2020/02/13 のクイズ

◆循環器の問題◆50歳男性Aさん。徐脈性心房細動で抗血小板薬のシロスタゾール（プレタール^®）を内服しています。めまいや息切れの症状が目立つようになり、ペースメーカー植込み術を受けることになりました。以下のうち、Aさんへの対応として間違っているものはどれでしょうか？

1. ペースメーカー植込み術前に抗血小板薬の休薬を医師に確認する。
2. 利き手と同じ側の鎖骨下を切開してペースメーカーを植え込むため、術前に利き手を再度確認する。
3. 植込み後の安静を維持するために術後当日～術後2日目までは三角巾などで手術側の上肢を固定する。
4. 術後ペースメーカー症候群が疑われる場合、ペースメーカーレートを下げてみる。

挑戦者7955人　正解率49%

1.　ペースメーカー植込み術前に抗血小板薬の休薬を医師に確認する。: 不正解
ペースメーカー植込み術は、通常は皮下に局所麻酔をし、植込み部の筋膜上までを切開し、ペースメーカー本体が収まる程度のポケットを作成します。この過程での出血が多くなったり、血腫を生じたりしないために術前には抗血小板薬を休薬します。なお、シロスタゾールは、休薬期間は2～4日を必要とします。医師の指示を確認しましょう。
2.　利き手と同じ側の鎖骨下を切開してペースメーカーを植え込むため、術前に利き手を再度確認する。: 正解
ペースメーカーは、腕を動かしやすくするために、利き手とは反対側の鎖骨下を切開して植え込みます。よって、この選択肢は誤りです。
3.　植込み後の安静を維持するために術後当日～術後2日目までは三角巾などで手術側の上肢を固定する。: 不正解
ペースメーカーリードの位置異常や抜去、創離開の予防のため、ペースメーカー植込み術後2日目までは手術側上肢を胸帯や三角巾などで固定する必要があります。
4.　術後ペースメーカー症候群が疑われる場合、ペースメーカーレートを下げてみる。: 不正解
術後ペースメーカー症候群が疑われる場合は、初期対応として、ペースメーカーからの刺激を軽減するためにペースメーカーレートを下げてみます。
術後ペースメーカー症候群は、本来の自然に起こる心房の興奮・収縮と、ペースメーカーによって起こる心室の興奮・収縮のタイミングが合わないことにより生じるものです。めまい、動悸、呼吸促迫、胸痛、胸内不快、冷感、頭重感などを来します。

引用参考文献など

1）飯野与志美．四津良平監．ペースメーカーの管理．ナースのための補助循環マニュアル．ハートナーシング2002年秋季増刊．2002，197-210．
2）横山真澄ほか．四津良平監．ペースメーカー装着中の患者の看護と看護指導．ナースのための補助循環マニュアル．ハートナーシング2002年秋季増刊．2002，216-225．
3）宮邊結香ほか．山田聡子監．ペースメーカー植込み術を受ける患者さんのケア．循環器ケア習得サポートプログラム．ハートナーシング2013年春季増刊．2013．181-190．