)吸引などが看護の中心になります。
急変対応も多く、観察力と迅速な対応力が求められます。「呼吸が苦しい」と不安を抱える患者さんに寄り添う、コミュニケーション力も重要です。
「循環器内科」の特徴と仕事内容
循環器内科では、弁膜症や狭心症、不整脈など、心臓や血管の疾患を扱います。患者さんの心電図や血圧の変化を細かくチェックし、変化に応じて迅速に対応する必要があります。そのため、心電図モニターをはじめとする医療機器の扱いに慣れておくことも大切です。
カテーテル治療後の観察や、急な状態変化の対応も多いため、プレッシャーはある一方、スキルアップを実感しやすい領域です。
「消化器内科」の特徴と仕事内容
消化器内科は、胃や腸、肝臓など、消化器官の病気を扱う診療科です。内視鏡検査や処置の介助、ストーマ管理など、内科の中でも手技が多いのが特徴です。
また、がん患者さんの化学療法や終末期ケアに関わる場面もあり、身体だけでなく心のケアも求められます。

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内科看護師に向いているのはこんな人

内科は「じっくり」「丁寧に」「変化に気づく」ことが必要な診療科です。以下のような特徴がある人は、内科に向いているかもしれません。
- 観察力に自信がある
急激な変化よりも、少しずつ進む病状を見極める必要があるため、日々のバイタルや表情、発言など、小さな変化に気づける力が活かせます。 - 患者さんと長く関わりたい
長期入院や慢性疾患の患者さんも多く、経過を見守りながら関係を築いていく看護が中心になります。じっくり患者さんに関われる環境で働きたい方に向いています。 - 相手の気持ちに寄り添うのが得意
治療が長引いたり、先の見えない不安を抱える患者さんに、傾聴や共感を通じて精神的な支えになれる力を持つ方は、十分に能力を発揮できます。 - コミュニケーションを大切にしたい
多職種連携や家族対応など、関わる人が多いのが内科の特徴です。信頼関係を築く力や丁寧なやり取りが評価されます。 - チームで協力しながら働きたい
急性期ほどではないものの、患者さんの変化に対し、チーム全体で情報共有して支える場面が多いため、周りと協力して何かをこなすことにやりがいを感じる方は向いているかもしれません。
内科看護師のやりがいと、きついところ
現場で働く先輩ナースたちの声を通して、内科看護師のリアルな「やりがい」と「きつさ」をイメージしてみましょう。
先輩ナースが「やりがい」を感じたこと



先輩ナースが「きつい」と感じたこと



内科は「地道なケア」の積み重ねだからこそ、「患者さん・ご家族との関わり」や「成長実感」にやりがいを見出せる職場です。
内科看護師としてのキャリアパスとスキルアップの道
内科で得られる基礎的なスキルや姿勢は、あらゆる診療科・職場でも活かせます。ここでは3つの代表的な方向性をご紹介します。
スペシャリストを目指す
特定の分野に強みを持ち、専門的に関わる道です。
- 認定看護師:呼吸器疾患看護、緩和ケア、糖尿病看護など
- 専門看護師:在宅看護、老人看護、慢性疾患看護
- 特定行為研修修了者:医師の指示のもとで一部の医療行為を実施できる
「もっと詳しく勉強したい」「この領域を極めたい」と、具体的な分野が決まっているときにおすすめの選択肢です。
領域を広げてスキルアップする
最初は呼吸器内科に配属されても、経験を積んだ後に循環器内科や消化器内科など、他の専門内科にチャレンジする看護師もいます。
また、内科から外科へ異動し、手術前後のケアや急性期対応など、領域を広げて学ぶ人も少なくありません。
「さまざまな疾患や患者さんに対応できる力をつけたい」「内科の知識を多角的に活かせる看護師になりたい」という方に適しているキャリアパスです。
幅広く対応できるジェネラリストとして活躍する
急性期の総合内科、内科クリニック、慢性期病棟などで経験を積み、幅広い疾患・年齢層に対応できるジェネラリストを目指す道もあります。
一つの分野にとらわれず、臨機応変に患者さんのニーズに応える力は、どの職場でも重宝される力となります。
どの道を選ぶにしても、内科での経験は「観察力」「関係構築力」「幅広い知識」といった看護の土台をしっかり育ててくれる貴重なキャリアになります。
内科希望の志望動機はこう書く!面接でも使えるテンプレ付き

内科を志望する場合は、「患者さんとどう関わりたいか」「自分のどんな強みを活かせるか」をアピールするのがポイントです。
内科志望で伝えたい強みの例
- 観察力がある
小さな変化に気づける力は、内科で重宝されます。 - 傾聴力・共感力がある
長期入院や慢性疾患の患者さんと信頼関係を築くために不可欠なスキルです。 - コツコツ継続する力がある
日々の地道なケアを丁寧に行えることのアピールも重要です。 - 生活背景に寄り添う視点がある
退院後を見据えた支援ができる看護師は、内科の患者さんにとって大きな存在になります。
実習を通じて経験したエピソードを組み合わせて、内科ならではの価値観に共感していることを伝えましょう。
【例文】内科の志望動機(新卒向け)
私は、患者さんと長期的に関わる中で信頼関係を築き、安心して過ごしてもらえるような看護をしたいと考えています。
内科では、観察力や傾聴力を活かしながら、患者さんの生活背景にも配慮した支援が求められると知り、そこに魅力を感じました。
実習で患者さんの言葉にならないサインを感じ取れたことで、患者さんから感謝されたことがうれしく、自分の看護観とも重なったと感じています。内科で経験を積みながら、患者さん一人ひとりに合った看護を実践していきたいです。
「どんな看護がしたいのか」「なぜ内科である必要があるのか」が伝わると、説得力のある志望動機になります。
就職先の選び方|内科で働くならココをチェック!
内科でも病院や領域によって業務内容や忙しさは大きく変わります。病院見学会やインターンシップに参加して、次のようなポイントを意識して確かめてみましょう。
- どんな専門診療科がある?(呼吸器/循環器/消化器/血液など)
内科でも疾患や看護のスタイルは異なるため、興味のある分野があるか確認をしましょう。複数の科が合わさる「混合病棟」があると、1つの診療科に限らず関われるメリットがあります。 - 急性期の病棟?慢性期の病棟?
急性期はスピード感と緊張感があり、慢性期はじっくり関わる支援型看護が中心です。内科を希望する理由が「患者さんと時間をかけて向き合う」ことであれば、慢性期のほうが理想に近いかもしれません。 - 平均在院日数は?
ベッドの回転が速い病棟では、入退院の流れを通して多くの症例に関わる経験が積めます。長期入院の患者さんが多い病棟は、患者さんと関わる時間を確保しやすく、経過をじっくり見守れるのが特徴です。 - 患者さんの特徴は?(高齢者が多い/終末期が多い/がん治療中など)
高齢者や慢性疾患の患者さんが多い場合は、日常生活支援や長期ケアが中心になります。急性期・終末期・がん治療中の患者さんが多い場合は、医療処置や観察が中心となり、短期間での回復支援が求められます。 - 教育体制は?(プリセプター制度、ラダー制度、定期研修の有無)
プリセプター制度やラダー制度が整っているかを確認すると、日々の実践で学びやすい環境かどうかがわかります。定期研修や勉強会の有無で、計画的にスキルアップできる環境かを把握できます。 - スタッフの雰囲気・声かけの様子は?
忙しい中でも相談しやすい雰囲気があるかを見ると、安心して働けるかの目安になります。先輩や同僚との声かけの頻度や距離感を観察すると、チームサポートの実態がわかります。 - 夜勤体制・残業時間・休日の取りやすさは?
夜勤は何人体制かを確認すると、負担や安全面を把握できます。ワークライフバランスを評価するには残業の頻度や休日取得の実態を聞いてみましょう。
こうしたポイントを意識して確認することで、「なんとなく雰囲気がよさそう」だけでなく、自分に合っているかどうかを具体的に判断できるようになります。「◯◯内科に興味があるのですが、貴院では配属の希望はどの程度、考慮されますか?」と質問してみるのもよいでしょう。

病院の見学会・インターンシップに行ってみよう
まとめ
内科は、看護師として大切な基礎スキルが磨ける分野です。
呼吸器・循環器・消化器といった診療科でもそれぞれ特徴があるので、病院見学会やインターンシップなどを通して、あなたの興味・関心に合った領域を見つけてみましょう!




