「対馬」のナースは還暦を迎えても3交代バリバリ！｜へき地・離島ナースリレーコラム【2】

へき地・離島で働く看護師リレーコラム。2回目は、長崎県の対馬で働く雪見さん。

そもそも離島の様子ってどんなの？ということについてお話してもらいました！

(寄稿協力：特定非営利活動法人ジャパンハート)

離島ってどんなところ？

はじめまして。雪見と言います。

日本のへき地・離島について看護師の仕事以前に「どんなところ？」という疑問を持っているかもしれませんね。時には「Dr.コトーなの？」「危なくないの？」「コンビニはあるの？」といった疑問もでるかと思います。私は以前、大阪の医療センターの手術室で働いていたのですが、離島ってどんなところ？ という疑問は当然持っていました。

でも、もともと地域医療に興味があり、いつかは私も！ という目標がありました。ある時、ジャパンハートの看護師に出会い、国内へき地のみならず、海外でも活動している姿に憧れて、目標に近づくために参加を決意しました。

そんな私は今、長崎県の対馬という離島で看護師をしています。

勤務している病院は『対馬いづはら病院』です。対馬は九州の北方に位置する離島。韓国の方が本土より近いくらい、日本から離れています。

島の9割が山々の自然に囲まれ、残り1割で人口約3万人が暮らしています。海に囲まれ濃い緑に囲まれる島、想像するだけで空気が美味しく感じられませんか？

過疎化が進む昨今ですが、実際に足を踏み入れた対馬は、島民のエネルギーで非常に満ち溢れている場所でした。ご近所同士が和気藹々と交流し、非常にのどかな環境です。危ないなんてとんでもない。(島唯一ですが)コンビニもあります。

こんな秘境!? のような景色も見られます

離島の病院の様子って？

私がいる「対馬いづはら病院」も同様に、活気に満ち溢れています。そこは、この島の医療を支えている数少ない病院の一つ。約200床の病院です。島で唯一、心臓カテーテルによる治療が可能であり、島でのお産も全てここで行われます。救急車で病院まで、遠い場合は山を越えて約2時間もかかり、必要時には本土へ患者を搬送できるようヘリポートも完備。

対馬いづはら病院

都市と違うのは、救急車で運ばれてきた場合「ここの病院しかない」ということです。

「満床だから他の病院へ…」そんな選択肢はないため、たとえ入院ベッドが一杯でも患者さんの重症度・優先度を考慮に入れながら、上手にベッドをずらし、新たに患者さんが入院できるスペースを確保。一刻を争う急患が来た時のために、対応できるよう常時調整しています。

そのため「あら、ここは病室だったかしら？」とびっくりしてしまうようなスペースも、患者さんが治療のために使えるよう、常に編み出しています。

地元の看護師は頼れるお母さんばかり！

ここの看護師さんはといえば、なんといってもお母さん世代が多いこと。3交代勤務をバリバリこなしている人の中には、すでに還暦を迎えているお母さんたちもいます。

次々と運ばれる多種多様な疾患の患者を常に受け入れ、臨機応変に対応し、何年も経験してきたベテランスタッフたちをはじめとする離島の看護師。彼女たちは多くの経験に裏打ちされた幅広い知識と応用力を兼ね備えている印象です。そして、母親を経験しているからこその滲み出る、面倒見の良さと温かさを持ち合わせた人たちばかり。島や学校の行事にも精通しているので、入院してきた患者さんとの共通話題も多く、冗談を言って患者さんを笑わせることがとても上手。

離島の地で、そんな病院に出会ったのでした。

対馬の伝統行事「舟グロー」の様子

次回は、山梨県の牧丘で働く“Michi”さんにお話いただきます。お楽しみに！

■寄稿協力

特定非営利活動法人 ジャパンハート

2004年に代表の吉岡秀人医師が設立した国際医療ボランティア団体。今回紹介したへき地離島への医療研修は国際看護長期研修の一つで、ミャンマーでの医療研修も含め1年間のプログラムとなっている。ほかにもカンボジア、ラオスでの医療支援や医療者育成支援など、さまざまな支援活動を行っている。医療者が参加できる活動として、子どもや貧しい人々のために巡回診療や手術を行う、3日～7日程度の休暇で参加が可能な国際医療短期ボランティアなどがある。

■ジャパンハート公式サイト

■国際看護長期研修専用サイト