輸血開始直後に患者の状態の観察と速度調節を行うのはなぜ?

『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は輸血の副作用に関するQ&Aです。

 

江口正信
公立福生病院診療部部長

 

輸血開始直後に患者の状態の観察と速度調節を行うのはなぜ?

 

輸血の副作用のうち、生命にかかわる反応が現れるのは、輸血開始後5分以内に現れるためです。

 

輸血開始後の観察と速度調節

輸血後短時間で現れる副作用は、不適合輸血による血管内の溶血反応として血管に沿った熱感や顔面の紅潮、腰背部痛、腹痛、頚静脈の怒張頻脈、胸部の絞扼感、呼吸促拍などがみられます。したがって、開始直後から5分間は、バイタルサインの変化や副作用の出現、刺入部位、滴下状況などを観察する必要があります。

 

さらに15分程度経過した後、改めて患者さんの状態を観察します。輸血後移植片対宿主病(PT-GVHD)を発症することもあるため、適宜観察する必要があります。

 

輸血を開始するときは、輸血による事故(副作用などの出現)を考慮し、最初の10~15分は1mL/分程度の速度でゆっくりと輸血を行います。副作用がないことを確認したら、5mL/分程度の速度で輸血を行います。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版

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