「プリセプターに向いてない…」「新人と相性が悪い…」と思ったときに読む記事

プリセプターを初めてやる看護師が、「これさえ読んでおけば一年乗り切れる」実用的な内容を連載でお届けします。

執筆/白石弓夏 看護師

監修/上村美穂

川崎市立多摩病院(指定管理者 聖マリアンナ医科大学)

教育担当師長、集中ケア認定看護師

 

初めてのプリセプター。これさえ読んでおけば大丈夫!

Vol.3 「プリセプターに向いてない…」「新人と相性が悪い…」と思ったときに読む記事

「大卒25歳ナースマン」「専門卒24歳おっとり」「歳卒26歳サバサバ」など様々なタイプの看護師がいる中で、どのようにペアを決めたら良いか悩む看護師のイラスト。

 

 

 

「新人にとってあなたが適任」と考えて選ばれている

プリセプターを選ぶ際に、一番重要な点は「新人の成長にとって効果的である」ことです。

看護技術の習熟度なども重要な要素ではありますが、最も重要なのはその人がプリセプターとなることが、新人にとって効果的かどうかという点です。


新人が1日も早く職場に適応し、一人前の看護師として成長していくために欠かせないのがプリセプターという存在です。

「この人にやってもらいたい」と思う適任者だからこそ任命されているのです。

 

「少し気がかりなこともあるけど、成長のためにプリセプターにチャレンジしてもらおう」とか、「3年目だからそろそろやってもらおう」などといった理由でプリセプターを任せることは多くはありません。

 

どうして自分がプリセプターをやることになったのかわからない人や、不安を感じる人もいるかもしれません。

でも、誰もができるわけではない重要な役割を任されたことへの自信と自覚を持ってほしいと思います。

 

 

複数人の管理職が検討を重ねて選んでいる

プリセプターの決め方は施設によって異なりますが、師長・副師長・主任ら、複数人の管理職が検討を重ねて選ぶのが通常の流れです。

 

師長が認識しているスタッフの適性と、副師長や主任が認識している内容は違うこともあります。

現場の意見も重要な検討要素です。

 

次年度のプリセプターが発表される時期は、新人を迎える少し前(3月ごろ)や導入研修に合わせてということが多いかもしれません。

しかし実は、普段の仕事への取り組みや、後輩と関わる姿などを見ながら、誰が適任者であるか時間をかけて判断されているものなのです。

 

 

悩んだときは「チームで育てる」ことを思い出す

プリセプターと新人のペアを決める際には、担当を誰にするかよりも、どんな体制で育てるかを重視する考え方が広まってきています。

(参考記事:「プリセプターシップ」「プリセプター制度」って実は曖昧。本当の意味、知ってる?

 

たとえば新人がのんびりした性格であったら、比較的ゆっくり関われる環境に配属する、など配属先の環境と新人の相性を基軸に考える方法です。

 

そのため、悩んだときは「チームで育てている」ことを思い出してみましょう。

何事も自分一人で抱え込まないことが大切です。

 

 

新人との相性の悪さに悩んだら抱え込まずに相談を

もし、プリセプターとして新人との相性の悪さに悩むことがあれば、ペアを変更してもらうことも必要です。

一人で解決しようとせず、上長に相談することも、プリセプターの役割です。

 

そのため、たとえうまく成長できなかった新人がいても、「自分のせいだ」などと安直に自分を責めてはいけません。

 

すべての責任をプリセプターが負う必要はなく、チームで育てていることを忘れずに業務にあたっていってください。

 

 

みんなの体験談

プリセプターの任命や、新人とのペアについては複合的な要素から慎重に検討されるものですが、勤務先の方針によって、差異があるのも事実です。

実際、いつ頃、どのようにペアが決まるのでしょう?

看護roo!のインタビューに答えてくれたみなさんの体験談をご紹介します。

 

◯「経歴によって決まっているようだ」というプリセプターのAさん

・私の職場で大卒組、専門卒組、社会人同士の組み合わせが多いように思います。

性格とかはあまり検討要素ではないのかな…。

自分が担当する新人についても、入職前に教えてもらったのは名前と学校名だけでした。なので名前からどんな子かなってイメージしていました。

新人の名前を教えてもらったのは3月の初旬ころです。「もしも国試に受かっていなかったら白紙だよ」と言われていました。

 

◯「6月ごろに発表になった」というプリセプターのBさん

・私の職場はプリセプターの任命は、毎年6月ごろです。

4月からの2カ月間で適性をみて、ペアを決めているようです。

 

なのでそれまでは、新人は誰に聞いたらいいのか迷うだろうな…と思います。

実際、自分が新人の時もそうでした。

その日についた先輩に聞くって感じで。学校が一緒で元々知っている人がいたりすると、プリセプターの発表前に関係性を築ける人もいるかもしれないですけどね…。

 

◯早めに決まっていて驚いたという新人のCさん

・私の職場は、学校や年齢で分けているようです。

私はたまたま就職先に知り合いの人がいたので、入職前にもかかわらず、「あなたのプリはこの人だよ」って教えてもらっていて。

「え、もう決めているんだ!人をみてからじゃないんだ~」と思ったこと記憶があります。

 

 

どんな新人でも「どう育ってほしいか」を考えることを大切に

最近は、新人の背景もさまざまで、社会人経験を経て看護師になった人も多く、プリセプターよりも新人のほうが年上ということも少なくありません。

 

また、男性看護師には男性のプリセプターのほうがいいのではないか、同様に女性には女性のプリセプターほうがいいのではないかと思うこともあるかもしれません。

 

しかし、どんな背景であっても新人であることに変わりはありません。

背景などにこだわらず、「どういう新人に育ってほしいか」という明確な目標を立て、1人の新人として向き合い関わっていってほしいと思います。

 

繰り返しになりますが、新人を育てるのはプリセプターだけではありません。

チームみんなで育てていくものです。

新人との関わりの中で困ったり悩んだりした時には、周囲の人に相談し協力を得ながら、プリセプターの役割を楽しんでほしいと思います。

Illustration/宗本真里奈

編集/坂本綾子(看護roo!編集部)

 

【監修者 プロフィール】

上村美穂(かみむら・みほ)

1996年 聖マリアンナ医科大学 東横病院 脳神経外科病棟 入職

2003年 集中ケア認定看護師 取得

2006年 川崎市立多摩病院(指定管理者 聖マリアンナ医科大学)ICU・CCU異動

2017年~ 同病院 教育担当師長

 

プリセプターについてのみんなの経験談はこちらから

▷『プリセプターについて』(看護師の掲示板:ナースカタリーナ)

▷『こんなプリセプティはイヤだ~!!』(看護師の掲示板:ナースカタリーナ)

 

(引用・参考文献)

1)目黒 悟:教えることの基本となるもの―「看護」と「教育」の同形性.(メヂカルフレンド社)

2)プリセプター制度の現状と課題:PDF(看護研究交流センター 地域課題研究報告)

3)新人看護職員研修 ガイドライン 【改訂版】:PDF(厚生労働省)

4)新人看護職員臨床研修における研修責任者・教育担当者育成のための研修ガイド:PDF(日本看護協会

5)OJT における新人教育で師長が果たす役割に 関する文献検討:PDF(川崎医療福祉学会誌)

6)新人看護師技術チェックリストの使い方について:PDF(厚生労働省)

 

 

 

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