おうちで死にたい~自然で穏やかな最後の日々~【7-1】

ママナースもも子』でお馴染みの広田奈都美さんが描く、訪問看護師マンガ。

単行本5巻の発売を記念して、月刊誌『フォアミセス』より特別転載でお届けします!

 

今回は訪問ステーション副所長、持田純子(もちだじゅんこ)さんのお話です。 ―看護師の私は、亡くなっていく方たちが、皆 管でつながれてベッドにずっといたままモニターの音に囲まれ、おいしいものも食べられずに…最後まで検査や手術に耐えて、 ある人はガリガリに…ある人はぶよぶよにむくんだまま亡くなるのを見ていて…―

 

―私の母には 穏やかに最期を迎えてもらいたいと思っていた。穏やかに…というのはつまり、自然な死のことだ。母もそういった死を望んでいた― 持田さんは施設で暮らすお母さんを訪問しに来ました。 「お母さん来たよ」 「あら どなた?」

 

持田さんのお母さんは娘の持田さんがわからない様子ですが、持田さんは静かに話し続けます。「今日はね、仕事の途中で寄らせてもらったの。サインしなきゃならない書類があるからって」「あらぁお仕事?何の?」 ―母は認知症で、私のことも誰だかわからない。鍋をこがしてボヤを起こしたのを機に 施設に入った。父と私はこうして毎日のように訪れる― 主治医の先生によると、持田さんのお母さんは認知が進んで最近歩けなくなってきているとのこと。「それで原因がわからないので検査しようと思ってて…」

 

持田さんのお父さんは少し渋い表情で尋ねます。「検査ねぇ…でも検査して 何かあったら…手術するんでしょう?」そして、 「もちろんです。適応ならします。」という主治医の返答に少し考えると、 「ならいいです」と検査を断りました。主治医の先生は驚いた様子ですが、 「手術は辛いだろうし、良くなったところで知れてる。私は今のあのままでいいです。娘も看護師なので…。色々話は聞いていますし…」 隣で一緒に話を聞いていた持田さんは、(お父さん…そんなにきっぱり決断できるんだ。ちょっとかっこいいぞ…)とお父さんを見直していました。

 

時は変わって、持田さんの職場の訪問看護ステーションでは持田さんを囲んで、新人ナースの木野花と、その先輩の馬渕理恵が持田さんのお母さんについて話をしています。 花ちゃんは持田さんのお母さんが施設で暮らしていることは知らなかった様子。 「御自宅で持田さんが介護しようとは思わなかったんですか?」 と持田さんに質問すると、「思わない。全く」という答えが。 「お母さんと仲悪いとか?」「全然。むしろ良かったわよ」 (持田さんならお母さんのお世話、完璧にできると思うのに…) と持田さんが自宅で介護をしないのを、花ちゃんは不思議に思っていると、持田さんはこう尋ねました。「花ちゃんは、私が看護師だからこそ介護ができるって思ってない?」

 

持田さんはこう続けます。「看護師だって、他の人と変わらないのよ。自宅看護ばかりがベストとは限らないのよ。むしろ逆だったかもね、私は。」 ―持田さんは4年前、実家でのことを思い出します…― 「お母さん…これ、味が変…」「あらっ…おかしいわねぇ…」「何か甘い…砂糖入れたんじゃない?」「あら ほんと……変ねぇ」(1人暮らしをしていた私が、時々実家に帰る度にこうしたことが増えた)「一度診てもらったほうがいいよ」持田さんはリビングでくつろぐお父さんに相談します。「病院でCTもMRIも撮ったけど原因がわからないんだよ」「アルツハイマーでもレビーでもないの?何で?他の病院行ったの?」 「行ったよ精神科も」

 

いくつか病院に連れて行ったようですが、お母さんの様子がおかしな原因がわからないようです。(その他に考えられるのは脳血管性のもの? ストレス?前頭側頭型認知症もある)いくつかの可能性を考えましたが、結局持田さんは今度は自分が一緒に行くことにしました。しかし病院ではやはりこれといった原因はわからず、お母さんはうんざりした様子です。 「また検査?私もう入院は嫌なのよ」(そりゃそうだな…。ずっとこんな生活 くり返してて…原因がわからないなら嫌になる…。67歳だけど生活はできているし、好きなことさせるのもいいのかも…)持田さんはこう考えてお父さんにも尋ねると、 「俺もそう思う…。認知症といってもまだまだ全然一緒に暮らしていけるし、何とかなるだろう…。」と返ってきました。

 

持田さんはお父さんとの会話の中で、今まで出会ってきた自宅で介護をされているご家族のことを思い出します。(介護はいいことばかりではない。当事者も家族も大変で時には怒鳴ったり、たたいたり、でもその家族も本来は善人なのだ…。)「お前から色々大変な話聞いてるから俺はもう介護が怖くて―」不安を漏らすお父さんに、いいこともあるわよ、と持田さんはフォローをします。 「家で介護すると痛みも緩和されて寿命も延びると言われてるのよー。好きなもの食べられて家族も側にいるし。大変ならヘルパーさんに来てもらったりすればいいし」 「100回聞いたかな…」少し引き気味に答えるお父さんの返事を受けて、持田さんはお母さんはどう思っているのか、まだわかっているうちに聞くことにしました。 「えっ?私そんなによくないの?」 自分のこれからの生活について尋ねられた持田さんのお母さんは、思っていたよりも自分良くない状態なのかとショックを受けるのでした。

【2】に続く

 

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【著者プロフィール】

広田奈都美(ひろた・なつみ) HP

漫画家・看護師。某地方総合病院にて勤務後、漫画家としてデビュー。著書は「僕達のアンナ」(集英社)、「お兄ちゃんがコンプレックス」、「ママの味・芝田里枝の魔法のおかわりレシピ」(秋田書店)他。

 

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