経皮的中隔心筋焼灼術（PTSMA）
『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』より転載。
今回は経皮的中隔心筋焼灼術（PTSMA）について解説します。
古梶有紀
新東京病院看護部
〈目次〉
経皮的中隔心筋焼灼術（PTSMA）はどんな治療？
経皮的中隔心筋焼灼術（percutaneous transluminal septal myocardial ablation；PTSMA）は、閉塞性肥大型心筋症（HOCM）の治療法の1つです。
経皮的冠動脈インターベンション（PCI）の技術と器具を応用した治療法です。左室流出路狭窄の原因となる、肥厚した中隔心筋を灌流する冠動脈中隔枝に高濃度エタノールを緩徐に注入し、局所的に壊死させることで肥厚した心筋を菲薄化し、圧較差の軽減を図ります。
合併症には何がある？
心筋壊死による胸痛、完全房室ブロックおよび脚ブロック、致死性不整脈（心室頻拍、心室細動）の出現、左前下行枝へのエタノール流出による広範囲心筋梗塞に注意が必要です。
看護師は何に注意する？
心電図変化および胸痛出現の有無の観察
高濃度エタノールの注入により、局所的に心筋壊死となるため、心電図の変化や胸痛の出現、痛みの程度などの観察を行います。
心電図の変化や胸痛に対し、鎮痛薬の投与などの対応が必要となる場合があります。また、バイタルサインの観察も重要です。
致死性不整脈出現の有無の観察
致死性不整脈出現時は、医師の指示により、除細動が実施されます。意識消失の有無の確認や、意識回復後の患者さんへの対応が必要です。
文献
- 1） 山名比呂美：特集 60問トライアル ハートナース検定．ハートナーシング 2016：29（12）：40-41．
- 2）循環器用語ハンドブック：僧帽弁閉鎖不全［症］．（2020.01.10アクセス）
- 3）日本循環器学会：弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン（2007年改訂版）．（2019.09.01アクセス）
- 4）齋藤滋監修，高橋佐枝子，島袋朋子編：やさしくわかる心臓カテーテル 検査・治療・看護．照林社，東京，2014．
- 5）尾辻豊：心臓弁膜症・心内膜炎．医療情報科学研究所編，病気がみえる vol.2 循環器 第4版，メディックメディア，東京，2017：202-230．
- 6）長沼亨：弁膜症 実地医療で実践すべき診療のプロセス弁膜症 実地医家が知っておくべき現代の弁膜症 経カテーテル僧帽弁逆流症治療MitraClipとは．Medical Practice 2017；34（12）：1999-2005．
- 7）高谷陽一，赤木禎治：はやわかり！ Amplatzerの実際と必要な看護．ハートナーシング 2015；28（7）：710-712．
- 8）日本メドトロニック株式会社：ペースメーカって、何ですか？ 2013年12月改訂版．（2019.09.01アクセス）
- 9）吉川糧平，岡村篤徳，南口仁 他：第6章 心臓カテーテル治療．粟田政樹，田中一美編，はじめての心臓カテーテル看護 -カラービジュアルで見てわかる！．メディカ出版，大阪，2013：65-87．
［出典］ 『本当に大切なことが１冊でわかる 循環器 第2版』 編集／新東京病院看護部／2020年2月刊行／ 照林社
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