状況設定問題（189問）　産褥期の看護

第114回午前113問

次の文を読み問題2に答えよ。
Aさん（36歳、経産婦）は、夫（35歳）、男児（3歳）と3人で暮らしている。妊娠、分娩経過は順調で、妊娠39週5日で3,200gの女児を経腟分娩で出産した。1分後のApgar〈アプガー〉スコア9点、5分後のApgar〈アプガー〉スコア10点であった。

産褥1日、Aさんの子宮底は臍下2横指、硬度良好、悪露は赤色であった。「1人目の出産後よりもお腹が痛くて眠れませんでした」と看護師に話す。

問題2
産褥3日、乳房は緊満、乳管開通は左右とも5、6本、射乳がある。1日8回授乳をしている。児の体重は3,080gで前日よりも20g減少している。「母乳で育てたいと思っていたけど、乳房が張って授乳がうまくできないです」と話す。

このときのAさんへの説明で適切なのはどれか。

1.　「水分を多めに摂りましょう」
2.　「時間を決めて授乳をしましょう」
3.　「乳房の張りは2週間程度続きます」
4.　「授乳の前に乳輪部のマッサージをしましょう」

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解答・解説

1.　「水分を多めに摂りましょう」: 生理的緊満は、乳房内の血流の増加と産生された乳汁の増加による。母乳は血液からつくられるため、水分摂取を増やしたり、血液循環をよくすることで乳汁産生を促すが、Aさんは現時点で乳汁産生は十分であるため水分を多めに摂取する必要はない。
2.　「時間を決めて授乳をしましょう」: 児の体重減少率は正常範囲内であるが、昨日よりも減少していることや病的緊満を予防するためにも、時間授乳ではなく、児が泣いたときに欲しいだけ与える自律授乳をすすめる。
3.　「乳房の張りは2週間程度続きます」: 生理的緊満は産褥2～4日でみられるため、産褥2週間程度続く場合は正常から逸脱していると考えられる。
4.　「授乳の前に乳輪部のマッサージをしましょう」: 乳房緊満がある場合は、授乳前に児が吸い付きやすいように乳輪部を圧して軽く母乳をしぼり、乳輪を柔らかくする。

乳房緊満は乳汁生成Ⅰ期からⅡ期に移行する時期に始まり、児の効果的なラッチオンで解消できる生理的緊満（産褥2～4日）から、乳汁が排泄できず過度の乳房緊満となる病的緊満（産褥3～6日）まである。Aさんは産褥3日目で乳房緊満があるが、乳管開通は左右とも5、6本あり射乳もみられ問題はなく、児の体重減少率も3.8％と正常内であることから、生理的緊満と考えられる。