側臥位では上側の腋窩温のほうが高いのはなぜ?

 

『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は側臥位の腋窩温に関するQ&Aです。

 

江口正信
公立福生病院診療部部長

 

側臥位では上側の腋窩温のほうが高いのはなぜ?

 

側臥位をとると圧反射が起こり、身体の上方の働きが促進されたり、腋窩動脈の直径が変わるためです。

 

〈目次〉

 

圧反射とは

圧反射とは、身体の一部が圧迫されると(おそらく皮内に圧迫を感受する圧感受器が存在し)、圧迫という刺激の信号が脊髄内の側索を上行して中枢に達し、中枢から興奮というかたちで末梢の器官へ及ぶ、一種の反射現象と考えられています。

 

側臥位時の身体の動きの変化は

側臥位をとると前述の圧反射によって、身体の上位の非圧迫側と下位の圧迫側とでは機能がまったく変わってしまいます。

 

側臥位をとったときの身体の動きの変化は表1のようになります。

 

表1圧反射による身体の変化

 

側臥位をとると身体の上側の働きは促進され、下側の働きが仰制されていることがわかると思います。

 

側臥位時の左右の腋窩温の違いとは

腋窩温とは腋の下の皮膚温ですが、皮膚温は血液の温度によって左右されます。

 

原則として左右の腋窩を流れる血液の温度はほぼ同じはずですが、側臥位をとることによって左右の局所の新陳代謝に差を生じ、また、左右腋窩部の血管の直径が反射的に収縮したり、拡張したりして腋窩温に相違が生じるものと思われます。

 

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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版

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