赤血球製剤は室温に戻さずに、できるだけ早く使用するようになったのはなぜ?

『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は赤血球製剤に関するQ&Aです。

 

江口正信
公立福生病院診療部部長

 

赤血球製剤は室温に戻さずに、できるだけ早く使用するようになったのはなぜ?

 

赤血球製剤の温めすぎによって溶血などの変化が起こるためです。

 

〈目次〉

赤血球製剤の使用

前述(成分輸血が行われているのはなぜ?)のように赤血球濃厚液などの赤血球製剤は2~6℃での保存となっており、以前は低体温症の予防目的で、室温に戻して使用することが推奨されていましたが、温めすぎや室温放置などは溶血を起こす可能性があることや、接続部分の細菌汚染の危険が増すことなどから、現在では急速輸血時など以下の特殊な状況を除いて、出庫後は室温に戻さず使用されることになっています。

 

加温が必要となる場合

  1. 100mL/分を超える急速輸血 
  2. 30分以上にわたる50mL/分を超える成人の急速輸血 
  3. 新生児の交換輸血 
  4. 15mL/kg/時を超える小児の輸血 
  5. 重症寒冷自己免疫性溶血性貧血患者への輸血

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版

SNSシェア

看護知識トップへ