心当たり|〈マンガ〉モンスター患者~みんなが困り果てた金田さんのこと~【10】

「広田さんの問題」そう切り込まれて考えたことは…。

(▶これまでのお話

 

マンガ・モンスター患者~みんなが困り果てた金田さんのこと~

Vol.10 心当たり

『「広田さんの問題」と持田さんが言っていたことに心当たりはある。「人に意見したりアドバイスするのが面倒臭い。見て見ぬフリする人間が一番賢い」という思考だろう…。』と私は考えました。事なかれ主義ともちょっと違い、職場でスタッフが認知症の方にコスプレさせてるのを見て、その対応はだめなんじゃと思いつつ見ないふりをするなど、疑問を感じながら、踏み込まなかったのは…偉そうなことを言うほど自分は偉くないと思ったからでした。「私に言う資格はないな…と思って…。」と正直に伝えると、持田さんは、すかさず「それって誰のため?」と質問しました。

 

「え?」と即答できない私に、「患者さんのため?」とさらに質問します。その時の患者さんを、思い出しながら「自分のためです…。」と答えました。私の答えを聞いて「でも本当はこのままじゃ嫌なんでしょう?ちゃんと言わなきゃって思ってるから、金田さんのことをグズグズ悩むのよ。」と指摘する持田さんに、『その通り…』と何も言えず、下を向き息をのみました。

 

持田さんは、「あなたはもう40代でベテランなんだから、言う時期にきてる。口うるさいおばさんて思われても、言うべきことは言わないと。被害をこうむるのは患者さんなのよ。」と言いました。私は、『さっきまで受け入れられなかった持田さんの言葉が、今はすうっと入ってくる感覚に、多分持田さんがとことん私と向き合ってくれたからだ…。これが、傾聴ってやつか…。』と少し恥を感じながら、「私も意見してみます…。」答えて、その日の打ち合わせを終えたのでした。帰り際、持田さんが「どの看護師も色々考えているものよ。自分では表現できてなくてもね。」と優しい言葉をかけてくれました。

 

『持田さんは駄目な私をとがめたのではなく、見過ごせなかったとてもいい人だ…』と思いながら、持田さんとは別れました。数日後…仕事場で金田さんに挨拶しました。金田さんは、不機嫌そうです。私は、『あらら。』と思いつつ、金田さんの血圧を図ろうとすると、金田さんは、「広田さんと私は考え方が違う。」と強い口調で言いました。続けて「ナースは本来患者中心でしょ?なのにあなたはスタッフ中心よ!スタッフをかばって私を責めるのは違う。」と言う金田さんに、「その通りですが、私は例外もあると思います。それに金田さんを責めてはいません。」と冷静に答えました。

 

「あなたの気持ちを理解しようと努力したつもりです。だけど、患者中心と言いなりは違うと思います。私は今でも、あなたを尊敬しています。だからこそあんなこと言ってほしくないんです。」とまっすぐ金田さんの目を見て言いました。自分でも驚くほど冷静に金田さんに向き合えたこと、何事も一進一退だと学びました。そして私は、金田さんに、ナースと兼業しながらマンガを書いて言うことを打ち明けます。

 

「マンガ家一本でやってた時期もありましたが、マンガ家として取材をするうちに、ナースならではの繊細な心の機微を書いていけたらと思って復帰したんです。悩みや苦しみをナースの立場で理解することで、現場のナースにより届くかな…と。」と話す私に、金田さんは「いいじゃない。」と言ってくれました。私は続けて、「金田さんとのことがとても学びになったので、マンガにしてもいいですか?」とお願いすると金田さんも快く承諾してくれました。その後も会話をしてなんとなく和やかになった数日後…

 

思いもよらぬ結果を迎えることになりました。

 

(編集部注)

この物語は、事実を基にしたフィクションです。関係者に同意を得たうえで、プライバシー保護に十分配慮して創作しています。

 


【著者プロフィール】

広田奈都美(ひろた・なつみ) HP

漫画家・看護師。某地方総合病院にて勤務後、漫画家としてデビュー。著書は「僕達のアンナ」(集英社)、「お兄ちゃんがコンプレックス」、「ママの味・芝田里枝の魔法のおかわりレシピ」(秋田書店)他。

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