弱さと激しさ|〈マンガ〉モンスター患者~みんなが困り果てた金田さんのこと~【5】

旦那さんを亡くした金田さん。その弱さと激しさの背景とは…?

(▶これまでのお話

 

マンガ・モンスター患者~みんなが困り果てた金田さんのこと~

Vol.5 弱さと激しさ

私は、金田さんのご主人が亡くなったと聞き、金田さんは深い悲しみの中にいるだろうと気遣いながらも、これで少しは悪口が収まるのでは…と期待もしていました。しかし数時間後には、以前と全く変わらずスタッフを罵倒する金田さんをみて、人は変わらないものだと、唖然としてしまいました。その後、金田さんはお通夜のために急遽帰宅され、葬儀もあるため2日程は自宅だと見込んでいたのですが、なんと当日の夜には、施設に戻ってきました。

 

「私だったら、長年連れ添った旦那の側にいたい」と思い、金田さん自身が戻ると言ったのかとケアマネさんに質問すると、「本人はいたいと頼んだが、息子さんが世話をできないから施設に、と連絡をしてきたらしい」とのこと。以前金田さんとお話した時に、息子さんが医療関係者だと聞いていたので、世話をする自信がないとは思い難く…息子さんも金田さんを避けているように感じてしまいました。金田さんがしてくれた家族の自慢話が頭をよぎり、その行為はツイッターやインスタと同じ、リア充アピールだったのかなと、金田さんが強がっているように感じ、なんだか寂しくなりました。

 

その頃から、私は一層金田さんの悲しさや弱さを理解できるようになり、金田さんの看護師時代の話で盛り上がったりと、自然に金田さんの心に入っていった気がします。週に2~3日しか来ないパートの私との約束を覚えてくれていたり、私にだけ特別にお土産を下さったり、金田さんとの距離も縮まっていきました。金田さんは、周りのスタッフにもよく私の話をするので、なぜ私が気に入られているのか、スタッフの間で話題にもなっていました。言われてみると、注意はされても文句を言われたり、罵倒されたことはありませんでした。

 

他にも好かれているスタッフはいたのですが、やはり褒められると嬉しくて、少しほっとしていました。しかし他の大勢のスタッフへの態度や罵声は、変わることもなく、他のスタッフ同様、ストレスは募り、振り回されてヘトヘトになっていきました。そんなある日、若いスタッフの小林君が、大きなため息をつきながら、私に相談をしてきました。

 

話をきくと、「金田さんが、ずっと僕に怒り続けてるんです。謝っても全然聞いてくれない…。」と小林くん打ち明けます。私は、「金田さんの怒ってる姿なんて、いつものことじゃない。」と励まそうとすると「違います。朝からずっとなんです。一日中ずっと怒鳴られてて、もうしんどくて、仕事を続けれれないかもしれない…」とさらに落ち込む小林君。私は、ただ事ではないと感じ、小林くんに何があったのか、金田さんが何に怒っているかを尋ねたのでした。

(編集部注)

この物語は、事実を基にしたフィクションです。関係者に合意を得たうえで、プライバシー保護に十分配慮して創作しています。

 


【著者プロフィール】

広田奈都美(ひろた・なつみ) HP

漫画家・看護師。某地方総合病院にて勤務後、漫画家としてデビュー。著書は「僕達のアンナ」(集英社)、「お兄ちゃんがコンプレックス」、「ママの味・芝田里枝の魔法のおかわりレシピ」(秋田書店)他。

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