原因不明の発熱患者が一般病棟入院後に 血圧低下、ショックとなった!
『看護のピンチ!』(照林社)より転載。
今回は、原因不明の発熱のある患者さんに抗菌薬投与せず、経過観察をしていたところ、ショック状態になった場合について解説します。
福岡市民病院 看護部
集中ケア認定看護師

ピンチを切り抜ける鉄則
敗血症の重篤性を理解し、早期発見・早期治療の重要性を再認識しましょう。
早期発見・早期治療につなげていくためには、使用可能なツールを活用し、客観的に評価を行うことが大切です。
- 発熱患者さんで感染症が背景にあり、感染症が疑われる場合は、敗血症となるリスクがあります。
敗血症という疾患の重篤性を理解し、早期発見・早期介入が患者さんの転帰を改善する鍵となることを理解しましょう。
起こった状況
症例
70歳代の患者Aさん。3日前から高体温あり、14時に体動が困難になり、救急外来に救急搬送されました。
搬送時は体温40.0度、脈拍数110回/分、呼吸回数23回/分、血圧99/45mmHg、意識は清明でした。
画像検査、採血、培養検査が提出され、炎症反応の上昇がありました。
感染源は明らかにならず、何らかの感染症の疑いで抗菌薬投与なしで一般病棟入院となりました。
入院後状態は変わりなかったのですが、準夜帯になって担当看護師が検温に行くと、意識混濁、蒼白あり、血圧71/45mmHgとショック症状を呈していました。
どうしてそうなった?
敗血症の状態で入院し、入院時はショックの手前の状態でした。
抗菌薬を投与されず、経過観察をしていたところ、ショック状態になりました。
酸素需給バランスが破綻した状態であり、早期に輸液や血管作動薬の使用、抗菌薬投与を行わないと生命が危険な状態になります。
どう切り抜ける?
1 敗血症である状態を早期に発見する
一般病棟で敗血症を早期発見するツールとしてquick SOFAや早期警告スコア(national early warningscore:NEWS)などのいくつかの早期警告スコアが提唱されています。
quick SOFA(表1)は感染が背景にある患者さんで、①意識の変調(GCS14以下)、②呼吸回数22回/分以上、③収縮期血圧100mmHg以下の項目の2つ以上を満たせば敗血症を疑うというものです。
表1quick SOFA

簡便なため使用しやすいのですが、一次感染患者の院内死亡の予測ではNEWSのほうが優れているという報告もあります。
NEWSは表2に示すようなツールで、7項目で点数をつけ、Max21点で評価します。
表2早期警告スコアnational early warning score(NEWS)

National Early Warning Score (NEWS). [cited 2016 Sept 16] Available from: https://www.rcplondon.ac.uk/projects/outputs/national-early-warning-score-news(2024/5/20アクセス)より引用
点数に応じて表3に示す対応を行います。
表3NEWSのスコアリング後の対応

5点以上であれば、急変チームの要請や管理を行う病床の検討が必要となります。
7点以上であれば、すぐに急変チームの要請と集中治療室などでの管理を検討する必要があります。
2 早期に発見したら診断・治療につなげていく
こうした早期発見ツールで発見しても、治療につなげなければ意味がありません。
Aさんは搬送時の状況でqSOFAが陽性だったので「敗血症」と考え対応する必要がありました。
また、NEWSで7点だったので、院内にRapid Response System(RRS)がある病院ではRRSを活用するなど、急変を避けるために早めに診断・治療を行っていく必要があります。
RRSとは、入院患者の「予期せぬ死亡・心停止」を防ぐために、急変の予兆の段階で専門のチームを起動し、適切な診断・治療・管理場所の設定・治療方針の決定などを行うシステムです。
RRSがない病院であってもそれ相当の対応をしないといけません。
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1) National Early Warning Score (NEWS). [cited 2016 Sept 16] Available from: https://www.rcplondon.ac.uk/projects/outputs/national-early-warning-score-news(2023/5/20アクセス)
1) 日本版敗血症診療ガイドライン2020特別委員会:日本敗血症診療ガイドライン2020.日本集中治療医学会雑誌 2021;28(Suppl).
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のピンチ』 編集/道又元裕/2024年4月刊行/ 照林社



