脳はどうやって守られているの?

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は「頭蓋骨と脳脊髄液」に関するQ&Aです。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

脳はどうやって守られているの?

の実質はとても柔らかい組織です。脳には重要な中枢や神経がぎっしりと詰まっていますが、破壊されると再生しませんので、頭蓋骨や髄膜(ずいまく)により保護されています。 

 

最も外側にあるのが頭蓋骨です。その下に脳・脊髄を完全に包み込む3層の髄膜(硬膜、くも膜、軟膜)があります(図1)。

 

図1脳の髄膜

脳の髄膜

 

頭蓋骨は出生時に産道を通過する必要があるため、生後1年ほどは不完全な骨の結合をしています。成長とともに骨の結合は完成し、外力から脳実質を守ります。

 

髄膜のうち、くも膜と軟膜の間(くも膜下腔)は、脳脊髄液(髄液)で満たされており、大脳はこの中に浮かんでいます。

 

脳脊髄液がクッションの役割を果たしており、外部から衝撃を受けてもショックが吸収され、脳が守られるシステムが作られているのです。脳脊髄液は脳室の毛細血管網である脈絡叢(みゃくらくそう)から浸出し、くも膜絨毛(じゅうもう)を通って硬膜静脈洞に浸入し、血液に戻されます。

 

脳脊髄液にはブドウ糖タンパク質ナトリウム、クロールなどの成分が含まれ、脳と脊髄に栄養を供給し、二酸化炭素や乳酸などの代謝産物を運搬する役割があります。

 

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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

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