脳神経のフィジカルアセスメント

『本当に大切なことが1冊でわかる脳神経』より転載。
今回は脳神経領域で行うフィジカルアセスメントについて解説します。

 

石田智子
東海大学医学部付属八王子病院看護部主任
景山優子
東海大学医学部付属八王子病院看護部主任

 

 

意識状態のみかた

脳神経のフィジカルアセスメントでは、意識レベルをみて判断します。

 

両方が正常に保たれている場合は意識清明、どちらか一方もしくは両方に異常がある場合は意識障害といいます。

 

刺激をしても覚醒しない状態など、意識の覚醒度が低下している状態を意識混濁といいます。

 

記憶、思考、理解、計算、学習、言語、判断など知的な能力に障害がみられる状態を認知機能障害といいます。

 

意識レベルをみる

「意識の覚醒度」を測り、JCSジャパン・コーマ・スケール;Japan Coma Scale;表1図1図2)やGCSグラスゴー・コーマ・スケール;Glasgow Coma Scale;表2図3図4)を用いて表現します。

 

memo:JCS

日本で使われているもので、短時間で簡便に意識レベルの評価を行えるのが大きな特徴であり、緊急時に用いるのに適する。急変対応時のスケールとしても、第一選択となるケースが多い。また、間脳・中脳・延髄への侵襲の程度判定もしやすく、よいめやすになる。

 

memo:GCS

アメリカで一般に使われており、世界的に通用する意識レベル評価法ということが最大の特徴。「開眼」「発語」「運動機能」の3項目から評価するためJCSよりもやや複雑であり、1項目でも判定が困難な場合は意味をなさない。亜急性~慢性期の意識障害患者の身体残存機能や、予後の評価に有用である。

 

フキダシ:問診時に日付を訪ねた際、言語障害により明確に答えられない場合もあります。言語障害には、失語、構音障害があります。意識障害と間違えないように、それぞれの種類と特徴をおさえておきましょう

 

表1JCS

表1JCS

 

失外套症候群

大脳皮質の障害により、無言で自発運動がなく、意思疎通が困難な状態。

 

無動無言

動きや発話がみられない状態。

 

不穏

落ち着きがなくじっとしていられない状態。

 

せん妄

意識混濁に加えて幻覚や興奮などが加わった状態。

 

 

図1JCSによる評価の例

図1JCSによる評価の例

 

図2痛み刺激の与え方の例

図2痛み刺激の与え方の例

 

表2GCS

表2GCS

 

図3GCSによる評価の例

図3GCSによる評価の例

 

図4姿勢反射

図4姿勢反射

 

失語と構音障害は表3のとおりです。

 

表3失語と構音障害

表3失語と構音障害

 

 

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眼のみかた

眼球の異常、脳出血脳梗塞などの異常を発見するほか、脳神経の機能を評価するため、眼瞼、眼球、瞳孔の状態や対光反射をみます。

 

眼瞼をみる

しばらく遠くのほうをじっと見てもらい、眼瞼を観察します(図5)。

 

 

図5眼瞼のみかた

図5眼瞼のみかた

 

眼球をみる

左右の眼球の位置(眼位)と動きをみます(図6図7)。

 

図6眼位のみかた

図6眼位のみかた

 

図7眼球の動きのみかた

図7眼球の動きのみかた

 

瞳孔をみる

瞳孔の大きさをみます(図8)。

 

図8瞳孔の大きさのみかた

図8瞳孔の大きさのみかた

★1 ホルネル症候群

 

対光反射をみる

瞳孔にペンライトの光を当てると、正常な場合、光を当てた側と反対側で同時に縮瞳が起きます(図9表4)。

 

図9対光反射のみかた

図9対光反射のみかた

 

表4対光反射の異常

表4対光反射の異常

 

 

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身体機能のみかた

小脳機能や、大脳から末梢神経、筋肉までの経路に異常がないかを判断するため、姿勢・動作や筋力、麻痺の有無・程度をみます。

 

姿勢・動作をみる

患者さんの座位・立位での姿勢や、歩行時の様子、不随意運動(意思によらず動くこと)がみられないかなどを観察します(図10)。

 

図10姿勢・動作をみるポイント

図10姿勢・動作をみるポイント

★1 脳血管障害
★2 パーキンソン病
★3 多発性筋炎
★4 脊髄小脳変性症

 

舞踏運動

手・足・顔などが不規則に動く。

 

ジストニア

筋肉の緊張が異常に亢進し、異常な姿勢をとる。

 

ミオクローヌス

身体の一部が急にピクッと動く。

 

感覚障害をみる

感覚障害では、触覚痛覚温度覚振動覚位置覚が障害されます(図11)。

 

図11感覚障害のみかた

図11感覚障害のみかた

 

位置覚のみかた

足趾や股関節を動かして曲がった方向を答えてもらう。

 

運動麻痺をみる

運動麻痺の検査方法として、バレー徴候、ミンガッツィーニ徴候があります(図12表5)。

 

図12運動麻痺のみかた

図12運動麻痺のみかた

 

表5麻痺の種類

表5麻痺の種類

★1 脊髄障害
★2 末梢神経障害(ニューロパチー)

 

フキダシ:随意運動の伝達は錐体路で行われています。この経路が障害されると、片麻痺のほか、病的反射、深部腱反射の亢進(クローヌス)がみられます

 

図13随意運動の伝達経路(錐体路)

図13随意運動の伝達経路(錐体路)

 

図14病的反射の例

図14病的反射の例

 

図15深部腱反射

図15深部腱反射

 

図16クローヌス

図16クローヌス

 

運動麻痺の程度は徒手筋力検査MMT;manual muscle testing;表6図17)で評価します。

はじめに重力に逆らって動かせるかを判定し、筋力を0~5の6段階で評価します。

 

表6MMT

表6MMT

 

図17MMTの実践

図17MMTの実践
 

 

 

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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 脳神経』 編集/東海大学医学部付属八王子病院看護部/2020年4月刊行/ 照林社

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