もしかしてあなたも?看護師が注意すべき“マスク依存”とは
「マスク依存」を知っていますか?
花粉症対策や感染予防の目的ではなく、心の不安からマスクを手放せなくなる状態の通称です。
日常的にマスクをする機会の多い看護師。心当たりのある人も多いのではないでしょうか。
「実は私も…」看護師が注意すべき“マスク依存”とは

マスクの最初の一歩は「伊達マスク」
感染予防や花粉症対策ではなく、コンプレックスを隠したい気持ちや心の不安から、「伊達マスク」をする人が増えています。
ある調査では20歳代女性の約半数が伊達マスクをするという結果が出ていました。
- 伊達マスクをする人は、「20代女性」で44.9%
- 伊達マスクの良い点は、女性「スッピンを気にしなくて良い」、男性「あたたかい」
- マスクをする場所は「人の多い所」「埃っぽい場所」「公共の乗り物利用時」
(「マスク・伊達マスク」に関するアンケートより要約)
「伊達マスク」が手放せなくなってしまうと、マスクなしでは不安になる“マスク依存”の状態になるといいます。
「“マスク依存”状態は、社会との壁をつくってしまう」と、精神科医が警鐘を鳴らしています。
「他人に自分の喜怒哀楽を読まれずに済みますから、自分がどのように相手に見られているか気にしないで済む。マスク依存を続けていると、社会との壁を高く作ってしまう。ひきこもりに陥ってしまう危険性もある。」
【精神科医 渡辺登さん】
(『NHKニュース』 おはよう日本 より引用)
日常的にマスクを着けていることでマスク依存に発展!?
看護師は、業務上マスク着用を義務づけられている場面が多い職業です。
日常的に着用するのが不自然ではないので、知らず知らずマスクが手放せなくなってしまうこともあるのではないでしょうか。
実は、私が新人看護師の頃、「あれはマスク依存だったな」と思うことを経験しました。
当時、先輩看護師に「注意されている時に、顔が笑っているように見えるから気をつけなさい」と言われたことがありました。
元々、頬が上がっているせいかにやけた顔だと自覚していましたが、この顔が原因で、しかも業務と直接的には関係ない事柄で注意されたということに大きなショックを受けました。
どうしたらいいかと悩んだ結果、マスクをすることにしました。
マスクをすると、頬から下が隠せるため、自分の顔が他人からどう見えるか気にしなくて済んだのです。
仕事中にずっと着用していても不自然でないので、半年間くらいは仕事中ずっと伊達マスクをしていました。
マスク依存はなぜ問題なのか?
当時は、マスクをすることでコンプレックスを隠せ、業務に集中できるアイテムだと思っていました。
でも、マスク着用では結局は根本的な問題は解決せず、ただの逃げ道となっていたと思います。
約4,000人を対象としたアンケートでも、伊達マスクをする理由として「人とコミュニケーションをとるときのお守り」のように考えている人が多いという結果が出ていました。
◆伊達マスクをする理由
- 人目が気になるから
- 顔のコンプレックスを隠すため
- 表情を隠すため
- 口臭対策
- すっぴんが恥ずかしいから
- 緊張するときにつけていると落ち着くから
(「マスク・伊達マスク」に関するアンケートより要約)
「もしかしたら私もそうかも…」と思った人もいるかもしれません。
“マスク依存”にならないためにはどうすればいいのでしょうか?
明るい表情がケアを向上させる場面も
自分のコンプレックスを隠すことができ、コミュニケーションのお守りにもなるマスク。
でも、コミュニケーションをとるうえで、デメリットもあります。
私がマスク依存状態だったとき、ある先輩が「小児科の看護師だから子どものために笑顔を見せることも必要。マスクをつけてちゃ怖がられちゃうよ」と言ってくれました。
このとき、マスクをつけることで、看護の質が下がってしまう可能性に気づきました。

その頃には仕事を覚え、1人でできることも増えて先輩とのコミュニケーションも怖くなくなっていました。
そのためか、マスクを外しても平気になっていることに気がつきました。
コミュニケーションが怖かったためにつけていたマスクは、コミュニケーションに自信がつくことで、必要なくなっていきました。
少しずつマスクを外す機会を増やすのが有効
マスクに依存しないためには、「マスクをしなくても大丈夫」と自信をつけていくことが大切です。
専門家によると、徐々にマスク着用回数を減らしていくのも有効な方法とのことです。
「ゆっくりゆっくり時間をかけて、人との温かい交流を増やしていくのがポイントだと思っています。そこで自信を高めていって、マスクを着けていかないで済む日を増やしていくんですね。まず一歩踏み出してもらえればと願っています」
【精神科医 渡辺登さん】
(『NHKニュース』 おはよう日本 より引用)
***
マスク着用が必ずしも悪いわけではありません。
看護師としての業務の延長線上で、「マスクをしたままの方が心理的に楽」という場面もあるかもしれません。
しかし、マスクなしのコミュニケーションで、ケアの質が変わる可能性も心に留めておきたいものです。
【ライター・白石弓夏(看護師)】
〈参考〉
・自分を隠したい 広がる“マスク依存”(『NHKニュース』おはよう日本ダイジェスト)
・「マスク・伊達マスク」に関するアンケート(TimelyResearch)
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