5.4秒に1回!減らない救急車の出動件数に悲鳴―倉敷市の取り組み
日々、医療現場に身をおく看護師のみなさんは実感していることだと思いますが、救急車の出動件数の上昇がとまりません。
総務省消防局によると、2012年中の救急自動車による救急出動件数は580万2,455件。前年と比べて約9万5000件の増加で、搬送人数は約7万人増の525万人と、いずれも過去最多となりました。
救急車は実に、約5.4秒に1回の割合で出動していて、国民の約24人に1人が搬送された計算になります。
救急搬送の内訳をみると、軽症者が50%を占めていて、重症者の割合は1割もいません。すぐに救急車をよばないように、自治体はさまざまなポスターを作って呼びかけていますが、なかなか効果はでていないことがわかります。
視点を変えると、救急車の出動が増えているのは、軽症者が安易に119番通報するからだけともいえません。搬送者の内訳をみると、15年前には3割程度だった高齢者の割合が、今では53%を占めるまでになっています。救急患者の増加は、高齢化とも密接な関係があるようです。

救急車有料化・半数が「賛成」
こうした中、救急医療の崩壊や医療従事者の疲弊が大きな課題となっています。日本病院会のアンケートからは、大変な毎日をなんとか乗り切っている救急現場の本音が透けて見えそうです。
日本病院会の救急医療アンケートの中で、救急車の有料化については、「賛成」14.8%、「どちらかといえば賛成」32.7%と、あわせて半数近くが救急車の有料化を「賛成」と回答していました。
一方で、患者教育に力を入れることで、無駄な救急受診を減らし、医療の崩壊を防ごうとする取り組みも行われています。
患者教育で医療崩壊をストップ
岡山県倉敷市の「わが街健康プロジェクト。」が良い例です。このプロジェクトは、飯塚病院(福岡県飯塚市)の「地域医療サポーター制度」をモデルにしたものです。
医師や看護師が少なく、地域医療が崩れつつあった倉敷市では、診療科や病棟閉鎖が続いていました。
そこで、深夜救急の不要な受診がいかに病院スタッフを消耗させるか、そうした“コンビニ受診”によって、いずれは地域から病院がなくなるかもしれない――といったことを、医師や看護師が患者目線でわかりやすく伝えるための講演会を開きました。
しかも、講演会を継続的に開くことで、出席回数によって地域サポーターを「ブロンズ」「ゴールド」「プラチナ」とランクアップさせる仕組みも導入。医療従事者と患者が一体となって、地域医療について考える場を作りだしたのです。
出動件数に歯止めも
プロジェクトの取り組みによって、実際に救急車の出動件数増加に歯止めがかかるなど、患者教育に一定の成果もみられているようです。
救急に限らず、人が人をケアする医療現場。当然のことながら、その対応には限界があります。しかし、日本人の大病院信仰は根強く、「はしご受診」などの問題もなかなか解決されません。
高齢化が進むにつれて、この問題はますます深刻になるでしょう。飯塚市の例のように、「患者教育」や「患者といっしょに考える」ための、医療従事者からの情報発信も、今後はさらに必要になるのかもしれません。
(参考)
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