上部消化管|からだずかん【28】

『ゆるっとポップな解剖生理学 からだずかん』(KADOKAWA)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は3章『消化器系』より、「上部消化管」について解説します。

 

著:角野ふち
 

上部消化管<Upper gastrointestinal tract>

上部消化管(じょうぶしょうかかん)とは、口腔(こうくう)から十二指腸(じゅうにしちょう)まで(口腔、咽頭(いんとう)、食道、十二指腸)の部分をさします。

いわゆる胃カメラの範囲です。

 

口腔<Oral cavity>

「口腔」の構造を詳しく説明するイラスト。大きく開いた口の正面図に、各部位の名称が示されています。上から順に、上唇、上唇小帯、硬口蓋、軟口蓋、口蓋垂、咽頭、口蓋扁桃、舌(ぜつ)、歯、下唇小帯、下唇の11項目が記載されています。また、「唾液腺をもち、咀嚼を担う消化の入り口です」という口腔の機能に関する説明文が添えられています。

 

唾液腺<Salivary glands>

口腔に位置する消火腺です。

 

唾液腺の構造と唾液の役割を説明するイラスト。主要な唾液腺として耳下腺(および耳下腺管)、顎下腺(および顎下腺管)、舌下腺が示され、これらが左右一対で存在することが解説されています。唾液には「アミラーゼ」という消化酵素や水分、粘液が含まれ、食物を柔らかくするほか洗浄効果もあると記されています。また、消化酵素をハサミに例え、糖質の分解にはたらく様子をイメージ図で表現し、咀嚼された食物が食道を経て胃へ送られるまでの流れが描かれています。

 

咽頭<Pharynx>

口腔の後ろにつづいているのが咽頭です。特徴は、鼻腔(びくう)から喉頭(こうとう)へとつづく呼吸器系の通路と交差していること。

 

口腔で咀嚼(そしゃく)された食物を飲み込むときに喉頭蓋(こうとうがい)が下がることで誤嚥(ごえん)を防ぎます。

 

咽頭と食道の構造・特徴を説明するイラスト図解。咽頭は上から鼻部、口部、喉頭部の3つに分類され、食物が気道に入らないよう喉頭蓋が蓋をする仕組みが描かれています。食道には生理的狭窄部として「(1)起始部」「(2)気管分岐部」「(3)横隔膜貫通部」の3箇所があることが示されています。また、食道の断面は「ひしゃげた星形」であること、上部3分の1は骨格筋、中部3分の1は混合性、下部3分の1は平滑筋で構成されているという組織学的な特徴や、蠕動(ぜんどう)運動によって食物を運ぶ様子が解説されています。

 

食道<Esophagus>

消化管で一番狭い管です。

気管とくっついて、その後方をまっすぐ下行して胃へとつながっています。

 

食道の長さと位置関係を示すイラスト図解。食道の長さが「25cm(大体30cm弱)」であることが示されています。

 

胃<Stomach>

胃は、食道からつづき、左上腹部に位置する袋のような形状の臓器です。

 

食道との境目を噴門(ふんもん)といい、十二指腸(じゅうにしちょう)との境目を幽門(ゆうもん)といいます。

 

左右に弯曲(小彎(しょうわん)と大彎(だいわん))があり、胃に届く血管の通路にもなっています。

 

胃の構造と筋肉の層を詳しく説明するイラスト。食道から続く「噴門(ふんもん)」、胃の上部である「胃底」、出口にあたる「幽門(ゆうもん)」と十二指腸へのつながりが示されています。また、胃の内側のカーブである「小弯(しょうわん)」と外側の「大弯(だいわん)」、その境目にある「角切痕(かくせっこん)」の名称も記載されています。胃壁の構造として、平滑筋の三層(外層の縦走筋、中層の輪走筋、内層の斜走筋)がかなりぶ厚いことがポイントとして挙げられ、「縮んだり緩めたりゆっくり消化していく」という機能が解説されています。

 

胃の運動

胃の静止時と蠕動時の動きの違いを説明するイラスト。静止時の図では、噴門、胃底(ここはあまり動かない)、胃体、前庭、幽門の各部位が示されています。蠕動時の図では、食塊が入ると1分間に3回ほど動くこと、幽門が「とじる」こと、胃体から前庭にかけて収縮が起こり「まぜてから十二指腸へおくる」様子が描かれています。

 

十二指腸<Duodenum>

十二指腸は、長さ 25cm ほどの鉤(かぎ)状(C の字)に曲がった管の部分をさします。

 

小腸(しょうちょう)は十二指腸、空腸(くうちょう)、回腸(かいちょう)に分かれます。

 

十二指腸のすぐそばには胆囊(たんのう)が位置しており、C の字のくぼみには膵臓(すいぞう)の頭がおさまるように位置しています。

 

十二指腸の構造と周辺臓器とのつながりを説明するイラスト図解。十二指腸は胃の幽門から始まり、球部(上部)、下行部、水平部、上行部を経て十二指腸空腸曲にいたる「Cの字」のカーブを描く構造が示されています。下行部には「乳頭部大切!」というポイントと共に、胆のう・膵臓とつながる管の出口である「ファーター乳頭(大十二指腸乳頭)」と「小十二指腸乳頭」が描かれています。周辺には胆汁をためる胆嚢(たんのう)と膵臓(すいぞう)が配置され、消化液のサポートを受けて食物が空腸へ送られる流れが解説されています。

 

 

[出典] 『ゆるっとポップな解剖生理学 からだずかん』 (著者)角野ふち (監修)嵯峨 堅、能間 国光/2024年5月刊行/株式会社KADOKAWA

 

著者プロフィール
角野ふちプロフィール

角野ふちXInstagram

看護師、保健師、イラストレーター。

 

人のからだをかわいくポップなイラストで解説するコンテンツ『からだずかん』を、SNSやWebサイトで発信。

イラストを手がけた書籍に『薬メモ!』(大田和季著・じほう)、『みんなの救命救急科』(三谷雄己著・中外医学社)など。

日本メディカルイラストレーション学会会員。

 

webサイト: からだずかん
ショップ: ぞーきーず

 

 

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