おうちで死にたい~自然で穏やかな最後の日々~【4-1】

ママナースもも子』でお馴染みの広田奈都美さんが描く、訪問看護師マンガ。

単行本2巻の発売を記念して、月刊誌『フォアミセス』より特別転載でお届けします!

 

タイトル:おうちで死にたい~自然で穏やかな最後の日々~

 

 

彼女は訪問看護師の花です。皆さんは訪問看護ってご存知ですか?看護師が患者さんのご自宅に直接伺ってケアをさせていただくことです。でも新人ナースは訪問看護にはまず志望せず、普通は病院やまれにクリニック・診療所を志望します。でもなぜ花は訪問看護師になりたいと思ったか。今回はそのきっかけとなった患者さんのお話です。それは花がまだ看護学生だった頃のことでした。

 

2年前の実習初日、病棟で起きた急変の対応を目の当たりにして、花を含めた学生は、その大変さに驚きました。その後、すぐ亡くなったと思われる患者さんの家族が呼ばれ、10分ほど説明を受けた後、看護師さんに「さ、御家族の方はお荷物を持って控え室に行ってください。」と促されるまま、席を立つ姿を見て、花は『えっ?それだけなの?』と戸惑いました。

 

『私が思っている最後の時間と違う…。』とその状況を見て思いました。実習担当の先生に相談すると、「それは在宅とかホスピスの話ね。ゆっくり看取りできる場合もあるけど、少ないわね。手術する病棟のほとんどは、ベッドも空けなきゃならないし、こんな感じよ。」と説明されました。続けて、「さて、花ちゃんの受け持ち患者さんはこの方ね。」とカルテを出しました。川田花菜さん、同じ名前の方が担当だと気がつくと、先生は「あら本当…運命感じるわね…」とつぶやきました。

 

続けて、「看護師はね、学生の時初めて担当した患者さんのことは忘れないものよ。その後の自身の課題になりうるほどそこに詰まってるとよく言われるの。」と教えてくれました。花は、『私が担当になってよかったって思ってもらえるように!』と意気込み、担当の患者さんの元へ向かいました。花は緊張しながらも自己紹介をすると、担当の川田さんは、笑顔を返してくれました。

 

川田さんは36歳主婦で、子どもさんがお2人いる。3年前に血液のガンといわれる慢性骨髄性白血病になり、ずっと入退院を繰り返しています。川田さんは、正常な白血球の数がとても少なく、外出したら病気に感染してしまう状況なので、家に帰りたくても帰れませんでした。ですが川田さんは「心配だけど、家に帰ると家族に迷惑かけちゃうから…」と自分の状況もよく理解して受け入れているようでした。

 

川田さんは自立した方で、シャワーも食事もすべて一人でできて、花がお手伝いできることはほぼなかったため、花はカルテを見てお薬や病気の勉強をしていました。すると先生は、「カルテにはないあなたの視点の情報が目の前の患者さんにはある。世間話でもしてきないさい。」と花を川田さんの病室へ向かわせました。花は、正直川田さんが自分に心を開いてくれていない気がしていました。気もそぞろになっている川田さんとどう接すればよいのか…と悩みながら病室へ行くと…

 

川田さんがスマホを見ながら涙を流しているところを見てしまいました。心配する花に、「ああ、メールをしていたら娘に会いたくなっちゃってつい…でも大丈夫だから内緒にしておいてね。」と涙を拭いて言いました。花は、その姿に「川田さんは、いろいろ大変なのにすごいと思います。」と伝えました。しばらくして、その場を離れながら、花は、カルテでも弱音を吐かず、自制できる人と評価された川田さんでも、こうなることもあるんだ…と思いました。

 

そう思っていた翌日…。花が実習先へ向かうと、先生が焦ったように駆け寄ってきて、「花ちゃん!大変…川田さん昨日亡くなったらしいわ。」言い出しました。花は、先生が何を言っているのか、現実のことなのか、理解できませんでした。先生によると、夕方病院を抜け出して、家に帰る途中事故に遭ったそうです。花は、理解できず、ただ川田さんの笑顔を思い出してしまうのでした。

 

【2】に続く
 

 

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【著者プロフィール】

広田奈都美(ひろた・なつみ) HP

漫画家・看護師。某地方総合病院にて勤務後、漫画家としてデビュー。著書は「僕達のアンナ」(集英社)、「お兄ちゃんがコンプレックス」、「ママの味・芝田里枝の魔法のおかわりレシピ」(秋田書店)他。

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