2018/01/03 のクイズ

以下の中で、入院後の食事開始時のケアで最も正しいものはどれでしょうか?
  1. 1. 80歳女性。右大腿骨骨折にて入院した。意識レベル清明、自宅でもむせなく自己摂取できていた。安静がヘッドアップ45度までの制限があるため、指示内の30度ヘッドアップで食事をセッテイングした。
  2. 2. 70歳女性。筋萎縮性側索硬化症の既往があり、誤嚥性肺炎の疑いで入院した。意識レベル清明、自宅ではむせなく自己摂取できていた。肺炎が完治し、水飲みテストでむせがなかったため、ペースト食から自己摂取を開始した。
  3. 3. 65歳女性。高血圧の既往があり、左皮質下出血にて緊急手術を行った。意識レベルは入院時JCSⅡ-30であったが、現在はJCSI-1まで改善を認めた。右上下肢MMT3、安静度は端座位まで可能となっている。水飲みテストでむせがなかったため、座位でペースト食から自己摂取を開始した。
  4. 4. 80歳女性。認知症があり、外傷性くも膜下出血にて入院した。現在意識レベルJCSI-1、入院前は自宅でも普通食をむせなく自己摂取できていたが、入院時には義歯は所持していなかった。入院後、全粥ペースト食を準備し自己摂取を開始した。

挑戦者3797人 正解率17%

1. 80歳女性。右大腿骨骨折にて入院した。意識レベル清明、自宅でもむせなく自己摂取できていた。安静がヘッドアップ45度までの制限があるため、指示内の30度ヘッドアップで食事をセッテイングした。
不正解

座位に比べると、30度ヘッドアップは身体を倒すことになるため、気道が上、食道が下になることから、重力により気管に食事が入りにくくなる利点があります。しかし、この患者さんの場合には嚥下障害はなく、自己摂取する際に視線が天井を向きやすく、30度では不十分です。可能な範囲でヘッドアップとオーバーテーブルの高さを調整し、頚部を前屈させ視線が下を向いて食事が見えるよう準備します。患者さんは45度までの指示が出ているので、痛みがないか相談しながら体位を調整しましょう。

2. 70歳女性。筋萎縮性側索硬化症の既往があり、誤嚥性肺炎の疑いで入院した。意識レベル清明、自宅ではむせなく自己摂取できていた。肺炎が完治し、水飲みテストでむせがなかったため、ペースト食から自己摂取を開始した。
不正解

この患者さんは意識レベル清明で自宅ではむせはないとのことですが、誤嚥性肺炎を起こしていることから気道の感覚が低下し、不顕性誤嚥(サイレントアスピレーション)を起こしていたことが推察されます。そのため、水飲みテストではなく、嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査を行い、咽頭や喉頭の知覚や運動を評価し、誤嚥発生のメカニズムを明らかにした上で、安全に食事が摂取できるように、食物の形態やとろみの程度、体位や食事介助の条件を確認します。

3. 65歳女性。高血圧の既往があり、左皮質下出血にて緊急手術を行った。意識レベルは入院時JCSⅡ-30であったが、現在はJCSI-1まで改善を認めた。右上下肢MMT3、安静度は端座位まで可能となっている。水飲みテストでむせがなかったため、座位でペースト食から自己摂取を開始した。
不正解

この患者さんは意識レベルが改善し、水飲みテストでむせはなかったのですが、脳血管障害が起こると上下肢の麻痺だけではなく、嚥下機能の障害も起こります。座位がとれるのですが、患側に傾かず安定するようクッションを使い保持します。座位での嚥下は咽頭への送り込みが早いため、誤嚥のリスクが高くなり、注意が必要です。また、右麻痺を認めており、手先を上手く動かす機能などが低下していると、一口量が多くなりやすく誤嚥を誘発します。まずは看護師が食事介助を行い、嚥下機能と麻痺の程度を評価しながら、時期や患者さんに合った援助方法を選択します。

4. 80歳女性。認知症があり、外傷性くも膜下出血にて入院した。現在意識レベルJCSI-1、入院前は自宅でも普通食をむせなく自己摂取できていたが、入院時には義歯は所持していなかった。入院後、全粥ペースト食を準備し自己摂取を開始した。
正解

この患者さんは、外傷性くも膜下出血での入院とのことなので、緊急入院したと考えられます。このような緊急入院の場合には義歯を所持していないなど、自宅との環境が変わることがあります。無歯顎で普通食を摂取すると、咀しゃく力が低下し、誤嚥だけでなく窒息のリスクも生じます。患者さんや家族へ義歯を準備するよう説明し、それまでは咀嚼が必要でない全粥ペースト食などで対応するほうが安全です。

引用参考文献など

1)小野寺智子.坂本すがほか監.嚥下アセスメント・食事介助.完全版ビジュアル臨床看護技術ガイド.照林社,2015,560-576.
2)柴田佳純.食事の援助.BRAIN NURSING.24(12),2008,26-31.

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  2. 水分摂取を控える
  3. 足首や足の指をこまめに動かす
  4. 座るときはあぐらをかく

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