瞳孔検査|眼科の検査

『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、瞳孔検査について解説します。

 

高木 康
昭和大学医学部教授

 

〈目次〉

瞳孔検査とはどんな検査か

瞳孔は、①周囲の明るさに応じてその直径を変え眼内に入る光の量を調節し、②近方に視線を合わせると縮小し焦点深度を深くし、像のピント合わせに役立っている。

 

瞳孔の大きさとその運動は、①瞳孔括約筋と②瞳孔散大筋のバランスで決まる。これらの調節機能を測定する検査である。

 

瞳孔検査の目的

  1. 瞳孔径の測定。
  2. 対光反応の検査。
  3. 瞳孔の異常、障害の部位を知る。

表1瞳孔異常の鑑別診断(Glaser)

瞳孔異常の鑑別診断(Glaser)

 

瞳孔検査の実際

肉眼的検査

  • Haab(ハーブ)瞳孔計を用いる。1.5〜8.5mmまでの半円が順に印刷されている。これと被検者の瞳孔径と比較する。
  • 瞳孔径は明所と暗所の両方で測定する。
  • 近見反応は遠方視で瞳孔径を観察した後に近くに持ってきた指先などを注視させて、縮瞳の有無を観察する。

 

対光反応

  1. 直接反応:一眼に光刺激を与え、その眼の縮瞳の有無をみる。
  2. 間接反応:一眼に光刺激を与え、他眼の縮瞳の有無をみる。
  3. 交互対光反応試験:正常眼では一眼を光刺激し、素早く他眼に光刺激を移しても両眼の瞳孔径は等しいが、一眼の求心路の障害がある場合には、その眼に光刺激を移動すると間接反応で縮瞳した状態から逆に軽度の散瞳状態に陥る。この現象をMarcus Gunn(マーカス・ガン)瞳孔という。

図1瞳孔不同の鑑別診断

瞳孔不同の鑑別診断

 

薬理学的検査

瞳孔不同や反応の異常のある場合には、薬剤を用いて瞳孔径の変化を観察することにより障害の部位を知る。

 

表2瞳孔運動括約筋と散大筋に及ぼす各種薬剤の作用機序

瞳孔運動括約筋と散大筋に及ぼす各種薬剤の
作用機序

 

瞳孔検査時の看護

  1. コンタクトレンズ等の着用の有無を確認する。
  2. 痛みの伴わない検査であることを説明する。
  3. 必要に応じて薬剤を使用する場合があることを説明する。
  4. 気分不快が生じた場合にはすぐに申し出るよう説明をする。また検査後、気分不快がないか確認する。

 

瞳孔検査に関する患者との問答例

これから瞳孔(ひとみ)の検査をします。

 

どのような検査ですか。

 

黒目の大きさや、光に対する反応を調べる検査です。

 

痛い検査ですか。

 

痛みは伴いません。ただし、光を当てますので、少し眩しかったりします。もし、ご気分の悪いことがありましたら、すぐにお知らせください。

 

はい。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版

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