視野検査|眼科の検査

『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、視野検査について解説します。

 

高木 康
昭和大学医学部教授

 

〈目次〉

視野検査とはどんな検査か

視野とは一点を注視させて、見える範囲のことであり、通常被検者の側から見た形で表す。中心30°の範囲は特に重要である。

 

視野は網膜から視中枢に至る視路の機能の投影であり、視路のどこかに障害があれば、その障害部位に応じて特徴的な視野の異常が認められる。

 

図1視路障害と視野

視路障害と視野

 

表1中心視野で異常が認められる疾患

中心視野で異常が認められる疾患

 

視野検査の目的

視野の感度の分布を測定して、視野の広さと感度の高低を調べる。

 

視野検査の実際

対座法

検者と被検者が向かい合って座り、検者の一点を被検者に注視させて、検者の指の動きが確認できた点でその範囲を確認する。

 

アムスラーチャート

桝目のチャートを見させて、その範囲がすべて見えるか、線に歪みがないかをみる。20°の範囲まで分かる。

 

動的視野

中心を固視させ、視標を動かして確認できた点を結んで得られる。

 

静的視野

中心を固視させ、視標の明るさを変え、得られた点をdB(明るさの単位)で表す。通常30°の範囲を検索する。

 

視野検査時の看護〈患者への説明〉

  1. 多少時間の要する検査であることを説明し、排泄等は済ませておくように説明する。
  2. 気分不快が生じた場合にはすぐに申し出るよう説明をする。
  3. 痛みは伴わない検査であることを説明する。

 

視野検査の正常視野と視野の障害

正常視野

上方60°、下方70°、側60°、側90°の範囲でマリオット盲点を含む(マリオット盲点=固視点の耳側15°に5°の範囲で存在する生理的な盲点。視神経乳頭に一致する)。

 

図2正常眼で見える範囲

正常眼で見える範囲

 

狭窄について

最大の刺激による視野が狭くなるものであり、以下のものがある。

 

  1. 求心性狭窄:視野全体が狭いもので、網膜色素変性症や緑内障の末期にみられる。また、小児では正常眼でも求心性狭窄状の視野が得られることがあり、判定には注意が必要である。
  2. 不規則狭窄:種々の眼底疾患や視路の変化でみられる。
  3. 半盲:注視点を通る垂直点を境として、両眼の視野の左右のいずれかが見えなくなるもの。
    • 同名(側)半盲:両眼の視野の左右のいずれかがみえなくなる(狭窄する)。
    • 異名半盲:視野の両鼻側または両耳側が狭窄するもの。
    • 四半盲:両眼の視野の同側の1/4が狭窄するもの。
    • 水平半盲:視野の上半分または下半分が狭窄するもの。虚血性視神経症での特徴的所見。

 

沈下

狭窄とは異なり、最大刺激による視野は正常であるが、内部の感度の低下をさす。

 

暗点

視野の中に孤立的に点状、斑点状に生じた欠損で、部位・程度・自覚するか否かにより種々の名称がある。

 

  1. 部位による分類:中心暗点、傍中心暗点、周辺暗点、輪状暗点
  2. 程度による分類:絶対暗点、比較暗点
  3. 自覚するか否かによる分類:実性暗点、虚性暗点(マリオット盲点は虚性暗点)

 

機能的視野障害

  1. 閃輝暗点:視野の一部に閃光状のものが走り、その部分では物が見えないもの。片頭痛でみられる。
  2. 管状視野:どの距離で測定しても同じ広さの視野を示す。筒を通して見た状態。
  3. ラセン状視野:測定経線を変えていくにつれて視野が狭くなり、次第に固視点に近づいていくもの。

※上記は、ヒステリーでみられる特徴的所見といわれている。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版

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