側臥位|手術室で多くとられるポジショニング②

『写真でわかる看護技術 日常ケア場面でのポジショニング』(照林社)より転載。一部改変。
今回は手術室で多くとられる側臥位のポジショニングについて解説します。

 

山中直樹
綜合病院山口赤十字病院内視鏡外科部長

 

 

●側臥位には、術式や術者により完全な側臥位と半側臥位やひねり側臥位などの変形型側臥位がある。

●術野の確保目的で手術台を山折りにしたり、回転をかけることもあるため、術式に応じて回転時の圧や重力の方向も考慮に入れる必要がある。

 

手術室で多くとられるポジショニング(側臥位)

 

側臥位のポジショニングのポイント

  • 特に注意すべき点は下側上肢の圧迫で、腕抜き用の補助枕(ここではオアシスパッド側臥位ポジショナー®図1)が体圧の分散に有効である。腕抜き用の補助枕の代わりにマジックベッド®や腋窩枕を用いるときは、腋窩から拳1つ分のスペースをつくり腋窩を圧迫しないことが重要である1)
  • 腋窩枕は圧分散マットレスの下に挿入したほうがよい。

 

図1 オアシスパッド側臥位ポジショナー®

オアシスパッド側臥位ポジショナー

 

 

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側臥位のポジショニングの進め方10)

1 手術台の準備(図2

①腕抜き用の補助枕を置く

上半身側には「腕抜き用の補助枕(ここではオアシスパッド側臥位ポジショナー®)」を置き、下半身側には「低反発ウレタンフォーム(ここではソフトナース®)」を置く。


腕枕を圧分散タイプに変更する。

 

身体が水平になるように調整し、仰臥位で麻酔を導入する。

 

図2 手術台の準備

オアシスパッド側臥位ポジショナー

* スニフィング・ポジション(sniffing position):匂いをかぐような体位。喉頭展開するために、仰臥位で薄めの枕を頭の下に入れ、鼻を上向きに頸部を軽く後屈した体位で、気管挿管時の体位とされる。

 

2 仮の体位決め

①側臥位にする

身体を持ち上げ仰臥位のままで移動させ、上肢の位置を合わせる。そのまま上肢を前方に出しながら身体を回転させて側臥位にする。

 

腕抜き用の補助枕がない場合には、回転させたのち側胸部に「補助枕」を挿入する。

 

大転子部は、側臥位では最も体圧が高くなる褥瘡好発部位のため、体圧分散用具は必須である。痩せ型で骨突出がある場合にはさらに予防としてフィルムドレッシングを貼付しておく。

 

3 体幹固定(図3

①「体側支持器」で固定する

術野が確保されるように「体側支持器」で固定する。

 

体側支持器は接触面積が広く取れ腹腔内を圧迫しない部位で固定する。

 

まず恥骨と仙骨の部位で挟み込むように固定する。固定が不十分なときは胸骨と胸椎の部位で固定する。

 

体側支持器は直接身体に当てない。低反発ウレタンフォームなどを支持器と身体の間に入れる。

 

図3 体側支持器による体幹固定

体側支持器による体幹固定

 

4 頭部固定

①頭部固定を確認する

頸部が側屈しないように除圧枕(ここでは「オアシス・オープンヘッドリング®」)を入れる(図4)。頭部を側面で支えるため、介が屈曲せず、かつ圧分散されるようにする。

 

図4 頭部の固定

頭部固定を確認

 

頭部の枕への沈み込みにより、下側の眼球が圧迫されていないか、挿管チューブが圧迫・閉塞していないかを確認する。失明、気道閉塞などの重大な合併症につながるため、術中も頻回に確認する。

 

5 上肢固定

①上肢を固定する

下側の上肢は軽度内旋位、肘は軽度内側に屈曲するように圧分散マットレスを入れる。そのとき肘内側を圧迫しないよう注意する。

 

上側の上肢は肩より高く前方挙上させない(図5)。肩関節の屈曲は90度以下とし、上肢は軽度内旋位、肘は屈曲させる。腋窩も術野になる場合は、上肢は肩よりも高くなるが、過度に挙上しないよう注意する。

 

末梢静脈ルートや動脈ラインは下側の上肢でとるようにする。術中も定期的に、腋窩が圧迫されていないか、末梢動脈の拍動を観察する。

 

図5 上肢の固定

上肢を固定

 

6 下肢固定

①左右の下肢をずらして圧分散をする

両下肢が重なると膝内側で褥瘡のリスクが生じるため、左右の下肢をずらす(図6)。

 

上側の下肢の下に「補助枕」を置く。補助枕は高さのあるものを選択し、下側の下肢と接触しないようにする。

 

両下肢を重ねる場合は、下側の下肢を強く屈曲させ、上側の下肢を軽く屈曲させ膝同士が重ならないようにする。さらに両下肢の間に低反発ウレタンフォームを入れて直接両下肢が接しないようにする。

 

下側となる下肢の腓骨頭、外果の圧抜きを行う。

 

図6 両下肢を重ねる場合の下肢固定

下肢固定

 

 

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半側臥位のポジショニング

食道手術などでとられる側臥位の変法である(図7)。

 

「マジックベッド®」を用いて行うとよい。あらかじめ位置を考えてマジックベッド®を置き、低反発ウレタンフォームも必ず用いて、直接身体に接触しないようにする。

 

腋窩から拳1つ分のスペースをつくり腋窩を圧迫しないことが重要である。

 

下肢は左右にずらし、両下肢の間に低反発ウレタンフォームを入れて直接両下肢が接しないようにする。

 

図7 半側臥位のポジショニング

半側臥位のポジショニング①

 

半側臥位のポジショニング②

 

胸腔鏡下食道切除術は側臥位か腹臥位か?

従来、食道がん手術時には左側臥位がとられてきましたが、最近、腹臥位で手術を行う施設が増えています3)

 

それまで左側臥位では、助手が肺を圧排することが必要で、下縦隔の視野展開が不良でしたが、腹臥位では、肺および気管が自重力により腹側に偏位するため助手による視野展開が不要で、特に下縦隔で良好な視野が得られるようになりました。

 

一方で、腹臥位では、大血管からの出血が起こったときに緊急開胸が困難であるという欠点があります。そこで両者の欠点を補うことができる方法として、左半側臥位にして手術台をローテーションすることで、左側臥位と腹臥位の両方の体位をとる工夫がなされています4)

 

 

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文献

1)American Society of Anesthesiologists.Practice Advisory for the Prevention of Perioperative Peripheral Neuropathies. Anesthesiology 2011;114(4):741-754.

2)田中マキ子 編:ポジショニング学 体位管理の基礎と実践.中山書店,東京,2013:158-161.

3) 能城浩和,小林毅一郎,政次俊宏,他:腹臥位鏡視下食道切除術.手術 2009;63:1909-1913.

4) 竹内裕也,大山隆史,才川義朗,他:左側臥位-腹臥位hybrid胸腔鏡下食道切除術.手術 2009;63:1915-1921.


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『写真でわかる看護技術 日常ケア場面でのポジショニング』 編著/田中マキ子/2014年8月刊行/ 照林社

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